2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『マイティガンヴォルト バースト』レビュー:特殊武器を自分で作れるロックマン系レトロアクション

f:id:tea_creates:20210513012448j:plain

キャラデザのデフォルメ具合がわりと好き。

 

 

ゲーム概要

メーカー:インティ・クリエイツ

プラットフォーム:Nintendo Switch / Nintendo 3DS / Steam / (PS4)

プレイ人数:1人

初リリース日:2017年6月15日

価格:980円(税込)[Switch版]

公式サイト:http://mightygunvolt.com/MGB/

当ブログではおなじみの、インティ・クリエイツによるレトロスタイル2Dアクション。

同社が開発した『Mighty No.9』『蒼き雷霆ガンヴォルト』『ぎゃる☆がん』のクロスオーバータイトルとなっており、青くて銃を使うヒーロー・ヒロインが集結しています。

PS4版のみ『ぎゃるガンヴォルト バースト』とタイトル名が変わっていますが、ゲーム内容に大きな差はありません。

前作の発売当時に『ぎゃる☆がん』シリーズがPSプラットフォームを中心に展開されていたことや、プラットフォームのユーザー層イメージによる違いと思われますが、現在では逆にSwitch/3DSでは『Mighty No.9』を遊べず、PS4では『ぎゃる☆がん りたーんず』がリリースされていないという状況になっています。不思議ですね。

ちなみに前作である『マイティガンヴォルト/ぎゃるガンヴォルト』ですが、ストーリーもアクション性も別物になっているので、事前にやってなくても全然OK。

 

Mighty No.9 × 蒼き雷霆ガンヴォルト ×(ちょっと)ぎゃる☆がん

f:id:tea_creates:20210516193922p:plain

プレイアブルキャラクターは『Mighty No.9』の主人公"ベック"と『蒼き雷霆ガンヴォルト』の主人公"ガンヴォルト"(通称GV)の2人。

PS4/Steamでは『ぎゃる☆がん』の見習い天使"えころ"も最初から選択可能。

えころはSwitch/3DSではDLC扱いですが、体験版のセーブデータを引継ぐと無料でDLできるので、こちらでも実質的な初期キャラとして使えます。

 

f:id:tea_creates:20210516194302p:plain

他にもDLCとして、各作品からライバルキャラの"RAY"、"アキュラ"、"くろな"が、ヒロインの"コール"、"シアン"、"テンゾウ"(ヒロイン…?)がそれぞれ参戦しており、それぞれ異なる特性を持っています。

スキル発動で超火力を叩き出すシアンや、相棒のロロと合わせたカスタマイズの幅が広いアキュラ、唯一近接攻撃を持つRAYは特に個性的。

ちなみにDLCキャラはSwitch/3DSでは個別購入で200円ですがPS4/Steamではライバル/ヒロインごとのパックで540円で、値段の合計はPS4/Steamの方がお安くなっています。

インティ・クリエイツはたまにこういうややこしい売り方をしますね……

 

f:id:tea_creates:20210516191447j:plain

メインストーリーはMighty No.9』と『ガンヴォルト』のクロスオーバー。

敵キャラクターも8ボスであるマイティナンバーズを中心に両作品から選出され、レトロテイストに描き直されています。

ストーリーの比重は大きくないので、元の作品を知らなくてもアクションゲームとして十分楽しめると思いますが、知っているとちょっぴりじんとくる展開もあって意外と侮れません。

 一方、前作と異なり『ぎゃるがん』からはプレイアブルキャラ以外の参戦は無く、ストーリーもサイドストーリー的な位置づけになっています。

 

レトロで難しいロックマンフォロワー

f:id:tea_creates:20210516191604j:plain
Mighty No.9』と『ガンヴォルト』は『ロックマンX』以降のスピーディなダッシュアクションを受け継いだタイトルですが、本作はレトロな外見同様、初代『ロックマン』に近いジャンプ&ショットのシンプルアクションがベースとなっています。

というかこの遊び心地はもうほぼロックマンロックマンだよこれ!

