温故知新。
概要
メーカー:インティ・クリエイツ
プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / Steam
初リリース日:2022/1/27
価格:3,980円(税込)[パッケージ版] / 2,980円(税込)[DL版]
公式サイト:白き鋼鉄のX(イクス)2│公式サイト
『蒼き雷霆ガンヴォルト』シリーズから派生した外伝、『白き鋼鉄のX』シリーズの2作目。
前作『イクス1』のレビューはこちら。
『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT』レビュー:インティ・クリエイツが辿り着いた究極の2Dアクション - 2Dアクション好きのゲーム日記
てっきり次に出るのは本編である『ガンヴォルト』の3作目『鎖環』であろうと待ち構えていたところに突如発表され、そのまま先んじて発売された本作。
実際にプレイしてみると、前作にはかろうじてタイトルに存在していた「GUNVOLT」の文字が消え去った意味をしっかりと噛み締めさせられる、そんな一作となっていました。
なお、今回は30時間程度プレイし、ハードモードのいくつかのステージでXランクを取った上でのレビューとなります。
平和を取り戻した英雄、新たなる敵は機械の兵士
前作の戦いで自らの因縁に決着をつけ、世界に平和をもたらした“白き鋼鉄のX”こと"アキュラ"。
彼の新たなる戦いの舞台は、"ワーカー"と呼ばれる機械生命体が暮らす、砂漠の異世界。
アキュラは仲間たちと共に元の世界に戻るため、ワーカーたちの"創造主"が遺した叡智の塔、"グレイブピラー"へと向かいます。
これまで『ガンヴォルト』では夜空の下、『イクス1』では曇天と暗い地下の中戦い続けたアキュラくんが、青く澄んだ晴天の下に立っているというだけでも感慨深いものがあります。
物腰も非常に柔らか。こんなに穏やかに話し合いを申し出るアキュラくんが見られるとは……
舞台となる塔内部では、科学施設の他にも人類の再生を目的とした自然環境の再現区画が存在。
自然と超科学が入り混じった、従来のシリーズとは異なるロケーションが多く用意されているのも、本作の特徴です。
そして今作のストーリーも前作同様、終盤にかけてあっと驚かせるような仕掛けがあり、色々と想像を膨らませる余地も残した興味深いものになっています。
ただ正直なところ、物語がほぼ塔の中だけで完結するため、本作独自の砂漠と機械の世界観については描写が不足しているように感じられます。
ボスである墓守を含むワーカーたちのキャラ付けも、最低限の個性分けはされているものの魅力に欠け、前作以上に薄味な印象は否めません。
トークルームでの会話内容も、武器やシステムの解説が多いのは助かる反面、世界観については設定の開示に留まっており、掘り下げが少々物足りなく感じます。
こういう部分の積み重ねが弱いので、終盤の展開もやや威力が落ちているように思われ、惜しいところがありました。
また、物語冒頭で前作『イクス1』の最大のネタバレを含んでいるので、本作からシリーズに触れる場合はその点も要注意です。
大幅に刷新されたアクション
アキュラのアクションと言えばやはり、空中を高速で駆け、体当たりで敵をロックオンするブリッツダッシュ!
