2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダーラビリンス-』レビュー:幅広い層に安心してオススメできる、オーソドックスな探索アクション

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Team Ladybugへの信頼高まる。

 

 

概要

メーカー:Team Ladybug / WSS playground / PLAYISM

プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / PS5 / Xbox Series X|S / Xbox One / Steam

初リリース日:2021/3/27

価格:3,980円(税込)[パッケージ版] / 2,480円(税込)[DL版] / 2,200円(税込)[Steam]

公式サイト:

ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー | Game(インディーゲーム) | PLAYISM(プレーイズム)公式サイト

ファンタジー小説ロードス島戦記のヒロイン"ディードリット"を主人公に、新章『誓約の宝冠』に至る空白の物語を描いた作品。

原作者監修のもと、『Touhou Luna Nights』などを開発したTeam Ladybugの手によって探索型2Dアクションゲームとして作られています。

自分はロードス島戦記は未読ですが、Team Ladybugの新作ということで興味を持って購入しました。

 

原作未読でも大丈夫

原作小説があるとなると、「原作ファンでないと楽しめないのか?」というところが気にかかってしまいますが、その辺りは特に問題ないように感じられました。

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最低限の世界観説明はゲーム冒頭にありますし、本筋は「永い時を生きるエルフの物語」としてそれ単体で十分理解し、楽しめるものになっています。

 

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もちろん作中では、おそらく原作本編に活躍したであろうキャラクターが多数登場します。

本編での彼らとの関係性は深く言及されないため、時に会話の内容を掴みかねる場合もありますが……そこも「本編ではどんな関係が築かれたのだろう?」と想像でき、でも然程ノイズではない範囲の、良い塩梅なのではないかと思います。

 

テキスト量自体、特別多いというわけではないので、原作を知っている/知らないという理由で手を引っ込める必要は、ひとまず無いかと思われます。

 

オーソドックスな探索アクション

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ゲーム内容の方はというと、極めてオーソドックスな探索アクションとなっています。

つまりは、マップを探索し、新能力や扉の鍵を見つけ出し、ボスを倒してまた次のエリアへ……という形式。

ビジュアルやアクション、RPG風の要素があるところなどからも、全体的に『悪魔城ドラキュラ』シリーズ、特に月下の夜想曲からの影響を見て取れます。

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歩きのモーションやアイテムの浮き方なんかもうあからさま!

 

実際にプレイしてみても、かなり基本に忠実に、そつなく丁寧に作られた作品だとわかります。

特に、どの要素も全体的にボリューム感の調整が程よく感じられました。

 

マップは狭くはないけど特別広いというほどでもなく、そう複雑でもないため、迷子になることはあまりありません。

装備アイテムの類は、剣や大剣などメイン武器と、サブ武器の弓矢の2種類。

それぞれ種類は豊富に用意されているものの、防具などは無かったりと、RPG要素もシンプル寄りです。

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かといって探索のし甲斐がないわけではなく、様々な魔法を集めることでアクションに幅が広がったり、矢を地形に反射させて仕掛けを解くギミックが要所要所に設置されていたりと、探索にアクセントを与える要素も散りばめられています。

探索アクションとしてのエッセンスは押さえつつ、比較的コンパクトに調整されているため、探索が好きな人もそうでない人も、幅広く楽しめる設計ではないかと思われます。

 

ただ、基本に忠実であるが故に捻りがなく、似たような印象のシンプルな地形が多いこともあって、やや淡白な印象も受けます。

逆に言うと余計な味付けはされてないので、安定した品質を求めるなら間違いない、ということでもありますね。

 

属性切り替えバトルが楽しい

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さて、そんな本作の個性であり面白さのコアを担っているのが、ボス戦の作り込みと、そこに組み込まれた属性切り替えシステムです。

まず先に、属性のシステムについて説明しましょう。

といっても、わかる人には『斑鳩』の一言で済みそうですが――

ディードリットの2つの属性を持ち、この2種を瞬時に切り替えることができます。

属性にはいくつか効果がありますが、まず1つ目が攻撃への付与です。

敵によっては弱点や無効属性が設定されているので、それを見てこちらも攻撃属性を切り替える必要があります。

なお、敵の耐性は一目でわかるようになっています。

 

