はじめに
10年前の2014年8月20日、ニンテンドー3DSで『蒼き雷霆 ガンヴォルト』が発売されました。
ダウンロード専売タイトルとして始まった本作は、その後に移植や続編、派生作品などが作られ、現在まで展開の続くシリーズとなっていきました。
当時は「あの『ロックマンゼロ』のインティ・クリエイツが送り出す2Dアクション新作」として注目を集めていたと記憶していますが、現在ではロクゼロに並んで「『ガンヴォルト』のインティ・クリエイツ」としてメディアで紹介されることも多く、すっかり同社の代表作になったという印象です。
そんなガンヴォルトシリーズ、本編だけなら全3作と少なめですが、派生作品など含めるとそこそこの数になってきています。
この機会に改めて、シリーズ全体を振り返りつつ各作品の紹介や、どういう順番で遊べばいいかなど、個人的な見解を交えつつまとめてみようと思います。
シリーズ来歴
2014 | 8/20 | 『蒼き雷霆 ガンヴォルト』配信開始 |
早期購入特典として『マイティガンヴォルト』が同時配信 | ||
11/26 | 『マイティガンヴォルト』正式リリース | |
2015 | 8/6 | 『ぎゃるガンヴォルト』配信開始 |
2016 | 8/25 | 『蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪』配信開始 |
ニンテンドー3DSパッケージ版『蒼き雷霆 ガンヴォルト ストライカーパック』同日発売 | ||
2017 | 2/9 | OVA『蒼き雷霆 ガンヴォルト』配信開始 |
6/15 | 『マイティガンヴォルト バースト』配信開始 | |
8/31 | Nintendo Switch版『蒼き雷霆 ガンヴォルト ストライカーパック』発売、HD化&60fps化対応される | |
2018 | 3/15 | 『ぎゃるガンヴォルト バースト』配信開始 |
2019 | 9/26 | 『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT』発売 |
2022 | 1/27 | 『白き鋼鉄のX 2』発売 |
7/28 | 『蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環』発売 | |
2024 | 2/15 | 『GUNVOLT RECORDS 電子軌録律(サイクロニクル)』発売 |
4/5 | 『ロロパズミクス』発売 | |
8/20 | 『インティ・クリエイツ ゴールドアーカイブコレクション』発売 |
『蒼き雷霆 ガンヴォルト』シリーズとは
まず、本編である『蒼き雷霆 ガンヴォルト』シリーズについて、ざっくりと紹介したいと思います。
ジャンル:ライトノベル2Dアクション
本シリーズはステージクリア型の2Dアクション。
そしてプレイ中にフルボイスのストーリーが同時進行する「ライブノベル」を実装した「ライトノベル2Dアクション」を称し、アクションとストーリーの両面に力を入れたシリーズとなっています。
舞台となるのは近未来、"第七波動<セブンス>"と呼ばれる超能力を持つ者が現れ始めた時代。
主人公は"蒼き雷霆<アームドブルー>"の能力者"ガンヴォルト"、通称"GV"。
GVが囚われの少女"シアン"と、そしてシアンの第七波動"電子の謡精<サイバーディ―ヴァ>"が具現化した存在"モルフォ"と出会うことから物語は始まり、やがて激化していく争いの渦に飲み込まれていく……という、独特のルビ振りが満載の超能力バトルの世界観となっています。
登場キャラクターは敵味方ともにアクが強く、個性的。
拠点での仲間同士の会話劇や、ステージの状況に合わせたやりとり、ボス戦中は互いの主義主張を懸けたレスバトルといった形で、賑やかにゲームを彩ります。
— 紅茶 (@tea_creates) 2024年8月19日
このようにして、テンポのいいアクションとストーリーテリングを両立しているのが、ライトノベル2Dアクションです。
スタイリッシュな爽快アクション
本シリーズの特徴として、作品ごとに新主人公が登場したり新たな力を得たりといった形で毎回個性的な新アクションが追加されることが挙げられます。
常に新たなアクションの形を模索するチャレンジ精神にあふれたシリーズですが、そのいずれもが爽快感のあるスタイリッシュなアクションに仕上がっており、インティ・クリエイツの2Dアクションゲームメーカーとしての研鑽を感じさせます。
