2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『ブラスターマスター ゼロ』レビュー:熱いストーリーと程よい設計の探索アクション! レトロスタイルの良リメイク

f:id:tea_creates:20210730234256j:plain

最初のレビュータイトルはお気に入りの一作であるこちら!

「レトロ風なドット絵のアクションゲーム」は、最近では特に珍しくもない、ありふれたジャンルになっています。ニンテンドーeショップでも毎週のように新作が配信されていますからね。ありがたいことです。

そんな中でもお手頃な価格と熱いストーリー、程よくまとまった内容でオススメしたいのが本作、『ブラスターマスター ゼロ』です。

 

 

ゲーム概要

メーカー:インティ・クリエイツ

プラットフォーム:Nintendo Switch / ニンテンドー3DS / PS4 / Steam

ジャンル:探索アクション

初リリース日:2017/03/03

価格:980円

ブラスターマスター ゼロ│公式サイト

本作は、Nintendo Switchのローンチタイトルの一つ。

1988年発売のファミコン用ソフト『超惑星戦記 メタファイト』及びその海外版『Blaster Master』のリメイク作品となっています。

より正確に言うと、『メタファイト』と『Blaster Master』はゲーム内容は同じだけどストーリーは全く違っていて、本作は『Blaster Master』を基にしたリブートでありつつ『メタファイト』の続編でもあって……と、なんだかややこしいことになっていますが、特に元の作品を知っておく必要はありません。

自分も完全新作として本作に触れましたが、問題なく楽しめましたからね。

『メタファイト』の版元はサンソフトですが、本作の開発元は『ロックマンゼロ』や『ガンヴォルト』で知られるインティ・クリエイツ

インティ・クリエイツのアクションというと硬派な難易度やダークなストーリーを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、本作は非常に遊びやすくストーリーも王道な仕上がり。

 

シンプルながら、ツボを押さえた熱いストーリー

舞台は近未来の地球。科学者である天才少年ジェイソンは、ある日見たことのない謎の生物を発見し、『フレッド』と名付け調査をしますが、ふとした隙に逃げられてしまいます。

f:id:tea_creates:20190712203738j:plain

『いっき』のTシャツを着てカエルを研究するジェイソンくん

フレッドを追ってジェイソンは、かつて人類が氷河期を乗り越えるために作り出した巨大な地下世界へと足を踏み入れます。そこでジェイソンが見たものは、『ソフィア-Ⅲ』と刻まれた謎の戦車と、凶暴なミュータント達。

f:id:tea_creates:20190712203941j:plain

もうこのドット絵の時点でテンション上がる

ジェイソンはフレッドを連れ戻すため、ソフィア-Ⅲに乗り込み、地下世界の冒険へと旅立つ―――というストーリー。

f:id:tea_creates:20190712204422j:plain

いざ、地下世界の冒険へ

ペットのカエルを追いかけて地下に行ったら謎の戦車が! という流れは、海外版『Blaster Master』を踏襲しています。

一見、突拍子のないヘンテコな導入ですが、これらの謎に迫る中盤や、ツボを押さえた熱い展開がもりもりな終盤の流れは実に王道で、テンション爆上げ間違いなし!

主人公ジェイソンやヒロインの『イヴ』も魅力的なキャラクターに仕上がっており、二人の会話をトークルームで楽しむこともできます。

f:id:tea_creates:20190712204602j:plain

記憶を失った謎の少女『イヴ』

 

サイドビュー+トップビュー探索アクション

ゲームの進行は、

ソフィア-Ⅲを操作するサイドビューマップの探索パートと、

戦車を降り、生身のジェイソンを操作するトップビューのダンジョン攻略パートを交互に行う構成。

 

戦車といっても、ソフィア-Ⅲは万能戦闘車両と呼ばれているだけあり、地を走るだけでなくぴょんぴょん飛び跳ねて意外な機動力を見せてくれます。

探索を進めて強化アイテムを手に入れれば、空を飛んだり水中を潜航することも可能になり、まさに縦横無尽。

f:id:tea_creates:20190712205608j:plain

どんどん上がる機動力は、探索アクションの醍醐味の一つ

攻撃手段は最初はショットとミサイルのみですが、こちらもアイテム入手によってチャージショットやタックルなど種類が徐々に増えていきます。

各ウェポンの使い所もきちんとステージ中に設けられていて、壁の向こうの敵に貫通レーザー! 小さくてすばしっこい敵にホーミングミサイル! 水中の敵を拡散サンダーで一掃!など、使い分けが気持ちいい設計になっています。

f:id:tea_creates:20190712210928j:plain

下方向に強いサンダーは、水中では拡散してより強力に

特に、終盤手に入る『アクセルブラスト』はお手本のようなロマン砲でめちゃくちゃテンション上がる。入手直後のボス戦演出も最高……!

