2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『Valdis Story: Abyssal City』レビュー:多彩なスタイルで強敵に挑め。不親切だがやり応え十分なアクションRPG

 

 

はじめに

メーカー:Endlessfluff Games

プラットフォーム:Steam

初リリース日:2013/09/08

価格:1,480円(税込)

ストアページ:Steam:Valdis Story: Abyssal City

レビューのために改めて製品情報を調べてみて気づいたんですが、このゲーム定価1,480円!?
安すぎる……!

Steamライブラリに記録された私の総プレイ時間は57.3時間
開きっぱなしで放置してた時間も結構ありますが、だとしても少なくとも50時間はやっていたことになるでしょう。

2Dアクションでこれだけ遊べて1,480円は破格も破格。しかもその気になればまだまだやり込めそう。
というか自分はセールで買ったので確かもっと安かったはず……

 

本作はKickstarterで資金を集め開発された、2D探索アクションゲーム。

公式でサポートされているのは英語のみですが、先日有志による日本語翻訳パッチが配信されたため、こちらを適用すれば日本語でもプレイ可能です。
私もこちらのパッチを当ててプレイしましたが、高品質なローカライズで問題なく楽しめました。

最新版:https://drive.google.com/file/d/1MgJtHmKjhAk-CuOgc7iKoDDk9HldJJLa/view

 

本作には4人の主人公がおりまして、難易度ノーマルでそれぞれ本編を1周ずつプレイしてのレビューになります。

 

ゲーム概要

ストーリー

"ヴァルディス"とは、その世界にかつて君臨していた死の女神の名。
ヴァルディスには闇の女神"ミルガト"光の女神"アラガス"の2人の娘がいました。

ある日、闇の女神の反乱によってヴァルディスは討たれ、街ごと海の底へと沈められます。
それからというもの、光と闇の女神は世界の覇権を争い、飽くことのない戦いを繰り広げていました。

そんな中、ミルガト軍を裏切ったケイデン将軍の息子、"ワイアット"を中心として、どちらの軍にも属さない者、両軍を離反した者たちが集まり、神々に反旗を翻すようになります。

ワイアットたちが海上でミルガト軍のヒョゴクン騎士団を追っていた時のこと、海中から現れた巨大な生物の手によって、ミルガト軍もろとも、彼らは海の底へと沈められます。
離ればなれになった彼らが辿り着いたのは、かつて女神ヴァルディスが暮らし、魔力のドームによって今もその姿を残す街、シテイルでした。

仲間を探すため彼らはシテイルを探索し、知られざるヴァルディスの神話を目撃することになる……
というのが、本作のストーリーになります。

 

難易度高めの探索型2Dアクション

ゲーム内容としては、オーソドックスな探索型の2Dアクション
いくつかのエリアに分かれたマップを探索し、ボスを倒して新たな能力や鍵となるアイテムを入手することで、さらに探索範囲を広げていく……というもの。

その中でも本作は装備やレベルなどのRPG要素があり、さらに戦闘の歯応えが重視された作品であると言えます。
メトロイドかヴァニアかでいえば、断然ヴァニア派ですね。

 

先述の通り、主人公は4人
ゲーム開始時に1人を選んで、途中変更は無し。

ストーリーの大枠や登場するボスは共通ですが、キャラ性能の違いによって異なる攻略法を楽しめます。
出自も性格も全く異なる4人のため、同じようなシーンでも掛け合いに個性が出ているのも面白いところ。

個人的にはヴラディンの、最初はキザ男感を出してるけど進むにつれどんどん三枚目ムーブになっていく感じが好きでした。

 

難易度は高め。
道中のザコ敵なんかも、サクサク「処理」するような感じではなく、1体1体「戦闘」をしなければなりませんし、ボスも強敵揃い。
ゲーム後半のボスなどは特に、一筋縄ではいきません。

対するプレイヤーの特徴的なアクションは、主に「スキルキャンセル」「パリィ」

「スキルキャンセル」はこちらのアクションを即座にキャンセルし、そのまま横入力することで無敵ダッシュができる回避系のアクション。
空中で使えば急降下してそのままダッシュに繋げることも可能で、移動・戦闘・ギミック解除でもお世話になります。
便利な分、クールタイムが必要なので乱発はできませんが。

「パリィ」は敵の攻撃にタイミングを合わせてガードすることでカウンターを繰り出せるというものですが、判定がかなりゆるいのでわりと景気よく決められます。

敵の苛烈な攻撃をスキルキャンセルで避け、即座に反撃してコンボを決める!
敵が反撃してきたらパリィでカウンターを喰らわせ、怯んだ所に再びコンボをお見舞いする!
そんな風にして強敵に挑んでいくのが楽しいゲームです。

 

自由度の高い多彩な戦闘スタイル

本作の魅力のひとつが、育成の自由度によって生まれる多彩な戦闘スタイル。

まず基本的なところですが、本作には敵を倒すことで経験値を貯め、それによってレベルが上がるシステムがあります。
レベルが1上がる度に、「Str」「Agi」「Int」「Luck」の4つのステータスから1つを選んで上昇させるほか、スキルツリーの能力を1つ解放することができます。