特に大きく盛り上がるのはボス戦。
基本的に敵ボスも第七波動を持った能力者であり、それぞれの能力を活かした異能力バトルの趣があります。
敵味方ともに必殺のスペシャルスキル使用時にはカットイン演出が挟まりますが、このカットインもスマートかつ迫力のあるものになっており、バトルの盛り上がりに大きく寄与しています。
電子の謡精の歌
ステージ中で敵をどんどん倒していくと、画面左上のコンボ値"クードス"がたまっていき、クードスが1000を超えるとBGMがヒロインである電子の謡精の歌に変化します。
初期の作品だとクードスをためるのが難しく、普通にプレイしていてはなかなか歌を聴けなかったりしましたが、その分高いクードス維持している時の高揚感を高めてくれる要素となっています。いずれもスピード感のあるアクションシーンに合わせた、疾走感あふれる名曲揃い。
また、HPが0になってミスした際にも電子の謡精の力でパワーアップして復活できることがあり、救済要素のひとつとなっていますが、この復活時も専用の歌が流れます。
「もうダメだ!」と思ったらヒロインの力で覚醒して逆転! という、盛り上がる演出でもありますね。
歌はストーリー上でも大きな意味合いを持つことが多く、ゲームを彩る大きな要素のひとつです。
ゲームでは流れないフル版の歌を収録したアルバムも発売されているほか、ライブをやったり後述の音ゲーも作られたりと、ゲーム外での展開も大きいところです。
初心者から熟練者まで
先述の歌による復活も含め、本作はアクションが苦手な人でも楽しめるようなサポート機能や親切設計が多くあります。
その中でも代表的なものが、無敵のバリア"電磁結界<カゲロウ>"。
操作キャラにはそれぞれ攻撃や空中ダッシュなどに使う固有のゲージがありますが、それが残っていれば被弾時に自動でゲージを消費してダメージを無効化するという優れもの。
また、ゲージは十字キー下2回入力で即座に全快できるので、とりあえず下連打していれば無限に攻撃を回避することだってできてしまいます。まさに反則級の能力。
カゲロウは装備扱いのため、外せば逆に難易度を上げることもできます。
また、更なる刺激を求める人にオススメしたいのがスコアアタック。
スコアアタックでは基本的に被弾(カゲロウ発動含む)を抑えつつキャラごとのルールに則って敵を倒し、規定タイム以内にクリアする必要があります。
つまり、ミスなくスタイリッシュに敵を倒し、かつ素早くクリアするという技術が求められ、緊張感と爽快感のせめぎ合いがたまらないものになっています。
最高評価を目指すとかなりの難易度になりますが、その分達成感もひとしお。
ただ裏を返すと、自主的な縛りやスコアアタックなどのやり込み無しでクリアするだけなら、それほど難しくはないゲームということでもあります。
終盤はカゲロウや復活などの救済要素に頼れなくなったりして普通にやっててもそれなりの難易度にはなるので、全く歯応えの無いゲームみたいに言うのもそれはそれで語弊がありますが……
「それなりにアクション慣れしてたらなんとなくゴリ押しで進めてしまうけどクリア後にランク評価を付けられて、高評価を目指したら難しくなるタイプのゲーム」が苦手な人だったり、用意された要素は基本的に全て使った上でそれなりの難しさが良い、というような人には向かないシリーズではあると思います。
ただ、筆者も普段他のゲームでそこまでスコアアタック系に熱心ではないですが本シリーズのスコアアタックは楽しめる工夫が非常に多く熱中できる要素になっているということと、『ガンヴォルト鎖環』や『白き鋼鉄のX2』は上級者向けのモードもあり、そちらはかなりやり応えのある内容になっているということも付け加えておきます。
各作品紹介
続いて、外伝作を含むシリーズ作品を個別に紹介していきます。
当ブログのレビュー記事のあるものはリンクも貼ってあるので、細かい内容を知りたい人はそちらも読んでいただけると幸いです。
なお、基本的にどのタイトルも全プラットフォームで展開されているものの、細かい販売形態は公式サイトなどをご確認ください。
公式ポータルサイト:蒼き雷霆(アームドブルー)ガンヴォルト│ポータルサイト
蒼き雷霆 ガンヴォルト
シリーズ第1作であり、最初の物語。
主人公はもちろんGVことガンヴォルト。電子の謡精の力を持つシアンとモルフォを巡り、保護の名目で能力者を拉致し非道な実験を繰り返す巨大企業"皇神<スメラギ>"との戦いが描かれます。