サブウェポンの使用にはSPゲージを消費しますが、SPはドロップアイテムのほか時間経過でも回復するので、SP切れで詰まるということはありません。ガンガン使っていきましょう。

 

ダンジョンの入り口を見つけたら、戦車を降りてジェイソンを操作。

こちらは生身の人間なので倍のダメージを受ける上、高所から落ちれば一撃死。

慎重にダンジョンを目指す必要があります。

f:id:tea_creates:20190712211045j:plain

狭い場所へはジェイソンくんの出番。高所には要注意

トップビューモードでは、『ガンレベル』というシステムが特徴になっています。

f:id:tea_creates:20190712211257j:plain

レベル0の『ブラスター』は非常に貧弱

ガンレベルはレベル0~8の9段階。

レベル0では貧弱なショットしか撃てませんが、レベルが上がれば貫通ショットや火炎放射、シールドなど、多彩な攻撃が可能になります。

必ずしも高レベル=強いというわけではなく、敵にもそれぞれ弱点武器が存在するため、こちらも使い分けが重要。

f:id:tea_creates:20190712211504j:plain

火炎放射は戦闘だけでなく探索にも有用

ガンレベルは『ガンエネルギー』なるドロップアイテムで上昇し、ダメージを受けると低下します。

なので、ダメージを回避しつつ敵を倒してアイテムを集め、高レベルを維持することが戦いの肝。

大抵の場合、敵は避けるより先手必勝で殲滅してしまう方が安全なので、とにかく撃ちまくってガンガン敵を倒すのが推奨される作り。楽しいですね。

 

f:id:tea_creates:20190712211647j:plain

ダンジョンの奥に待ち受けるボスを倒せば強化アイテムが手に入り、探索範囲が広がって次のエリアへ進めるようになります。

ボス戦は大半がトップビューですが、一部はサイドビューもあり、全10種類以上。980円のゲームとしては結構な数がいます。

 

ゆるめの遊びやすい難易度

本作は探索ベースの、いわゆるメトロイドヴァニアに近い形式のゲームですが、探索の難易度は易しめです。

マップはエリアごとに区切られていて構造もシンプルで、目的地はマップにマークされています。マップデータを入手すればアイテムやボスの場所もわかる上に、猪口才な隠し通路もなし。

がっつり探索したい人には物足りないかもしれませんが、探索アクションの入門用にはもってこいの難易度です。

f:id:tea_creates:20190712211904j:plain

アクション面も比較的優しい作り。こまめにチェックポイントが設置されていますし、ボス戦ではトークルームでヒントを見ることもできます。

そしてなにより、トップビューにおけるガンレベル8のウェーブが非常に強力。

ガンレベル最大を維持する必要はあるものの、とりあえず連射していれば大抵の状況は何とかなるレベル。最強ショットはダテじゃない!

f:id:tea_creates:20190712212016j:plain

適当に撃ってるだけで雑魚を一掃できる。大変気持ちいい

とはいえ、プレイが単調に感じることはありません。

各エリアでは、毒沼が満ち引きしたり、水流に流されたり、ステルスしたりとそれぞれ異なるギミックが用意されており、強化アイテムによる機能拡張と併せて飽きない作りになっています。

f:id:tea_creates:20190712212337j:plain

エリア3のギミックは「戦車を動かしてる」感あって特に好き

また、終盤には手ごわい敵もいますし、それでも物足りない! という人のために高難易度のデストロイヤーモードも存在しています。

オールクリア後に解禁されるこのモードは、サイドビューでは敵を倒すと撃ち返し弾が飛来し、トップビューでは弱点武器以外効かないという鬼仕様。武器の使い分けがより重要になっています。

f:id:tea_creates:20190712212447j:plain

デストロイヤーにやられて イロがかわってしまったが…

ご丁寧に弱点設定はノーマルモードから変更されており、強化アイテムの配置も異なっているので、ただ単に難しくなっただけでなく、ノーマルモードとは異なる攻略法を求められるところも特徴的です。

 

