2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『Cyber Shadow(サイバーシャドウ)』レビュー:容赦なしの難しさ! 序盤は地味だが慣れると爽快なニンジャ・アクション

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 レトロでサイバーでハードコアなニンジャ。

 

 

ゲーム概要

メーカー:Mechanical Head Games / ヨットクラブゲームズ / インティ・クリエイツ

プラットフォーム:Nintendo Switch / PS5 / PS4 / Xbox One / Steam

プレイ人数:1人

初リリース日:2021年1月26日

価格:1,980円(税込)[Switch版]

公式サイト:http://cybershadowjp.com/jp/

フィンランドのAarne Hunziker氏と音楽担当のPentadrangle氏の2名が中心となって開発された、8bit風2Dアクションゲーム。*1

インティ・クリエイツとヨットクラブゲームズはあくまでパブリッシングの立場のようですが、レトロ2Dアクションのメーカーとして実績のある両社がお墨付きを与えたタイトルということで、かねてから期待を寄せていました。

実際プレイしてみると、個人的に『ショベルナイト』や『Curse of the Moon』ほどではないものの、高難度アクションとして満足いく一本だと感じました。

というか、インティとヨットクラブがパブリッシャーだからその2作と比べちゃうけど、そもそも個人製作でここまでの作り込まれてるのはよく考えたらヤバいレベル。

なお、初見時のクリアタイムは約5時間半でした。参考までに。

 

廃墟と化した未来都市を駆け抜け、忍びの力を取り戻せ

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龍を信仰し、特殊な力を身に着ける忍者一門の一員である主人公「シャドウ」

彼が深い眠りから目を覚ました時、その体は機械に包まれ、そして世界も変わり果てた姿になっていた。

 

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彼らが守ってきた「メカシティ」は人造人間の襲撃によって廃墟と化し、一門の仲間も滅亡の危機にあった。

シティに起こった悲劇の原因を知るため、そして囚われた一門の巫女を救うため、シャドウはメカシティの闇に立ち向かうーーー。

 

目覚めたシャドウは力を失っており、はじめはシンプルな刀攻撃しかできません。

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走ってジャンプして斬るだけの、ファミコンライクな状態からスタート。

ステージを進めていくにつれ、手裏剣や壁蹴り、空中下突きなど、徐々に忍者としての力を取り戻していくことになります。

 

中でも特徴的なのはダッシュ斬り。

高速で宙を抜け、すれ違いざまに敵をたたき斬る実に爽快なアクションです。

衝突事故のリスクも高いので乱発は危険ですが、本作ならではの魅力と言えばこれですね。

習得がわりと後半なのが惜しいところですが、ダッシュ斬りをマスターするころには、序盤がウソのような攻撃力・機動力が手に入ります。

 

探索要素はあまりなく基本的に一本道ですが、徐々に攻撃力・機動力が向上していく様子は、『メトロイド』で最初は短距離ビームしか撃てないサムスが無敵の強さに変貌していく過程にちょっと似ているように感じました。

 

容赦なしの高難度。腕に自信のある人向け

難易度は”高い”と断言していいでしょう。

特に、対処が地味~に厄介なザコ敵の多いこと多いこと。

刀が届かないギリギリをずっと浮いてる奴とか、あと画面外に飛んで行ってから体当たりを仕掛けてくる系の敵も何体かいたり。

落ち着いて対処すれば理不尽では無いとわかるものの、ちょっと意地悪に感じる部分もあります。

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1面から既にこんな感じ。

同じ位置の砲台を2度破壊しないと復活して後ろから攻撃してきたり、思いがけない位置からニュッとトゲが生えてきたり。

ノックバックで落下死を狙う昔ながらの戦法もよく見られ、ちょっとした油断が命取り。

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ニュッ

この、容赦のない難しさの中に活路を見出していく楽しさは、確かにクラシックなアクションゲームのそれに近いものがあります。

 

ステージギミックやザコ敵のバリエーションは豊富なので、飽きることはありません。

こちらが新たな能力を得るのに合わせて、敵さんもあの手この手で苦しめてきます。

 

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ボス戦も個性的かつ強敵揃い。

終盤に向かうにつれてデカくてダイナミックなボスが増えていくのも楽しかったところですね。

個人的にはラストの連戦が一番好き。

 