過去に『ロックマン9』『10』という"本物のロックマン"を作った経験を持つだけあって、操作の軽快さやショットをバシバシ当てる楽しさなど、諸々上手く調整されています。

 

f:id:tea_creates:20210516191637j:plain

後述のカスタマイズやスコアアタックをどう遊ぶかで難易度は大きく変わってくるのですが、基本的にはやや難しめ、くらいの認識でいいと思います。

本編のMighty No.9ロックマン9ほど即死ギミックが多かったりはせず(かといって少ないという程でもないけど)、ザコ敵も即死も適量の配置。

ただし置く場所が絶妙にいやらしかったり、シビアな操作を要求する箇所を多くすることで難易度を上げにきています。

この辺りの調整は多少合わない人もいるかも。

 

f:id:tea_creates:20210516192259j:plain

特に苦戦するであろうポイントはボス戦ですが、同時に一番楽しいのもボス戦でした。

敵はアクティブに動いて多様な技を見せ、見応えもあって個性的。

攻略パターンを指に叩き込むこちらの気持ちにもついつい熱が入る、激しい戦いを演じることとなります。

f:id:tea_creates:20210516191910j:plain

個人的に一番好きなのはボスの中でも特にスピーディなブランディッシュ。よく動く敵ほど楽しい。ヘリコプターをたたき斬る必殺技も派手。

ちなみに8ボスのマイティナンバーズは本編のそれに近い動きをしますが、今回はガンヴォルトのボスを彷彿とさせる攻撃パターンも追加されており、ちょっとしたファンサービスにもなっています。

 

このステージ・ボスの一連のレベルデザインが実にインティ・クリエイツ

なお今回はガンヴォルトシリーズと同様無限リトライ制でチェックポイントもこまめに設置されているため、ミスしても戻されるストレスなく再挑戦できます。見た目はレトロでもしっかり遊びやすい。

この仕様もあって、強敵であるボスに何度も挑むのが楽しい、という印象がより強くなっていますね。

 

高い自由度のカスタマイズ

そんなロックマンライクな本作ですが、"ならでは"の魅力もしっかり用意されています。

f:id:tea_creates:20210516192342j:plain

それがショットのカスタマイズ機能。

本作ではボスを倒しても特殊武器が手に入ったりはせず、代わりにステージ中に様々な機能拡張モジュールが隠されています。

モジュールを集めることで自機やショットの性能を自分好みにカスタマイズできるようになるわけですが、驚くべきはその自由度。

f:id:tea_creates:20210516192357j:plain

ショットの軌道、同時発射の弾数、弾速は初速から最終速度まで、ヒット時の追加効果、属性、攻撃力、オート連射性能など……設定できる項目が非常に細かく、その可能性は多岐にわたります。

カスタマイズにはコスト制限があり、上限を超えた装備を付けることはできません。

しかしその上限コストもアイテムを集めることで上がっていくので、よりゴテゴテに強化機能を付与できるようになります。

f:id:tea_creates:20210516192425j:plain
最初こそ貧弱なショットしか撃てませんが、モジュールを集め、コスト上限が上がるにつれ、弾速を上げて高速で地形反射させたり、地形伝導で当てにくい位置の敵を攻撃したり、拡散弾を至近距離で全弾当ててDPSを上げたり、しまいには威力2倍の地形貫通ホーミング弾みたいなチート装備も作れたりと、どんどん可能性が広がっていきます。

f:id:tea_creates:20210516192459j:plain

モジュールの中にはショットの機能拡張だけでなく、キャラ固有のスキルや移動能力の向上も含まれています。

強化した装備でボスを一方的にやっつけられると、非常に気分爽快。

f:id:tea_creates:20210516192547j:plain

装備のスロットは複数あるので、ロックマンのように8ボスをイメージしたコピー武器を作って使い分けたり、各ボスに対する特攻武器を用意したりもできます。

ロックマンにも特殊武器を集めて強くなっていく面白さがありますが、本作は強化の方向性を自分で選び、上限を超えてどんどん強くなる快感によって、新たな魅力を切り開いています。