レトロテイストのドット絵とBGM

グラフィックはファミコンのレトロなドット絵をベースにしつつ、鮮やかな色遣いで細かく描き込まれており、懐かしくも新しい絶妙なバランスに仕上がっています。

f:id:tea_creates:20190712212746j:plain

水中ステージ。水面の揺らめきと魚影の表現が実に見事

BGMも、メインテーマや序盤で流れる「キーライフル・シュート」をはじめとして熱い楽曲が勢ぞろいで、ファミコンライクながら新鮮な独特の音色がよく耳に残ります。

また、Switch版はHD振動による演出も加えられており、敵の爆発やギミックと連動しています。

f:id:tea_creates:20190712213202j:plain

水道エリアでは、水流に合わせて振動が発生

特に印象的なのがボス戦前の演出。画面にはでかでかとボスの名前が表示され、けたたましい警告音と共に握ったコントローラーが激しく揺れる! こりゃ血が滾るってもんです。

f:id:tea_creates:20190712212857j:plain

f:id:tea_creates:20190712212951j:plain

f:id:tea_creates:20190712213103j:plain

テンション爆上げ

もちろんボス撃破後の爆発でも派手に振動します。このゲーム、ボス戦まわりの演出がこだわり抜かれてて最高。

 

いくつかの不満点

と、ここまでたくさん褒めてきましたが、不満点もいくつかあります。

一つは、マップ移動の手間です。

本作にはワープやファストトラベルといったものはなく、移動は全て自力で行います。

本作で真のエンディングを見るためにはマップデータや拡張パーツなどの強化アイテムを全て集める必要があり、一応全てのアイテムは無駄なく一周で回収可能になっていますが、もし取りこぼしがあった場合、結構悲惨なことになります。

また、ご褒美アイテムがガンエネルギーくらいしかないハズレダンジョンの存在や、被弾時の無敵時間の短さによるちょっとしたハメなども気になりました。

f:id:tea_creates:20190712213618j:plain

結構苦労したのにこれだけ…?

ハズレダンジョンは入る前にマップアイコンで判別可能ですが、気付かずにはいると少々ガッカリします。

ウェーブがとにかく強いトップビューの難易度も、良く言えば大らか、悪く言えば大味でもあります。

 

その他のおまけモード

DLCとして、同じインティ作品の蒼き雷霆ガンヴォルトより主人公のガンヴォルト、ぎゃる☆がんより見習い天使のえころを操作キャラとして遊べるモードが配信されています。

さらに、あのスマブラSPにアシスト&スピリット参戦した『ショベルナイト』や『シャンティ』DLCで登場!

ストーリーは無いものの、どのキャラも原作再現度が高く、ジェイソンとは全く違うアクションが楽しめます。

f:id:tea_creates:20190712213821j:plain

f:id:tea_creates:20190712213937j:plain

f:id:tea_creates:20190712213904j:plain

f:id:tea_creates:20190712214054j:plain

特徴的な演出もばっちり再現されています

また、本編の全ボスと戦う『ボスブラストモード』やローカル二人対戦を行う『バトルブラストモード』もあり、購入したDLCキャラはここでも使用可能です。

ちなみに、Steam版ではガンヴォルトとえころが最初から同梱されている模様。

 

総評

というわけで、以上が『ブラスターマスター ゼロ』です。

探索によって徐々に増えていくアクションと、それらを使い分けるのが気持ちいいステージ設計、本編を遊びやすくしつつクリア後には高難易度モードやボスラッシュなどのやりこみ要素を用意する難易度設計は、まさにインティ・クリエイツの職人芸。

ボリュームの参考程度に自分のプレイタイムタイムを書いておくと、初見時のクリアタイムは約10時間で、慣れてくると1周2時間以内にクリア可能です。980円のアクションゲームとしては短くもないけど長すぎることもない、程よいボリュームと言えます。

ストーリーも王道で熱く、全体的に万人向けでオススメしやすいゲームです。気になった方は是非、万能戦車を駆る地下世界の冒険に旅立ちましょう!

 

おまけ:原作のメタファイトについて

冒頭で「知っておく必要はない」と述べたリメイク元の『超惑星戦記 メタファイト』ですが、現在『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』でプレイ可能。

大まかなマップの形に共通点があったりするので、気になる人は遊んでみてもいいかもしれません。

正直、リメイクされた本作と比べると遊びにくい部分が多く、個人的にはあまりオススメはできませんが……

f:id:tea_creates:20190714120538j:plain

斜め撃ちできないのはともかく、突然湧いた敵と衝突しやすい画面構成がつらい

ファミコンのゲームであることを考慮しても、ちょっと手放しに名作とは言いづらい感じ。BGMなんかはすごく良いんですけどね。

ただ、主人公のケイン・ガードナーやヒロインのジェニファー・コルネットの名前くらいは覚えておくといいかも。