セールでワンコインのロックマンみたいなゲームはどんなもんかな、と思って買ってみたら想像以上にロックマンだった。
ゲーム概要
メーカー:eastasiasoft
プラットフォーム:Nintendo Switch
ジャンル:アクション
初リリース日:2019/6/20
価格:580円
Nintendo Switch|ダウンロード購入|METAGAL
開発はRetroRevolution。海外ではPS4やXbox Oneでも発売されており、日本でもSteamで購入できますが、日本語対応はSwitch版のみ。
ロックマンをリスペクトしたゲームであることは、一目見れば誰でもわかることでしょう。タイトルも『MEGAMAN』に対する『METAGAL』でそのまんま。
じゃあ実際どの程度ロックマンなのか? ロックマン並に面白いのか? ロックマンファンとしては気になるところ。
セールでワンコインで買えたので試しにやってみたのですが……思ってた以上にロックマンだったけど、ロックマンには及ばない……そんな感じでした。
ストーリーはほぼロックマン
物語は、世界征服を目論む「クリーパー将軍」によって「レイ博士」と博士が作った4人の姉妹ロボットが連れ攫われ、姉妹ロボットが悪の手先の戦闘用ロボットに改造されるところから始まります。
唯一助かった少女ロボット「Meta」は、バトルアンドロイド「METAGAL」に変身し、博士と妹たちを救うべくクリーパー将軍に戦いを挑みます。
似たような導入をもう100回くらい見た気がしますね。「聖剣を引き抜いた勇者が魔王を倒す旅に出る」くらい伝統的なフォーマットと言えます。
今回のポイントはロボットだけでなく博士も攫われているところと、敵が科学者でなく軍人なところでしょうか。
ちなみにレイ博士が作ったプロトタイプ戦闘ロボット「GAL.0X」というキャラも敵として登場します。ブルースですね。
アクション・システムも大体ロックマン
メインのアクションはジャンプとショット、そしてダッシュ。壁蹴りはできません。
チュートリアルを兼ねたOPステージをクリアすると、4つのステージを選んで出撃。それぞれ改造された姉妹ロボットがボスとして待ち受けており、倒すとボスの攻撃をコピーしたスペシャルアタックを使えるようになります。
細かな仕様の違いとして、スペシャルアタックの使用はクールタイムが必要で連発はできませんが、代わりに弾数制限もありません。
また、最初から使えるスペシャルアタックとして、高威力のパワーショットもあります。
残機制ではなく、ミスしても無限にリトライ可能。
チェックポイントは数部屋ごとにありますが、道中で拾える「ギア」を消費して「リボーン」すれば、ミスした部屋の最初からやり直せるので、普通にコンティニューするよりお得。
また、ギアはスペシャルアタックとして使用することで体力を微量に回復もできます。
即死ギミックで難しい場面もありますが、そういうところには大体ギアも置いてあるので、リトライや回復用に使っていけばわりとサクサク進めるバランス。
ボスもそこまで強くはなく、弱点武器がなくともパワーショットが強いのでなんとかなります。
また、各ステージに隠された強化アイテムを見つけることで、スペシャルアタックのゲージ回復力やバスターの強化などの効果を得られる、という要素もあります。
そうして4つのステージをクリアしたら、最後はクリーパー将軍の砦に殴り込みをかけます。これも伝統に則った様式ですね。
ステージや敵も…ロックマン!
と、この手のゲームにおける一種のフォーマットに則った本作ですが、進めていくとわりと細部に至るまでロックマンのコピー…もとい、リスペクトが凄まじいことになっていることがわかります。
雑魚敵は動きだけでなく見た目までどこかで見たような連中ばかりだし、ステージギミックやボスの攻撃パターンにまで既視感があふれています。
ロックマンを何作かやった人ならば、「このパターン、ロックマン〇〇で見たやつだ!」が頻発することでしょう。
インディーゲームで名作のオマージュが入るのはよくあることですが、本作はあまりのそのまんま具合にちょっと「やりすぎでは?」となる域。
もうちょっと欲しいぞ…個性が!
一応、ワープギャルステージのギミックやボスから得られるスペシャルアタックにはある程度工夫が見られ、新鮮さを感じられなくもないです。
また、クリア後にはボスである4人の姉妹ロボットを操作キャラとして使えるようになりますが、ここも少し良かったポイント。
結構凝ったつくりで、ボスとして出てきたときの性能そのままで動かせる感覚があります。
とはいえ全体の印象としては、やはり既視感の方が勝る内容です。
やりこむと細部の粗さが目に付く
ロックマンプレイヤーには既視感が強くても、名作をコピーしたらそれなりに面白くなるのでは? と思うかもしれません。
実際、それなりには楽しめるのですが、細かい粗も点在しています。
まず、ポーズ画面から復帰すると、その瞬間スペシャルアタックが勝手に発動するという不具合めいた現象があります。もちろんゲージは消費されますし、回復するまでスペシャルアタックは撃てません。
#NintendoSwitch pic.twitter.com/NRTvOlAI6W
— 紅茶 (@tea_creates) 2021年5月16日
また、画面スクロール時の雑魚敵の復活が早く、上に進む場面で倒したはずの敵が下から攻撃してくる、なんてこともあります。
他にも背景がごちゃついてて少し見づらいとか、ジャンプ台設置の武器が使いにくくて思った通りに設置しにくいとか、ダッシュボタンがXでジャンプボタンがBなのでダッシュジャンプしにくとか、その上キーコンフィグもないとか、細々とストレス要因があります。
普通にクリアするだけならそこまで気になりませんが、本作はステージクリア時にミス数やクリアタイムに応じてFやらAやらの評価がつくシステムがあり、これで最高評価のSランクを採るにはノーミスで規定タイム以内にクリアしなくてはいけません。
高評価のために完璧なプレイを目指すと、上記のような粗にかなりモヤモヤさせられるようになってきます。
特に終盤のステージは難易度が高く、ノーミスで突破するには何度もリトライする必要があり、わりと苦行。
本作を遊べば遊ぶほど、「やっぱりロックマンって操作性もレベルデザインもすごく丁寧に調整されてるんだな……」という実感が湧き出てしまいます。
総評
過去の名作のオマージュは、インディーゲームではよくあることです。
オマージュに終始しない独自の魅力があったり、作品そのもののクオリティが高ければ、そうしたオマージュは大抵快く受け入れられます。
しかし本作はその域に達しておらず、申し訳ないけど単なるロックマンの劣化コピーという印象です。オリジナリティを感じず、値段を考慮しても調整の粗が多め。
全くつまらないという程ではありませんが、これならもう400円出して『マイティガンヴォルトバースト』を買った方が良いし、そうでなくとも『ガンマンストーリー』をもっとお安く買うことができます。
「安価でロックマンライクな2Dアクション」に絞っても他に選択肢がある状況で、本作をあえてオススメする理由は特にありません。惜しいですが…
溢れんばかりのロックマン愛は伝わってくるので、それを確認するために遊ぶのならあり…なのかな?