本作は残機性ではなく、チェックポイントから無限にリトライ可能な方式。

とはいえチェックポイントの間隔はやや長め。場所によっては結構戻された気分になり、「すぐにリトライできて楽ちん」という感じではありません。

かといって長すぎることもなく「またここからか……でもそろそろ行けそうだよな……」と思わせる絶妙なラインなのが上手いところ。

 

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難易度緩和の方法としては、ステージに隠されたアイテムを取ることでHPやSPゲージを上昇させるなど。

先のステージで能力を得てから戻らないと手に入らないアイテムもありますが、各ステージの区切りにワープポイントが置かれており、アイテム取得率も確認できるので、自力でも集めやすくなっています。

 

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また、チェックポイントではお金を支払うことでHP回復やSP回復、ポイントごとに異なる便利アイテムの獲得といった機能拡張を行える独自のシステムがあります。

アイテムは場面に合ったものが用意されているので、詰まってきたらそちらを使うという手もありますね。

ちなみに大抵の場合HP回復は最初から解禁されているので、お金が無くて困ることはそんなにありません。

 

とはいえ、それらを活用しても正直そこまで劇的に難易度は変わらないので、救済要素と呼べるほどのものではありません。

イージーモードとかも無いので、あくまでアクションの歯応えと達成感を求める人向けのゲームと言えます。

 

レトロゲームと、ニンジャへの熱いリスペクト

もちろんグラフィックやBGMのレトロ表現も見所の一つ。

演出もバッチリ決まっていて、このOPステージの入りでもう「あぁ、今から面白いゲームが始まるんだな……!」と感じさせてくれます。

 

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ちなみに1種類のみですが、フィルタ機能もあります。

結構色味が変わりますが、個人的にはこちらもあり。

 

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シネマティックに展開されるストーリー演出や、『龍の忍者』という設定、メッセージを遺した忍者の遺体がやたらと道端に倒れていたりと、要所要所で某ニンジャゲームへのリスペクトを感じる部分もあります。

インタビュー記事に名前が挙がっていなかったのでホントに意識してるかはわかりませんが……*2

 

序盤の地味さがちょっとツライ

難点としては、序盤の地味さ。

先にも書いた通り、本作で最も美味しいアクションであるダッシュ斬りの解禁は後半になってから。

それまでのシャドウのアクションは素朴というか……あんまりパッとしません。

足場を踏み外しても一瞬ジャンプ判定が残る、いわゆる"コヨーテタイム"があるなど、操作性自体は良好なんですけどね。

一方で難易度は序盤からそれなりに高いので、そこで旨味を感じられず悪印象を持つ人はいるかもしれません。

 

またダッシュ斬り習得後も、PVのようなスタイリッシュアクションは相当熟達しないとできないので、「なんか思ってたのと違う……」という感想がつい出てきてしまいます。

苦戦していた箇所をダッシュ斬りでバシバシ進めるようになるとホントめちゃくちゃ爽快なのですが……そこまでが遠い。

 

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あと、個人的にですがパリィも苦手で、3周目くらいでやっとコツを掴めました。パリィというか、ブロッキングですよね、一般的には。

それほど必須スキルってわけでもないのが救いでしたが……

 

スキルについての説明不足も気になったところ。

オプションでコマンドダッシュをOFFにしないとワンボタンでダッシュできるのがわからないのは、さすがにちょっと不親切だと思いました。

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これ、デフォルトだと「→→」としか書いてません。

 

総評

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本作は難しいゲームで、目立った救済要素も無く、全然優しくありません。

むしろ、多少の意地悪に耐えうる図太さを求めてすらきます。

しかし、ギリギリの戦いで活路を見出す快感、困難を乗り越えた後の達成感に憑りつかれたアクションゲーマーの期待には応えてくれる。そんなゲームです。

解禁が遅く習熟も難しいものの、ダッシュ斬りでステージを駆け抜ける快感は本作ならではのものでもあるので、気になる人には手に取ってもらいたい一作です。 

 

 

*1:『Cyber Shadow』は、ファミコン愛から生まれたフィンランド産“Sci-fiニンジャ”アクションゲーム https://automaton-media.com/articles/iotw/20161220-36544/

*2:8bitサイバー忍者ACT『Cyber Shadow』ーゲーム開発について知れば知るほど、より複雑になっていった【開発者インタビュー】 https://www.gamespark.jp/article/2021/01/31/105724.html