本作におけるGVのアクションは、その名の通り銃と雷撃を使ったもの。
ショットを当てて敵をロックオンし、雷撃鱗というバリアを展開すると、必中の雷撃攻撃が発生。敵にジリジリとダメージを与えます。
雷撃鱗は他にも、実体弾を防いだり、磁力でホバー移動したり、周囲を照らしたりと、用途は様々。
一方で雷撃鱗展開中はEPゲージを消費しカゲロウも使えなくなるため、出しっぱなしにはできません。
このワンアクションでなんでもこなせるシンプルさと、そこにEP管理によるリスク制御を絡めた状況判断の面白さが、本作の魅力になっています。
第1作ということもあって当初はいくつかシステム面に整備の行き届いていないところもあり、3DS版やSteam版の初期バージョンでは一度被弾したらクードスが全部消える厳しい仕様でしたが、Switch版以降の移植版ではクードスモードが選べるようになり、Steam版にもアップデートで追加されるなどの改善が施されました。
クエスト周りのユーザビリティには少々難があるものの、そこに目をつむればこれといって不備もありません。
特筆すべき見所はやはりストーリーで、特に終盤の雪崩れ込むような怒涛の展開は圧巻。
シリーズを語る上で、まず外せない一作でしょう。
現在はSteamとXboxでは単品売り、SwitchおよびPSでは『ストライカーパック』で後述の『爪』と同梱で販売されています。
『蒼き雷霆ガンヴォルト ストライカーパック』レビュー:初心者から上級者まで。ロックマンの精神を新時代に導くスタイリッシュ異能力アクション! - 2Dアクション好きのゲーム日記
蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪
前作の戦いの後、再び標的となった電子の謡精の力を巡り、テロ行為を行う過激派の能力者連合"エデン"との戦いを描く続編です。
前作でライバルポジションであった"アキュラ"が第2の主人公となり、GVとのダブル主人公の構成になっています。
アキュラの固有アクションは空中を超高速で駆け抜ける"ブリッツダッシュ"。
地形や敵にぶつかってエネルギーを補充しつつ跳ね回るように飛行し、ぶつかった敵をロックオンしてホーミングショットで討滅する、ハイスピードアクションが楽しめます。
最初はじゃじゃ馬に感じますが、慣れてくるととてつもない疾走感が味わえるようになる、2Dアクションの革命児と言っても過言ではない体験になっています。
久しぶりに爪やったら記憶の1.5倍くらい光速く感じた。
— 紅茶 (@tea_creates) 2022年2月10日
そういえばこいつはこんな暴れ馬だった......#gunvolt #ガンヴォルト #NintendoSwitch pic.twitter.com/9sasDSCRz0
アキュラ側には新たな歌姫として"RoRo"が登場。歌姫も2人体勢でお得です。
一方GVの性能は前作を踏襲しつつ、手軽に使えるノーマルスキルが追加。
前作から正統進化したような形になっています。
ストーリーはシリーズの悪いところが強く出ているきらいがあり、GV側シナリオの新キャラクターのぽっと出感が気になったり、物語が起承転結の「転」で終わるような煮え切らなさがあります。のどごしのキレが異常に悪いというか……
ドラマCDや他作品をプレイすることで補完され納得できるようになる部分もありますが、当初これをハッピーエンドとして出してきた製作陣とは大きな温度差を感じる内容です。
また、第2の主人公アキュラの思想の危うさも目立っており、能力者憎しで過激な発言を繰り返すことから本作のXbox版のIARCレーティングで「軽い罵り」判定を受けていることなども語り草になっています。
いや、これはむしろ面白いところであり、間違いなく本作ならではの見所ではあるのですが……
本作も無印と同様、現在はSteamとXboxでは単品売り、SwitchおよびPSでは『ストライカーパック』に収録されています。
『蒼き雷霆ガンヴォルト ストライカーパック』レビュー:初心者から上級者まで。ロックマンの精神を新時代に導くスタイリッシュ異能力アクション! - 2Dアクション好きのゲーム日記
蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環
『爪』から時間が飛んで数十年後、能力者が力を暴走させ"暴龍"となってしまう時代。