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2つ目の効果は――これが最も重要なのですが――敵の攻撃の吸収です。

自分と同じ属性の攻撃は、吸収してMPを回復させることができます。

つまり、風の攻撃が来たら自分も風に、火が来たら自分も火に……といった具合。

 

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3つ目。まず属性には1~3のレベルがあります。

レベルが高いほど攻撃力が上がり、さらにレベル3ならHP回復効果が付くので、なるべくレベル3をキープしたいところ。

ここで特徴的なのが、敵から攻撃を受けると今装備している属性のレベルが下がり、逆に敵に攻撃を当てると装備していない属性のレベルが上がるということ。

すなわち、風装備時にダメージを受けたら即座に火に切り替え、ダメージを回復しつつ攻撃を当てて風のレベルを3に戻す(もちろんこの間、攻撃を受けないように気を付ける)……といった戦法が有効になってきます。

 

以上のようなシステムが、道中もそうですが、特にボス戦に上手く組み込まれています。

ボスはどれもしっかり作り込まれており、歯応えのある強敵揃い。

苛烈な攻撃パターンを見切り、各属性のレベル3維持を意識しつつ、2種の属性が織り交ぜられた弾幕を属性切り替えで吸収し、MPがたまったら魔法をぶちかまして……という具合に、目まぐるしく頭を回転させつつ立ち回らなければいけないのですが、これが実に楽しい。

HPには比較的余裕があり、回復手段もあるのでそうあっさりと死んだりはしないものの、連続で攻撃を食らってレベルが下がるとジリ貧でやられてしまうので決して油断もできない……しかし、諦めずレベル3まで上げれば持ち直すこともできる。この調整が絶妙なのですよね。

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ボスの攻撃パターンは基本的にある程度決まっているので、苦戦していてもそのうちにパターンが掴めてきます。

最初は属性をガチャガチャしながらゴリ押し気味に食らいついていたのが、徐々に攻撃をすいすい避けられるようになる、しっかり上達を実感させてくれる仕組み作りがまた上手い。

ゲーム全体を通して難易度を上げていく過程で、単に操作精度の要求を上げるのではなく、意識する思考のラインを増やしていくような設計も上手く、「ガチガチのアクションゲームは苦手だ」という人でも自然に腕前を鍛えられるようになっているのではないでしょうか。多分。

そうでなくともレベルを上げたり回復アイテムを買い込んだりといった攻略もできるので、歯応えを求める人はもちろん、そうでない人でも幅広く楽しめると思います。

 

芸術的なドット絵アニメーション

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忘れてはいけない本作の大きな魅力の一つが、このドット絵の美しさ。
描き込みの細やかさはスクショを見てもわかると思いますが、綺麗なだけでなく良く動いて画面を華やかに彩ってくれるのも嬉しいところ。

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特に、主人公ディードリットと各ボス達のアニメーションには、並々ならぬこだわりを感じます。

ゲームは見た目ではない……というような意見もありますが、やっぱり見た目からしっかりカッコよく作ってくれると、特にアクションゲームはボス戦の盛り上がりが違います。

 

最後に、ステージ開始時の演出がとても良い、というのを紹介しておきます。

ささやかながら、こういうものの積み重ねがゲームの手触りに大きく影響してきますね。

 

総評

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参考までに、クリア後は色々調べたりもしつつマップを埋めるところまで遊んで、総プレイタイムは3時間程度。

コンパクトな内容ではありますが、その分探索の魅力が手に取りやすく、属性システムをベースにした歯応えのある戦闘も楽しませてくれます。

全体としてはややオーソドックス過ぎるきらいがあり、属性システムを加味してもシンプル寄りで個性が弱い印象もありますが、その分丁寧に作り込まれた安定感のある作品なので、こちらとしても安心して幅広くオススメしたいところですね。