と言いたいところですが、今回はシステムが大幅刷新。
"ブレイクシフト"と"ブリッツシフト"の2形態によって構成され、武器もフォトンレーザーから電動ノコギリのような"ブレイクホイール"に変わっています。
メインとなるのはブレイクシフト。
ホイールの3段斬りでガリガリと敵を削る、地上戦・近接特化のパワフル形態です。
演出も豪快で、あらゆる敵にズパッ!っと斬れる切断フィニッシュが用意されており、『ロックマンゼロ』を彷彿とさせる爽快感が得られます。
さらには地形にも破壊グラフィックが用意されているという拘りっぷり。ドット絵でここまでやってくれるのはなかなか稀少です。
地上ダッシュは"リコイルダッシュ"というタックルになり、ザコ敵をふっとばして怯ませたり、ボス相手にも特定のタイミングで隙を作ることができます。
一方、空中での機動力は抑えられ、ブリッツダッシュは1回まで。
その1回でも一般的なアクションゲームと比べたらかなりハイスピードですが、従来のようにギュンギュン飛んだり跳ねたりというわけにはいかず、地に足付けたアクションが中心となります。
普通にダッシュジャンプで距離詰めたり壁蹴ったりしてると、だいぶ基本に立ち返った感じがしますね。
ブレイクシフト中は、5秒以内に連続で敵を倒すことでクードスボーナスが入ります。
※クードス:敵への攻撃やボーナス行動によって増加するコンボ値。1000を超えるとBGMがヒロインの歌に変化するほか、やり込み要素のスコアアタックにも関係するシリーズ共通のシステム。今作のノーマルモードでは被弾してもクードスが消えない"アパシー"相当のルールに固定されている。
クードスが1000に達しオーバードライヴが発動すれば、空中戦・機動力特化のブリッツシフトが使用可能に。
使用に制限がかかった分、それが解放された時の機動力はこれまで以上にパワーアップしています。
従来のブリッツダッシュは回数制だったため、どうしても斜めバウンドが中心になり、回数が減ったときに角で跳ねたりといった「回復のための行動」をとる必要がありました。
しかし今作では時間制に変更。ダッシュ後、ゲージが尽きるまでの一定時間内に再びダッシュでぶつかることでゲージが全回復し、再度ブリッツダッシュが可能になる、というシステムになりました。
慣れないうちはどこか急かされるような感覚もありますが、コンスタントにぶつかり続けてさえいればブリッツを維持できるため、「目的地に向けてまっすぐ飛ぶ」「空中で連続ダッシュして方向転換する」といった行動がとりやすくなり、より自由自在でスピーディな空中戦が可能になりました。
このようなシステムの変更に合わせ、今回、これまで画面左下に3つあったブリッツゲージが無くなっています。
それに伴い、撤廃されたものが2つあります。リロードとカゲロウです。
ブレイクシフト・ブリッツシフト共に回数制のブリッツゲージを要さない仕様になったため、空中でブリッツが切れても、着地するだけで即座に次のブリッツが可能になりました。
リロードアクションによる硬直は無くなりましたが、同時に急降下もできなくなっております。
ダメージを肩代わりするゲージが無いので、カゲロウも廃止。
代わりの救済要素として、新アビリティ"ハイパーガード"が追加されました。
立ち止まっている間、あらゆるダメージを「1」にしてしまう能力です。
空中でも攻撃中でもいつでも無敵、というわけにはいきませんが、なんだかんだ無効化されることも多かった前作のカゲロウと異なり、終盤までしっかりガードしてくれます。
地上戦の追加、ブリッツシフトの時間制、着地で即ブリッツ回復。
この一連の仕様変更により、従来の回数制ブリッツシステムから脱却しつつ、新たに遊びの幅を広げていこうという試みが見て取れます。
しかし……実際のところ、遊びはじめの頃はブレイクシフトの良さがいまひとつ飲み込めませんでした。
確かにホイールで敵を叩き斬るのは爽快ではあるものの、従来のブリッツダッシュに慣れているとどうしても空中戦をやりたくなり、持ち前の機動力に足枷をかけられているような感覚が拭えず。
ブリッツシフトに関しても、「これまでODアビリティがなければ歌が流れる以外の恩恵がなかったオーバードライヴにアクション面でのメリットが付与された」というと尤もらしくはあるものの、スキル使用やリトライポイントを踏むことでクードスが清算されてしまう都合上、いつでも誰でも楽しめるものではなくなっています。
そんなモヤモヤを抱えながら遊んでいると、ある一つの考え……というか、既視感が、脳裏をよぎるようになります。
これ、もしかするとロックマンをやろうとしているのでは……?