新たな主人公"きりん"が登場し、GVとタッグを組んで事態解決に奮闘します。
きりんの特徴は剣戟アクションと、ショットで敵をロックオンしてワープ斬りを行う"雷霆煉鎖"。
この雷霆煉鎖の爽快感が凄まじく、アキュラに並ぶハイスピードアクションを簡単操作で実現しています。
スコアアタック#gunvolt #ガンヴォルト #鎖環 #NintendoSwitch pic.twitter.com/0EFDCj3Kmz
— 紅茶 (@tea_creates) 2022年8月8日
GVも超パワーアップしており、従来のロックオン雷撃に加えてきりんと同様のワープ攻撃やタックルによる必殺技を身につけました。
強くなり過ぎた影響でGVの使用には制限がかかっており、メインはきりんでGVはお助けキャラ的存在になっています。
本作は前2作より価格が上がっていますが、その分やり込み要素が豊富。
シリーズキャラの幻影を呼び出す強化要素"イマージュパルス"の収集や、上級者向けのハードモードやベリーハードモード、厳しい条件の中GVだけで本編の通しクリアを目指すモード:D-nizer、本編の後日談としてライバルキャラの"ZEDΩ"が第3の主人公となるアフターエピソードATEMS編など、充実した内容になっています。
スコアアタック周りのシステムも改善され、より遊びやすく、より盛り上がる形になりました。
このようにアクションゲームとしては非常に作り込まれている一方、ストーリーに関しては今回もモヤっとした質感でエンディングを迎えてしまいます。
今回の新主人公であるきりんの魅力は描けており、時代が進んだことで作中テーマも前進してはいるものの、わりと続編ありきな締め方になっている節があり、惜しい印象がつきまとう作品です。
『蒼き雷霆ガンヴォルト 鎖環』レビュー:誰もを雷光速の世界に導く、スタイリッシュ2Dアクションの新たな境地 - 2Dアクション好きのゲーム日記
白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT
本作は『爪』で第2の主人公を務めたアキュラを単独主人公として据えた外伝、スピンアウト作品。
Xは「イクス」と読むので、以後イクスシリーズと表記します。
本作はガンヴォルト本編とは異なり、能力者たる"セプティマホルダー"によって無能力者"マイナーズ"が迫害されるディストピア世界が舞台となり、アキュラはマイナーズたちの救世主的存在として、世を統べる"スメラギ"に立ち向かいます。
基本アクションやシステムは『爪』のアキュラを踏襲。
ブリッツダッシュの爽快感はそのままに一部操作性が改善され、ステージ設計もよりアキュラに合ったものになりました。
一方、イクスシリーズはジャンルが「ライトノベル2Dアクション」からシンプルな「アクション」になっており、ステージ中のライブノベルが廃止されています。
アビリティ強化周りのシステムも簡略化され、純粋なアクションゲームとしてシンプルにまとめる方向に変わっています。
ではストーリーは薄味になったかというとそんなこともなく、むしろシリーズ中でも苛烈で重厚。
本編の無印~爪におけるアキュラを知っている人こそ特に唸らされる構成で、予想を裏切り、期待を超える展開を見せてくれます。
個人的には、シリーズでもイチオシの作品です。
『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT』レビュー:インティ・クリエイツが辿り着いた究極の2Dアクション - 2Dアクション好きのゲーム日記
白き鋼鉄のX 2
イクスシリーズの2作目。
今回は異世界を舞台に、機械生命体"ワーカー"との戦いが繰り広げられます。
異世界ということで、近未来の都市部が中心の従来シリーズとは異なるロケーションが豊富。
敵も機械で統一されており、異能力バトルの従来とは違った趣があります。
前作から本格アクション路線が強化され、アキュラのアクションも刷新。
地上のパワフル形態"ブレイクシフト"、空中のスピード形態"ブリッツシフト"という2形態からなるスタイルになっています。
ブレイクシフトはホイールでゴリゴリ削るのが楽しく、ブリッツシフトはクードスを1000ためてオーバードライブしないと使えない制限がついた分、より自由な空中機動が可能になりました。
ステージ冒頭は繰り返し遊ぶことになるけど、ラボブロックはバッタがスパスパ斬れるし動きを詰めていくのが楽しかった。
— 紅茶 (@tea_creates) 2022年2月16日
