3DSのダウンロードソフトに『ガンマンストーリー』という作品がありまして。内容はロックマンをリスペクトしつつ、手書き風の独特なグラフィックや、程よくまとまった難易度とボリューム、200円というお手頃な価格が魅力的で、結構お気に入りの作品でした。
そんなガンマンストーリーの開発元が魂斗羅風の新作をリリースするということで、気になって買ってみたのが本作『メカフォース』であります。
ゲーム概要
メーカー:フライハイワークス
プラットフォーム:Nintendo Switch
ジャンル:アクションシューティング
初リリース日:2019/6/20
価格:1200円
メカフォース(Nintendo Switch) | フライハイワークス
本作は、銃を連射して敵を撃ちまくりながら進む、横スクロールのアクションシューティングゲームです。魂斗羅やCupheadなどに代表される、主に海外でラン&ガンと呼ばれるジャンルのゲームですね。
本作ならではの特徴としては、雑魚敵を蹴散らして進むような通常ステージが無く、巨大ボスとの戦闘のみに内容を絞っているところですね。
多彩で個性的な巨大メカの数々が、プレイヤーを待ち受けます。
開発はスウェーデンのHorberg Productionsで、日本での販売元はフライハイワークス。
基本は魂斗羅
ストーリーは極めて単純明快。
謎のメカ軍団が地球を侵略にやってきた! 世界は支配され、軍も壊滅! 残った戦力は主人公ただ一人! 戦え! 地球を取り戻すその日まで!
という、もはや説明不要なノリ。
待ち受ける巨大メカ軍団に対し、主人公は単身生身で立ち向かっていきます。
メインの攻撃手段はマシンガンで、任意の方向に向けて連射可能。
もう一つの攻撃手段として近接攻撃があり、他にもゲームを進めていくと壁つかまりや二段ジャンプといったアクションが増えていきます。
敵である巨大メカは、それぞれ弱点部位があり、弱点を全て破壊することで倒すことができます。ただし、赤色の弱点は近接攻撃でしか壊せません。
よって、まずは射撃で敵の装甲や砲台を破壊して弱らせ、巨大な体をよじ登って弱点部位に近接攻撃を喰らわせる! というのが基本的な戦闘の流れになります。
こう書くと『ワンダと巨像』に近い要素もありますね。
巨大にして多彩なボス戦
本作の見どころはやはり、ボス戦にあります。
全十数体のボスはその全てが巨大メカですが、キャタピラ戦車に始まって人型ロボット、多脚戦車、ムカデにカタツムリに三頭竜と、どいつもこいつも個性的。
敵のボディには装甲や砲台が多数装備されており、苛烈な砲撃をかましてきます。こちらも負けじと撃ちまくれば破壊することができ、装甲の剥げた部分は掴まってよじ登ることができます。
銃を乱射して装甲を派手に爆破しまくるのは爽快ですし、装甲を剥がすことで弱点まで辿り着くルートも徐々に見えてきます。
基本的に弱点を一つ二つ壊して終わるような軟弱メカはいません。
巨大なボスの体をあちこちよじ登って、多数ある弱点を一箇所ずつ撃破する必要があったり、やっと倒した!と思っても変形して全く別の攻撃パターンに変化したりします。
もちろん各段階ごとに攻略法も異なるので、一つのボス戦の中でも展開が変わっていって飽きが来ません。
こんな感じで「巨大メカボスと戦っている」感を存分に味わわせてくれるのは本作の大きな魅力と言えます。
攻略し甲斐のある難易度
アクションの難易度はやや高め。
どのボスも最初は苛烈な攻撃に苦しめられますが、よく観察すればボスの動きもわかってきますし、よく見なくてもとりあえず銃を撃ちまくっていればなんとなく攻略法は見えてきます。
前述の通りボスはどれも個性的なので、単調さはなく、毎回何度も死にながら攻略法を探っていく楽しさがあります。
また、ボス戦の合間に訪れる拠点では、ショップで体力増加アイテムや新たな射撃武器を購入することができます。
武器は火炎放射や反射レーザーなど、初期装備のマシンガンを含めれば全6種類。
ボスに苦戦する場合も、挑戦を続ければお金は自然と貯まっていくので、一旦拠点に帰って武器を買えば新たな攻略の糸口が掴めます。
とはいえそれでも正直なところ、理不尽さを感じる場面が無いわけではありません。
終盤、特にラスボス戦なんかは結構つらい内容で、単に攻撃が苛烈というだけでは済まない難しさだと感じました。
ゆるいユーモア
拠点では部隊の仲間と会話ができるのですが、この会話がなかなかユーモアにあふれていて楽しませてくれます。
真面目に戦況の報告や世界観の解説をしてくれる人もいるのですが、大抵目につくのは戦時中とは思えないほどゆるいジョーク。
中でも特にゆるいのが、基地にクッキーを届けに来ただけなのになし崩し的に部隊に加入させられたオーレ士官。リーダーであるジョンソン隊長のジョークか本音かわからない言動もイカしてる。
拠点会話以外にも笑える演出はいくつかあり、個人的に一番好きなのがゲーム冒頭のデモ。
序盤で仲間が壊滅して残った戦力は主人公だけ! という展開はゲームだと珍しくないと思うのですが、このゲームの演出は潔すぎて笑うしかありませんでした。
他にも、同スタジオが開発した『ガンマンストーリー』の話や、知っている人はニヤリとできるネタもいくつか仕込まれています。
操作感や視認性はやや難あり
そんなこんなで楽しいゲームなのですが、遊んでいて気になった部分にも触れておきましょう。
まず、ジャンプの操作感に結構クセがあります。慣性の強いふわりとした挙動で、走り出しでジャンプすると空中で急加速するような妙な感覚もあり、最後まで慣れませんでした。
ボス戦では緻密な操作を求められる場面もあるので、これはつらいところでした。
また、巨大なボスを映すためにかなり引きのカメラになっており、スケール感は感じられるもののその分プレイヤーキャラがかなり小さめ。オプションでプレイヤーマーカーをつければかなりマシにはなりますが、敵の攻撃や爆風の派手なエフェクトに紛れて見づらいことがわりとあります。
ダメージを受けたときの反応も小声で「ウッ」って言うくらいなので、いつ攻撃を食らったかわかりづらく、気が付いたらダメージが嵩んでいる、なんてことも。
もう一つ細かい点として、武器切り替えが一つのボタンのみで行う仕様で、とっさに任意の武器に切り替えるのが難しく、少々不便に感じました。
総評
操作感や視認性には少し引っかかるところがあり、それを抜きにしてもやや理不尽さを感じる場面はあるものの、ボスのメカギミックの多彩なアイデアや、「巨大な敵と戦っている」感の演出には素晴らしいものがあり、本作ならではの魅力と言えます。
BGMの質もよく、戦いを大きく盛り上げてくれます。
自分のクリアタイムは約3時間でしたが、終わったときには「たったの3時間だったの?」と思えるだけの密度のあるゲーム体験でした。
『魂斗羅』シリーズが好きな人や、PVを見て巨大メカボスとの戦闘に惹かれた人なら一見の価値あり。オススメです。