炸裂するロックマンオマージュの嵐
元よりロックマンライクな操作形態のガンヴォルトシリーズですが、今作のブレイクシフトではガンヴォルト特有のロックオンやブリッツダッシュが相対的に弱まったことで、『ロックマンX』や『ロックマンゼロ』を思い起こさせる挙動により近づいた感覚があります。ある種の先祖返り。
しかし遊び進めていくと、それどころではないオマージュの嵐が待ち受けていました。
その代表例がこちら。
ステージギミックや地形、アイテム配置、一部のボスの行動パターンや特徴的なアニメーション、果ては武器の弱点関係まで、様々なシーンで「これ、ロックマン○○でやったやつだ!」な既視感が満載。
ぱっと思い出せるだけでも、X2、X4、X6、ゼロ1~ゼロ4まで、色々な要素が差し込まれています。
もちろん、多くのものは見た目やシチュエーションの一致に留めたり、本作のシステムに合わせたアレンジが加わることで単なるコピーではないようになっていますが、数の多さに思わず笑ってしまいます。
少し話が逸れますが……前作は各ステージある程度の個性付けはしつつも、アキュラの自由奔放な機動力故か、そこまでギミックは前面に押し出されていない印象がありました。
今作はアキュラくんが地に足つけるようになった影響もあり、前作と比べてステージギミックの特色が強めに出ています。
これまでのステージ構成に大味さを感じていた人でも、今作ではしっかり味わって楽しめるのではないかと思います。
そういうところも、これまでのアキュラくんぽくないと言えなくもないかも。
話を戻しまして。
ロックマン要素で特にアクション性に大きく関わっているのが、地上ダッシュ時に姿勢が低くなる仕様の復活です。
これまでのガンヴォルトシリーズではアクションの複雑化を避ける為か取り入れられていなかった要素ですが、今作ではこれを使って敵や攻撃の下をかいくぐる場面があります。
敵が機械なのをいいことに切断フィニッシュを盛り込んでいる点もそうですが、とにかくロックマンをやりたくて仕方ない、そんな熱い想いをひしひしと感じます。
いや、そりゃ私も好きですよ? ロックマンは。
そうだねわかるわかるとうんうん頷くばかりですよ。
しかし作風の変化には、「ロックマンが作った人たちのゲーム」から「ロックマンを好きな人たちのゲーム」への微妙なニュアンスの変化を感じるところもあり……複雑!
もう"ガンヴォルト"ではない
そんなロックマン化の煽りを受けてか、前作でもちょっと上がっていたアクション難度はさらに激化。
特に後半のボスなんかは、結構苛烈な攻撃をしてきます。
一方で救済措置も多く用意されており、その筆頭がRoRoの"モードヒーリング"。
なんとこちら、いつでも・どこでも・何度でも、全くのノーリスクで体力を全回復するという、もはやチートどころではない代物。
うっかり回復が間に合わなくても、低確率で復活できる"モードアウェイクニング"がこれまで通り備えられており、万全の体勢です。
さすがにそれはちょっと強すぎる……という場合はもちろん使わずに進めることもできますし、先述のハイパーガードを含めその他にも様々なアビリティを付け替えられるので、好みの難易度に自分で調整可能。
初心者から歯応えを求める人まで、幅広く誰でも楽しめる設計は今作でも健在です。
……ただしそれは、ノーマルエンドまでのこと。
ここからが本作の一番評価に困るところです。
問題となっているのは、ハードモードの存在です。
その内容を列挙すると、
- レベルアップなし
- アビリティなし
- ボーナスアイテムなし
- モードヒーリング使用不可
- クードスは被弾1回で全て消える"レックレス"仕様
- 無限リトライ制ではなく昔ながらの残機制
- ボスは全員攻撃パターン強化
という、救済措置山盛りのノーマルモードとは大きくかけ離れた高難度仕様となっています。
従来で言えば、SPステージのスコアアタックモードを残機制で少し緩和したような形式で、そこに抜け道は殆どなく、クリアにはアクションの習熟と工夫によってのみ辿り着けます。
これまで通りならまず間違いなく、アクション上級者が好んで遊ぶためのものでしょう。
しかし今回は、このハードモードでしか見ることのできないストーリーが用意されています。
元々、『ガンヴォルト』シリーズはアクション慣れしていない人にも向けた作品として作られていました。
企画当初の時期は以前より2Dアクションゲームは下火になっている認識があったので、まずはどうにかして子どもたちをユーザーとして引き込むことができないかを考えていたんです。とくに「アクションゲームは難しい」という認識を何とか崩したくて。