格式を高めよ。#白き鋼鉄のX2 #gunvolt #NintendoSwitch pic.twitter.com/6MSzd0QU8O
ブリッツシフトの無法っぷりが今まで以上なので、オーバードライブで一気にパワーアップしてゲームが変わる感じもやっぱり良い。
— 紅茶 (@tea_creates) 2022年2月12日
従来ルールだとブリッツ回復を挟む都合、ここまで縦横無尽には飛び回れない#白き鋼鉄のX2 #gunvolt #NintendoSwitch pic.twitter.com/K45jO2nT6r
一方で操作は複雑化しており、特にブレイクシフトでスタイリッシュに動かすにはテクニックが必要になりました。
また、情け無用の圧倒的高難度のハードモードをクリアしなければベストエンドが見られないなど、これまでのシリーズとは一線を画す、アクション上級者にフォーカスを当てた内容になっています。
あんまり難しかったもので、ハードモードには後からアシスト機能が追加されたほど。
一応誰でもクリア可能になったものの、そもそも本作の救済要素である"モードヒーリング"が無制限でHP全回復という壊れ性能で、ある種調整を放棄したおざなりなものなのは気になるところ。
基本的にはやはり上級者向けの作品と見るべきでしょう。
尖ったアクション性に対してストーリーはわりと無難。
異世界の描写が少なくパンチに欠けるものの、特にモヤっと要素も無いので可もなく不可もなく、という印象です。
わりと独立した話ではありますが、冒頭に前作の最大のネタバレを含むため順番にプレイを推奨します。
『白き鋼鉄のX2』レビュー:これはもう"ガンヴォルト"ではない。君は極限を突破できるか - 2Dアクション好きのゲーム日記
マイティガンヴォルト / ぎゃるガンヴォルト
本作を一言で言うならば「8bit風のガンヴォルト」
最初は初代『蒼き雷霆 ガンヴォルト』の早期購入特典として配信されていましたが、後に単独の作品として正式リリースされました。
3DS版やSteam版は『マイティガンヴォルト』ですが、PS4版のみ『ぎゃるガンヴォルト』というタイトルになっています。
なお、Switch版は本日発売の『インティ・クリエイツ ゴールドアーカイブコレクション』にのみ収録されています。
タイトルが示す通り、本作は『Mighty No.9』および『ぎゃる☆がん』とのクロスオーバータイトルです。
アクションゲームとしてはロックマン風の射撃アクション。
GV、ベック、えころの3人の主人公にそれぞれ固有の能力はあるものの、ボスを倒して得る特殊武器やガンヴォルトらしいロックオン攻撃などはなく、シンプルなショットを撃って戦うゲームです。
DLC追加ボスを除けば難易度は適度にゆるくボリュームもコンパクト。
ストーリーもオマケ程度で完全なパラレルなので、気楽にサクッと遊べる内容です。
マイティガンヴォルト バースト / ぎゃるガンヴォルト バースト
『マイティガンヴォルト』および『ぎゃるガンヴォルト』のシリーズ2作目……ではあるものの、前作とのストーリー上の繋がりは特になく、むしろクロスオーバー元の『Mighty No.9』や『ぎゃる☆がん』シリーズ、『ガンヴォルト爪』との繋がりがある作品です。
特に8ボスおよびステージに『Mighty No.9』要素が強いですね。
前作からレトロ風の路線を引き継ぎつつ、少し年代を進めたドット絵表現に進化。
ロックマン風のアクションも継承しつつ、ショットを自由にカスタマイズできる要素が追加されました。
このカスタマイズの自由度が異常に高く、開発中ゲームのデバッグ機能か? と思うくらい細かく設定可能。これが最大の特徴になっています。
また、DLCを含むと各作品から3キャラ、合計9人のプレイアブルキャラがいます。
ただ、カスタマイズ要素が強すぎるために、せっかくキャラがたくさんいても個性が消えがちであったり、スコアアタック要素である"バーストコンボ"を狙うと接近戦主体になり、カスタマイズやキャラ性能の自由度があまり活きてこないなど、色々噛み合っていない部分もあります。
とはいえロックマンフォロワー作品としては上々の完成度。
難易度は前作同様やや難しめ。即死トラップが多く、ボスも手強いです。
ガンヴォルトシリーズ同様、残機制ではなくチェックポイントから無限にリトライ可能なため、スコアにこだわらなければ根気よくリトライすることで攻略できるでしょう。
