2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『Hollow Knight』簡易レビュー:暗闇、王国、徘徊、会敵、挑戦、敗北、死。死……そして勝利

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Silksong楽しみ!

 

 

概要

メーカー: Team Cherry

プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / Steam

プレイ人数:1人

初リリース日:2017年2月24日

価格:1,480円(税込)[Switch版]

ホロウナイトといえば、インディーアクション界隈では敢えて紹介するまでもない超有名タイトル。

なので今更敢えてレビューする必要性も感じてなかったのですが、先日改めて遊んでみたら「やっぱこのゲームめちゃくちゃ面白いし出来が良い……」ってなったので、簡単にですが所感をまとめてみます。

ホロウナイト、いいよね……

 

暗闇の底に眠る、滅び去りしムシの王国

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まず特徴的なのが、登場キャラクターが"ムシ"であること。

かわいくデフォルメされていることもあり、主人公などを見ていてもそれほどムシっぽくは感じないものの、進めていくとわりと生々しいムシ描写もちらほら出てきます。

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地下水路とか暗闇の巣とか、苦手な人には普通にキツそう。

舞台となるのは、地下の暗闇に眠るムシの王国"ハロウネスト"。

正気を失ったムシたちが徘徊する死の王国となったハロウネストを探索し、如何にして王国が滅びの道を辿ったかを追っていく……というストーリーなのですが、語りが非常に断片的な上にテキストの翻訳がやや固いこともあって、ぼんやり遊んでるといまいち詳細が掴めなかったりします。

 

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一方で、見るものに強い印象を残すのがこのグラフィック。

かつて栄華を極めた痕跡を残す廃墟の寂しさと美しさ、滅びゆく運命に必死に抗おうとした王国の悲壮な物語が、背景美術にしっかりと込められています。

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特にライティングと色使いの表現力はもう圧倒的で、単に美しいだけでなくそこから受ける印象によって物語を語りかけてくる凄みがあります。

詳細がよくわからなくても、画面と音の力によって雰囲気に浸らせて、最終的に「よくわからなかったけどなんか良かったな……」と感じられる一作ではありますね。

 

シンプルながらも調整が行き届いた、歯応え抜群の探索アクション

ゲームの形式は探索アクション。いわゆるメトロイドヴァニア

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基本アクションは上下左右への斬り攻撃と非常にシンプル。

もちろん進めていくうちにダッシュや壁蹴り、遠距離攻撃や急降下攻撃など色々技が増えていきますが、それらも比較的スタンダードなつくり。

 

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特徴的と言えるのは、調整の行き届いた難易度高めのレベルデザインと、とにかく広大なエリアマップ。

異常なくらいマップが広く、中盤以降はどのエリアをどんな順番で進めるかの自由度もかなり高めです。

初見プレイ時は苦戦でミスを重ねたこともあって、クリアまでに30時間以上を要することになりました。1500円のメトロイドヴァニアとは思えない大ボリューム。

普段は値段に対するボリューム感というのはあまり評価に入れないのですが、こればかりは言及しないわけにはいきません。やり込み要素も含めればとてつもないコストパフォーマンスです。

 

マップの広さに対して、セーブポイントやワープポイントの配置はわりと点々としていて、間隔が長め。

道中でミスすれば、結構な距離を戻されることも。

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ミスすると所持しているお金が全額その場に亡霊のような形となって残るため、取り戻すには再び亡霊の元までミスすることなく辿り着かねばならず、非常に緊張感があります。

かといってただ厳しいだけではなく、救いの手も差し伸べられています。

受けたダメージは"ソウル"を消費して回復が可能。

ソウルは敵にダメージを与えるとたまるので、戦いが続く限りはリカバリの機会があります。

しかし回復時は大きな隙を晒すことになるので、うかつなゴリ押しは禁物。

セーブポイント間の長い道のりの中で高い緊張感を保ちつつ、その緊張感を損なわない範囲でリカバリのチャンスを与えることで、難しいながらも説得力のあるフェアな戦いを演出しています。