~蒼き雷霆ガンヴォルト 蒼き雷霆ガンヴォルト爪 オフィシャルコンプリートワークス P.181 より引用~
そのため、従来は真エンドや隠しストーリー到達のためにハードルを少し高く設置することはあっても、レベル上げや装備の強化等でどうとでもなる設計になっていました。
本作のように凶悪な難易度のハードモードにストーリーを置くことは、『ガンヴォルト』の理念に反する設計ではないのか? と考えてしまいます。
ハードモードがこうなので、ノーマルモードにおける無限ヒーリングも、ただでさえ救済措置としては些か乱暴に映るのに、それも結局「カジュアルユーザーでもノーマルクリア"は"できますよ」というポーズでしかないように思えてしまいます。ノーマルエンドが若干の後味の悪さを残して終わるのも悪印象。
一応『白き鋼鉄のX』シリーズは『ガンヴォルト』とは独立展開するシリーズとされており、ジャンルも「ライトノベル2Dアクション」ではなく単に「アクション」とされています。
また、『ガンヴォルト』の発足当時と比べ、インディーゲームの発展で2Dアクションや高難度ゲームを取り巻く状況も変わってきたとは思います。
とはいえやはり、元々『ガンヴォルト』のカジュアルさに惹かれ、そこから地続きに追ってきたユーザー層に対しては厳しい態度であると言わざるを得ず、突然高難度を押し売りされたように感じる人がいてもおかしくはありません。
前作『イクス1』も比較的『ガンヴォルト』の流れを汲む作品であったことを思うと、尚更その変化は拙速であるように思われます。
また、本作からシリーズに触れるという場合も、「ストーリーを全て味わうには高難度のアクションが求められるゲームである」ということを(それ自体の是非はともかくとして)認識した上でやってもらうのがよいと思われます。
極限突破の先にあるもの
さて、そんなシリーズとしての変化はさておき、高難度アクションとしてはどうなのかというと……
困ったことに面白いんですよね、このハードモード。
ハードのボスは本当に手強く、初見ではどう避ければいいかさっぱりわからないような攻撃が雨あられと飛んできます。
しかし、挑戦を繰り返すうちに徐々に動きが"視える"ようになり、さばける技が確実に増えていくのはやはり楽しいもの。難しい分、クリアした時の達成感もひとしおです。
ゲームオーバーでステージをやり直しになる残機制は賛否が分かれそうなポイントですが、自分の場合は道中の動きを最適化して駆け抜けていく工程も含めて楽しめました。
クリア後、ハードモードのスコアアタックを始めてからはそれが更に加速し、噛めば噛むほど味が出るような状態へと突入していきます。
そして最適化を重ねるうち、ブリッツシフトはもちろん、最初は煩わしく感じたブレイクシフトでも、これまでにないスピード感を得られるようになっていきます。
ステージ冒頭は繰り返し遊ぶことになるけど、ラボブロックはバッタがスパスパ斬れるし動きを詰めていくのが楽しかった。
— 紅茶 (@tea_creates) 2022年2月16日
格式を高めよ。#白き鋼鉄のX2 #gunvolt #NintendoSwitch pic.twitter.com/6MSzd0QU8O
先立ってブリッツシフトの項で「ブリッツ回復のための行動をとる必要がなくなった」という旨の説明をしましたが、実の所これはブレイクシフトでも同じです。
なにせ地上戦タイプなので、逆に言うと「いくらでも着地していい」ということになります。
するとどうなるか。御覧の通り、低空横ブリッツダッシュでステージを駆け抜けるアキュラくんの出来上がりです。
この直線的な軌道は、何かにつけてバウンド飛行していた従来のスタイルでは確かにできない動き。
特殊武器"スピンチョッパー"による3段斬りキャンセルも入れればより素早くダッシュへと移行することができ、斬撃のパワフルさと超速ダッシュのスピード感が交錯することで強烈な爽快感を生みだします。格式高いプロペラを讃えよ。
ブリッツシフトの無法っぷりが今まで以上なので、オーバードライブで一気にパワーアップしてゲームが変わる感じもやっぱり良い。
— 紅茶 (@tea_creates) 2022年2月12日
従来ルールだとブリッツ回復を挟む都合、ここまで縦横無尽には飛び回れない#白き鋼鉄のX2 #gunvolt #NintendoSwitch pic.twitter.com/K45jO2nT6r
ブリッツシフトについては既に説明した通りですが、時間制による自由度の増強は想像以上のものです。
ダッシュ1回ごとに繊細な位置調整や角度計算をする必要がなくなり、何度ダッシュしようと軌道修正しようと一定時間内にどこかにぶつかりさえすればOKなので、もはややりたい放題。