ストーリー的には『Mighty No.9』および『ガンヴォルト爪』の要素が絡むため、そちらと併せて遊ぶのがいいですね。
『マイティガンヴォルト バースト』レビュー:特殊武器を自分で作れるロックマン系レトロアクション - 2Dアクション好きのゲーム日記
GUNVOLT RECORDS 電子軌録律(サイクロニクル)
いわゆる「ガンヴォルトの音ゲー」です。
本編シリーズの歌姫でありシリーズの看板娘"モルフォ"、
イクスシリーズの歌姫"RoRo"、
『ガンヴォルト鎖環』で登場した"ルクシア"。
この3人の歌を使用したリズムゲームとなっています。
なお、『爪』のRoRoはイクスシリーズのRoRoとは声優が異なりますが、『爪』のRoRoの楽曲は収録されていません。
残念ながら筆者の音ゲー経験値が乏しく本作もそれほどやり込んでいないため、音ゲーとしての出来についてはコメントが難しいです。
ただ、判定が緩めでコンボが途切れにくく、ノーマルまでなら誰でも楽しく遊べそうな感触でした。
ハード以上は流石に難しく、楽曲によっては素人には普通にクリアするのも厳しいので、断念してしまいましたが……
楽曲によってはプレイ中は背景にシリーズのプレイ映像が流れており、多少のネタバレを含む場合もありますが、知らなきゃネタバレと気づかないレベルではあります。
なので本作からやって、まず楽曲に興味を持つというのも悪くないと思われます。
ロロパズミクス
本作はRoRoをモチーフにしたマージ系パズルゲーム……もとい、『スイカゲーム』ライク。
RoRoのバトルポット形態であるRoRo玉を落とし、同じ見た目のRoRo玉をくっつけて大きくし、画面上部のラインを超えないようにしつつ大きなRoRo玉を作って高スコアを目指していくゲームです。
スイカと異なるところは、まず形状。
ひっかりがあることで動きが安定することもあれば、思わぬ動きをすることもあり。
合体時のサイズ変動による玉コロの吹っ飛びが頻発しますが、エリア外に吹っ飛んでも5秒以内に戻ってくればOKな仕様のおかげで即ミスにはなりません。
加えて次に来る玉の形が2手先まで見れるので、スイカよりやさしいつくりになっています。
後は、BGMとしてRoRoの歌が多数収録されています。
値段は394円。スイカゲームよりは154円ほど高いとはいえまだ全然お安いので、お気軽に手を出してみてもよいのではないかと思います。
ゲスト参戦作品
ここからは、ガンヴォルトシリーズ作ではないものの、シリーズのキャラがゲストとして登場している作品を軽く紹介します。
ただ、インティ・クリエイツ社外とのコラボは把握しきれていないので、社内コラボのみの紹介に留めています。
ブラスターマスター ゼロ
DLCでの追加プレイアブルキャラとしてGVがゲスト出演しています。
EPチャージができないのでやや使い勝手は悪いものの、高い精度で操作性を再現しており、カットイン演出まで入れているというこだわりが光ります。
『ブラスターマスター ゼロ』レビュー:熱いストーリーと程よい設計の探索アクション! レトロスタイルの良リメイク - 2Dアクション好きのゲーム日記
ブラスターマスター ゼロ 2
ジェイソンくんが散々苦労したギミック全部すっとばせるの最高でしょ#blastermaster #白き鋼鉄のX #NintendoSwitch pic.twitter.com/bvmML06ZcY
— 紅茶 (@tea_creates) 2019年11月29日
こちらも同様にDLCでアキュラが参戦。
前作のGV以上の再現性となっており、本来のステージギミックを破壊し、ブリッツダッシュで探索アクションを楽しめます。
なお、『白き鋼鉄のX 2』では逆にブラスターマスター ゼロシリーズの主人公"ジェイソン"がDLC追加ボスとして参戦しており、関連性が高いシリーズです。
『ブラスターマスター ゼロ 2』レビュー:より遊びやすく、より熱く! 銀河を舞台にパワーアップした正統続編 - 2Dアクション好きのゲーム日記
九魂の久遠
ボスとして『鎖環』での雷獣の姿のGVが参戦しています。
台詞も無く出番としてはささやかですが、本作の切り絵風のドット絵で描かれるGVは一見の価値あり。
『九魂の久遠』レビュー:サクッと遊べて気が付いたら15周やってた。よみがえりネコアクション - 2Dアクション好きのゲーム日記
カルドアンシェル
こちらは現在未発売で、10月24日発売予定のタイトル。