 

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敵の一体一体の攻撃パターンや地形に対する配置も、それぞれはシンプルなようでいて、どの場面においても「無闇に攻め過ぎると手痛い反撃を食らうが、リスク回避の行動ばかり取っていても勝てない」という調整になっているバランス感覚が見事。

アクションがシンプルであるからこそ、攻め過ぎても守り過ぎても勝てない間合いの呼吸がより奥深く楽しめます。

 

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もう一つ特徴として、舞台が地下ということもあり全体的に画面が暗い場面が多め。

ですが、その場その場のシチュエーションで必要な間合い分の視界は確保されており、見た目の印象ほど「見えなくて困る」ということは……そんなにはありません。そんなには。

見えにくさを悪用したわからん殺しも無いわけではないものの、少なくとも普通に本編をクリアするだけならそこまで気にならず、全体のクオリティの高さを損なうほどのものではないかな。

 

総評

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美しいグラフィック表現に、クオリティの高さと広大なマップが魅力の一作。

アクションがシンプルかつ操作性も非常に良好なため、操作の部分にはとっつきやすさもありますし、シンプルであるが故にアクションゲームの原初的な面白さ、奥深さがストレートに伝わってきます。

「敵の技を覚える」「反射神経を研ぎ澄ます」「位置取り、間合いに気を配る」のバランス感覚が非常に良いのですよね。

セーブポイントの間隔の長さや、ミスした際のペナルティとして所持金全ロストの恐れがある点はやや厳しさを感じるところでもありますが、適度なリカバリの機会を与えることでそれも説得力のある調整になっています。

ただ地図を購入しないと通った道であってもマップ確認ができないのはもう少し親切でもよかったな、とは思いますが……

また、ゲームスピードが速く、反射神経が必要な場面もあるのでアクションが苦手な人にはオススメしづらいです。あとメトロイドヴァニアは手軽に遊びたい」という人にも向かないかも。

逆に言うと、ハイスピードなボスとの激闘、間合いの呼吸を掴むギリギリの攻防、ミスのリスクを抱えつつ未踏の地へ進んでいく緊張感のある探索……といった部分に魅力を感じる人にはぴったりハマることでしょう。

個人的には強く推したい一作です。

 

おまけ:神へ至る道はあまりに長く険しい

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アクションゲームらしくボスラッシュモードもあります。

ボリュームおばけの本作、ボスの数は隠しボスも含めてなんと総勢40体以上。

まずそれぞれ10体ずつと戦う4つの神殿をクリアした後、最後に全ボスと通しで戦う第五の神殿に挑むという構成です。

40体以上と戦うのはめちゃくちゃ時間もかかるししかも難しい。

全体的に水準の高いゲームとはいえ、流石に40体以上もボスがいると中にはあんまり楽しくない奴も混ざってますしね。

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ありがたいことに1体ずつ個別に練習できる部屋も用意されているのですが、自分はそこで、ラッシュの最後に待ち受けるラスボスの強化バージョンに1勝できるようになるだけで2週間くらいかかりました。

本当にべらぼうに強くて全神経を研ぎ澄ませないと勝てないので、「作った人は人間の能力と気力を信用しすぎじゃない?」って思いましたね……

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自分は第五神殿をなんとかクリアしたところで燃え尽きましたが、その上にさらに縛りを設けて難易度を上げることもできるそう。恐ろしいことです。

正直ちょっと……いやかなり遊んでてつらいところもありましたが、クリア時の達成感も過去にないほど凄まじく、挑む価値はあったと感じています。

これ以上に難しい2Dアクションも他にはあるかもしれませんが、これだけの面白さを保った上で、となるとちょっと想像ができないレベル。

本編と難易度の上限が違い過ぎるので簡単に人に薦められるものではありませんが、アクションゲーマーとしての限界を試したい人ならば、やってみるのもいいかもしれません。