オーバードライブで使用制限をかけるのもわからなくありません。
手続き的なブリッツ回復動作を挟むと地形でバンバン跳ねて変態的な挙動になる従来システムもあれはあれで楽しいものですが、今作では回復の手間を最小限に抑えることで、新機軸の魅力を切り拓いています。
試行を繰り返し、突き詰めた超高速の動きでステージを駆け抜け、ボスを両断して最高ランクXを獲得したとき……そこにはまさしく、極限を突破した無類の爽快感が待っていました。
とはいえ、併せて伝えておきたいのは、こういう動きができるようになり、諸々のシステム改修の良さを理解できるようになるまでにはかなりの時間を要したということです。
最初に地上戦の要素が加わると聞いたときは以前よりシンプルなアクションに寄るのかと予感していましたが、実際は選択肢が増えたことで複雑化が進み、却ってとっつきにくくなっています。
おまけにブリッツ周りの変更は考え方を従来から切り替えなければいけない点が多く、そもそも何のための変更なのかをなかなか納得できずに「前の方が良かった……? いや、どうなんだ?」とモヤモヤしている期間が非常に長く感じました。
ボスの強さなどレベルデザイン面の難易度だけでなく、操作習熟の難易度も上がった印象は否めず、雷撃鱗ひとつで攻撃から防御、空中制御まで賄っていた『ガンヴォルト』のわかりやすさを思うと、やはり原点から大きく離れてしまったようには思います。
また、操作に慣れた後も不満の全てが解消されたわけではなく、特にブレイクシフトにおいて敵にダッシュでぶつかってしまうと却ってロスになる場面があり、しっかり敵の前で立ち止まらないといけないのは、従来の「勢いよく飛び回って敵にぶつかっても事故にならない」という良さを殺してしまっており、もう一工夫欲しかったところです。
スピンチョッパーキャンセルによる高速移動も……まぁ、慣れると楽しいんですが、かなり操作がゴチャゴチャしているので、あんまり気軽にやる気はしなかったり。
ロックオンを外す方法が「スキル選択を開く」なのもスマートじゃないというか……そもそも従来だと「ロックオンを外したい」というシチュエーション自体あまり無かったのですが。
スコアアタックのルールについても、難易度ごとにクードスルールが固定されている理由は理解できるものの、それならそれで"ティミッド"に相当する難易度が欲しかったとは思います。
ノーマルとハードで難易度に差がありすぎてちょうどいい中間が無く、以前にあった選択の自由が奪われたような息苦しさは否めません。
あとハードモード解禁条件が異様にわかりにくくて誘導が無さすぎるとか、ラスボス第1形態を倒した後に残ってる攻撃に当たるとか、エンディングの曲の繋ぎがぶつ切りだとか細かいところ色々雑じゃない……?
※ボス撃破後にダメージを受ける問題はアプデで修正されました。
総評
従来のブリッツゲージから解放された新システムによって新機軸の魅力を切り拓きつつも、その操作は複雑さを増してとっつきにくくなり、ハードモードのカジュアルユーザーお断りの高難度も相まって、玄人向けにフォーカスを当てた内容だと感じます。
盛り込まれたオマージュ要素を見ると、古参ロックマンファンへの熱烈なラブコールであるようにも思われます。
ノーマルクリアまでは手厚いサポートがあるものの、根本的な思想は『ガンヴォルト』とは異なる方向へ舵を切ったものと受け止めるのがよさそう。
極限を突破できるかはプレイヤー次第。
楽しんでいる自分の中にも細かな不満点はあるので、もし次回作に続くことがあれば色々と改善されてより進化を重ねられるといいな、とそんな風に思います。
追記:2022/3/16に発表されたアップデートにより、ハードモード開始時に「初期残機200、ヒーリング使用可」の状態で始められる「攻略アシスト機能」をONにできるようになりました。
アシストなしのセーブデータとは分けられる形ではありますが、これにより、ハードモードでもストーリーを見ることは誰でも可能になったと言えます。
選択肢の追加は無いよりは断然歓迎すべきものですが、ヒーリングが救済措置としても強すぎてしまう調整の投げやり感や、ここまで述べてきたようにアクションが複雑化し、魅力が伝わりにくい点を踏まえると、これをもって「従来と同様初心者への配慮が感じられる作風になった」とまでは、残念ながら言い切れない思いがあります。
あくまでもメインのターゲットはアクション上級者、もっと言うと粘り強く遊んでくれるプレイヤー向けであり、建前としてカジュアル層への救済措置もある、といった塩梅でしょうか。
根本的な設計思想は『ガンヴォルト』とは離れた位置にある、という本稿の主題を覆すには至らない印象です。