インティ・クリエイツの様々なゲーム世界(※架空のゲームを含む)を舞台としたデッキ構築型のローグライトカードバトルRPGです。
その舞台として、ガンヴォルトシリーズの作品も登場するのだとか。
作中での活躍が期待されます。
また、これらのタイトルの他にも、『Dragon Marked For Death』にガンヴォルトシリーズ由来の武器が出たり、『Bloodstained: Curse of the Moon』でも主人公の斬月がガンヴォルト世界に転生したりするなど、繋がりが示唆されています。
オススメタイトル・プレイ順
基本的に中心となるのが『蒼き雷霆 ガンヴォルト』シリーズならびに『白き鋼鉄のX』シリーズです。
網羅的に遊ぶ場合、この作品群をリリース順に遊べばOK。
無印 → 爪 → イクス1 → イクス2 → 鎖環
長寿シリーズだと初期作品は遊びにくいといった問題が出がちですが、無印の時点で2014年のゲームで、後発タイトルでの改善をアップデートで取り込むこともしているので、1作目から始めても特に遊びにくいということはありません。
個人的には特に、無印 → 爪 → イクス1 の初期3作をこの順で続けて遊ぶのをオススメしたいところです。
その後は基本的に自由に遊んでいただいて問題ないと思います。
とりあえず1本遊びたい、という場合もまずオススメするのは無印、ないしは爪とセットのストライカーパック。
前述の理由に加え、わかりやすくシンプルなアクションの無印はオススメしやすい一作です。
ただ、個人的なイチオシはやはりイクス1。
とにかく歯応えを求めるならイクス2(のハードモード)。
洗練されたスタイリッシュアクションや、やり込み含めたボリューム感を求めるなら鎖環。
……といったように、どの作品も結構方向性が異なるので、実の所興味を持った作品から触れるというのも悪くはないと思います。
ただ強いて言うなら、爪は無印とストーリーの連続性が高いため爪を先に遊ぶのはオススメしづらいですね。
まとめ
10年の間に本編級のタイトルが5本あってその上派生作品もあるというのは、実の所かなり実りの多いシリーズと言っていいのではないでしょうか?
元々、初代の『蒼き雷霆 ガンヴォルト』は2Dアクションが下火だった時代に、2Dアクションの裾野を広げることを目的として始まりました。
企画当初の時期は以前より2Dアクションゲームは下火になっている認識があったので、まずはどうにかして子どもたちをユーザーとして引き込むことができないかを考えていたんです。とくに「アクションゲームは難しい」という認識を何とか崩したくて。
~蒼き雷霆ガンヴォルト 蒼き雷霆ガンヴォルト爪 オフィシャルコンプリートワークス P.181 より引用~
そして、本編最新作の『鎖環』でもできるだけシンプルな操作でスタイリッシュなアクションが可能になっていたりと、その意志は引き継がれています。
やっぱり自分が楽しみたいので、難しすぎるのは嫌だったんですよ。先ほど、津田が言っていましたが“初心者でも遊べるようなゲームにしたい”というコンセプトがあるので、簡単にも遊べるようになっています。
でも簡単にできるんだけど、難しく見えるほうがいいじゃないです? 傍から見たら難しいことやってるように見えて「おお! すげぇー!」となるんだけど、実は簡単にできて「大したことやってないんだよ」となるのが理想形ですね。
~『蒼き雷霆 ガンヴォルト鎖環』インタビュー前編。主人公きりんの立場とアクションで新規ユーザーも楽しめる - 電撃オンラインより引用~
ただその一方で、実態としてはシリーズの変遷と共にアクション性にはテクニカルな要素が増え、上級者向けのやり込み要素の強化も進められています。
また、一応外伝ではあるもののイクスシリーズでも本格アクション路線を突き進んでいます。
こうした変化は、シリーズの立ち上げ当時と異なりインディー界隈を中心に2Dアクションが再び盛り上がりを見せようになったという時代の変化もあってのことだと思います。
そうした中でも変わらないのは、常に新しいものを生み出そうとするチャレンジ精神。
そして、とにかくプレイヤーの心に爪痕を残さんとする意志でしょう。
後者はちょっとやりすぎて明後日の方向を向いていることも少なくないですが、良くも悪くも心に残るものになっていることは確かだと思います。
そうじゃなきゃ、なんやかんやで10年も付き合っていないですからね。
当ブログは今後もガンヴォルトシリーズの動向を監視……もとい、応援していこうと思います。