 

f:id:tea_creates:20210516195204j:image

どのステージにどんなモジュールがあるかはステージセレクト画面から確認できるので攻略順序を練る楽しさもありますし、ステージを途中離脱してもモジュールの獲得状況は残るので、ボスに苦戦したら一旦別のステージでモジュールを集めることも可能。

f:id:tea_creates:20210516192659j:plain

ステージ中ではダウンジングでモジュールが隠された位置がわかるようになっているので、見つけるのもそう苦労しません。(※ ダウンジング機能はSwitch、PS4のみ)

また、最初のステージでダメージ軽減モジュールが手に入るのも救済措置となっています。

これを使うだけでも大きく難易度を下げられるので、アクションが苦手でガンヴォルトはカゲロウが無いとキツい……という人でも楽に進められると思います。

 

意外と優しいスコアアタック

カスタマイズの活用が攻略を手助けする一方で、Might No.9やガンヴォルトの本編同様、逆に難易度を上げる遊びとしてスコアアタックが用意されています。

本作のスコアアタックで要となるのが、敵を至近距離で撃破すると発生する"バーストコンボ"。

f:id:tea_creates:20210516192756j:plain

小気味いいエフェクト・SEと共に敵が爆散し、これを連続で重ねることでスコアが上がっていきます。

敵に接近する都合上リスクはありますが、コンボ値が増えるとスキルの威力が上がったり、敵の自爆攻撃を防いだりといったリターンもあり、攻略に役立つ要素でもあったり。

途中で被弾してもコンボが途切れなかったり、仮に少しコンボが途切れたり1、2回リトライを挟んでもわりと最高ランクの「S」をもらえたりするので、ガンヴォルトのそれと比べると評価基準は結構ゆるめ。

f:id:tea_creates:20210516193016j:plain

また、ランク評価は自分から詳細を見ないと表示されないようになっているので、AだのBだのCだのといった評価を受けるのがイヤだ、という人も意識しないで済む仕様になっています。

この辺りの切り分けができているのは好印象ですね。

 

色々システムが噛み合ってない部分も

とまぁそんな具合で楽しいゲームではあるのですが、ところどころ気になる部分もあります。

 

まずわかりやすいのがカスタマイズとバーストコンボの噛み合わせの悪さ。

接近しないとコンボが繋がらないのでは、せっかくのカスタマイズも近接特化型しか活躍の機会が無くなってしまいます。

上手く遊ぼうとするほどゲームの根幹部分の魅力が失われていくのは、どうにももったいないものがあります。

9人いる操作キャラも結局同じような武器構成にするのが楽で便利なのも似たような欠陥。

 

また、カスタマイズはいつどこでも可能で、手に入れたモジュールもその場ですぐに組み込めるのですが、これが便利な一方、ステージ進行中にモジュールを見つける度にメニューを開いてやたら多い設定項目の中から増えたものを確認するのがやや煩雑で面倒でもあります。

自由度の高さゆえの弊害でもありますね。

 

f:id:tea_creates:20210516193113j:plain

あとこれは個人的にですが、せっかくドット絵がレトロっぽさとデフォルメ感を出しつつ魅力的に仕上がっているのに、エフェクト効果が強めでレトロテイストが損なわれているのはどっちつかずな印象を受けました。

同社の『ブラスターマスターゼロ』や『Curse of the Moon』に比べると少し不自然な感じ。

 

総評

f:id:tea_creates:20210516193046j:plain

初代ロックマンの基礎であるジャンプ&ショットアクションをベースに、好みの武器を自らカスタマイズできる独自の魅力も備えた一作。

作った武器で挑む強力なボスとの戦いは特に楽しく難しく、よくできています。

色々噛み合っていない部分もあって完璧な仕上がりとは言えないものの、ロックマン好きや歯応えを求める人はもちろん、『Mighty No.9』や『ガンヴォルト』のキャラが好きな人にもとりあえず手に取ってもらいたいタイトルではありますね。