概要
商品情報
メーカー:WONDER POTION / NEOWIZ
プラットフォーム:Nintendo Switch / Steam
初リリース日:2023/11/9
価格:1,520円(税込)
ストアページ:
このゲームのジャンルを問われたら、私は2Dアクションとアドベンチャーが1:1のハイブリッドと答えます。
基本的にゲームはシナリオに沿って進み一本道。探索要素もありません。
一般的な2Dアクションと比較すると、ストーリー描写の方に重きを置いたバランスです。
一方で、アクションの方もオマケということは決してなく、非常に本格的なワイヤーアクションとなっています。
ゲーム全体の構成はシンプルなのですが、シナリオ・アクションの両面で非常に完成度が高く、洗練され、プレイヤーを惹き付ける強烈なエネルギーがあります。
物語とアクションが一体となって襲いかかる、衝撃的な展開の数々。ゲームだからこそ味わえる感動。
極力ネタバレもしたくないので、伝えたいことはただ一つ。
「SANABIを やれ」
謎が謎を呼ぶサイバーパンク・サスペンス
本作の物語は、「復讐劇」から始まります。
主人公は軍を退役した凄腕の元"将軍"。
将軍は大切なものを奪った謎の存在"サンナビ"を追い、メガシティ"マゴ特別市"にその手がかりがあると聞きつけます。
マゴ市は巨大企業"マゴグループ"が支配する街。
突如としてブラックアウトを起こし、一切の情報が遮断されたマゴ市に乗り込んだ将軍は、調査のため派遣されたハッカーの少女"マリ"と出会い、マゴ市に起きた異変の原因を探るため、そしてサンナビに復讐を果たすため、行動を共にすることになります。
この物語には様々な謎が散りばめられています。
マゴ市に起きた異変。巨大企業の陰謀。サンナビの正体。
謎が謎を呼び、先の展開への興味を常に引きつつ、次々と新たな危機に襲われプレイヤーに刺激を与え続ける。
こうしたサスペンス要素がサイバーパンクの世界観と非常にマッチしており、一度ゲームを始めたらプレイヤーを虜にして離さない、強力な物語の引力を持っています。
爽快でテクニカルなハイスピード・ワイヤーアクション
主人公である将軍の片腕は"チェーンフック"を備えた義手になっており、これを活用したワイヤーアクション……つまり、フックを引っかけて振り子のように飛んでいくのが、本作のメインのアクション要素になります。
ワイヤーアクションというと小難しい印象があるかもしれません。
実際本作のアクションも相応にテクニカルではあるものの、一方で直感的かつ爽快に動かせるよう、操作性はかなり洗練されたものになっています。
たのし~~~~~~~~!#SANABI #NintendoSwitch pic.twitter.com/7knsQMLLxz
— 紅茶 (@tea_creates) 2024年4月13日
フックの射出先はLスティック操作で狙いとキャラ移動を兼ねる形式ですが、ターゲットラインの表示でどこに飛ぶかがわかりやすく、補正が効くので適当な操作でもしっかり良いところに当ててくれます。
リーチが長く、撃ったら即引っかかるくらい射出速度も速いのでとても扱いやすい。
スイングの途中でブーストをかけることで勢いをつけ飛距離を伸ばすこともでき、慣れてくるとスピード感のある爽快アクションが可能になります。
かなり引きのカメラで視野も広いので、動きが速くても先も見やすく、安心。
ハー ハー どうだ#SANABI #NintendoSwitch pic.twitter.com/OTyJj6l0bV
— 紅茶 (@tea_creates) 2024年4月13日
最初は基本操作ができれば十分ですが、ゲームが進むにつれて徐々に使えるアクションやギミックが増え、要求テクニックも難しくなっていきます。
本作には難易度選択があり、いつでも変更可能。
イージーならダメージによる死が無くなり、なかなかやさしくなります。
とはいえ落下時は容赦なく戻されますし、中盤以降の即死ギミックは無効化できません。
幸いチェックポイントは細かく設置されているので、根気よく挑むことが重要です。
私の場合は初回から難易度ベテランで挑みましたが、ほどよく苦戦してちょうどいいくらいでしたね。
物語とアクションのシナジーが生み出す、ゲームだからこその体験
本作ではアクションシーンでも、ストーリー展開に合わせた緊迫感のあるシチュエーションが多く用意されています。
大体何かに追われて「急いで逃げなきゃ!」という展開が多いですが、焦りの中で精密な操作を行うシチュエーションは手に汗握りますし、プレイヤー自身の恐怖によってより敵が大きく驚異的な存在に見え、印象深い体験になります。
シナリオ全体で見ても、プレイヤーの手で駆け抜けるからこそ得られる感情が込められた、ゲームだからこその物語だと感じました。
キャラクターに感情移入させるプロローグの流れがまず素晴らしく、そこから飽きることなくずっと目が離せない展開の連続。
プレイ中は幾度も衝撃を受け、終盤の流れは特に、遊ぶ手が止まらず一気にプレイしてしまいました。
謎を散りばめつつ、それらに作中でしっかりと答えを出し、最後には全てが一点に収束していく、サスペンスとしての構成も見事。
これは私にとって物語に対する事実上の最高評価として受け取ってほしいのですが、最後の方は何度も目に涙が浮かび、決壊寸前でした。
ここまで感情が揺さぶられることもそうはありません。
クリアタイムはおおよそ9時間ほどでしたが、クリアするとまた最初から遊び直したくなる作品でしたね。
Chapter選択機能で開始地点を細かく選択することも可能なので、途中からやりたい場合も安心です。
総評
SANABIを やれ