キャラごとに適したステータスはあるものの、そうでないものにももちろん伸ばすメリットはあるので、なかなかどうして調整に悩みます。
スキルツリーの方も、最初からわりと選択肢が多く、キャラごとに効果も全く異なるので、効果をよく読んで方針を決める必要があります。

武器、防具、アシストで呼べる仲間や、必殺技なども探索を進める過程で増えていき。それぞれ強化することも可能。
武器は特に、1キャラ当たり4種類ほどと数は少ないものの、数値的な性能だけでなくアクション性や伸ばすべきステータスがガラリと変わることもあり、いいアクセントになっています。

あと重要なのが「スペル」こと魔法の存在。

最初から各キャラが持っている2種+ストーリー中で手に入る4種の全6種。
それぞれ異なる属性と入力方向に合わせた4つの技を持っており、戦闘用はもちろん、探索範囲を広げるためのアクションも含まれています。

ステータスの伸ばし方に、装備、スキル、そしてスペルの選択。
これらの組み合わせによるビルドの多彩さが、本作のプレイスタイルの幅を大きく広げています。

ちなみに私は回復系のスキルを優先して覚えて、とにかく死なないゾンビみたいな戦法を取っていました。
ゴリ押しでも勝てればいいんです。ボス戦のリザルトでも死なないことは大事だし……

 

4人の主人公についても、軽く紹介しておきましょう。

まず1人目、"ワイアット"はオーソドックスな剣士キャラ。
スペルもバランスよく使えるものの、やはり近接戦闘でガンガン斬り込んでいくのが楽しいところ。
パリィとも相性がいいので、最初に選んで雰囲気を掴むのに適したキャラです。

 

"レイナ"もわりと近接系ですが、こちらはInt重視の魔法キャラ。
惜しみなくスペルや魔法武器を使って畳みかけつつも、MP残量にも気を配るのが重要。
2周目にはちょうどいいキャラでした。

 

そろそろ変化球が欲しくなる3人目の"ヴラディン"は、銃と使い魔召喚で戦う遠距離型。
……なんですが、実は素手もやたら強いので万能型。
使い魔はヘイトを買ってくれるのが大変ありがたいものの、打たれ弱いからって何度も出しているとあっという間にMPがなくなるので、これまた管理が重要です。

 

最後となる"ギルダ"は他のキャラとはいくつか仕様が異なり、ピーキーな性能になっています。
通常攻撃でMPを消費する代わりに常に属性が乗っており、初期スペルに他のキャラに無い毒属性があって2段ジャンプまでできたりと色々高性能な反面、ガードが無いのでパリィもできなかったり、回復手段に乏しく打たれ弱かったりするため、他のキャラとは全く異なる立ち回りが求められます。

 

という感じで、プレイヤーの慣れに合わせて段々テクニカルなキャラ性能になっていくのが良いですね。
必ずしも順番に遊ぶ必要はありませんが、個人的にはこの順番がオススメです。

もちろんそれぞれのキャラに前述のビルドの多様さがあるため、とにかく遊びの幅が広くて飽きません。

 

甘さは捨てよ

さてそんな本作ですが、難易度調整は良くも悪くもキツいところが多めです。
歯応えがあって楽しいこともあれば、時につらさを感じることもあり。

特に気になったのは、ノックバックの硬直・ダメージ後の無敵なし・数の暴力の合わせ技。
要は「敵の攻撃にハメられて全然抜け出せない」といったことがわりと頻繁にあるのです。

道中でザコ敵が一斉に襲い掛かってくることあれば、戦闘中にザコ敵を呼び出してくるボスなどもおり。
後半のボスになってくると、1人でプレイヤーをお手玉のようにしてコンボを決めてくる敵も少なくありません。
プレイヤーがコンボを決められるなら、逆もまた然り。

立ち回りやビルドを見直して攻略せよ、という話ではあるのですが、それにしたって数秒間にわたって抜け出せないままめった打ちに遭い、大ダメージを受けたりそのまま死んだらするとあまり面白くはありません。

ノックバックの硬直は、縦に長いエリアの探索中に高所から落下した際にも大きめのストレスになったり……

まぁ、とにかくあまり優しくはないゲームです。

 

4周したけど何もわからん

アクション的な部分以外にも、本作はとにかく不親切さが目立ちます。

まずはマップのわかりにくさ。

本作は結構細切れにエリアが分けられていますが、マップは現在いるエリアの分しか見られないので、慣れないうちは各エリアがどのように繋がっているかの把握が困難です。
また、マップに記録される情報も乏しいので、どこに何があったんだか見失いがち。

序盤こそわかりやすく順路の説明があるものの、自由度が一気に上がる後半からは迷子になる度合いも急激に上がります。

 

次に困ったのが、素材の管理。
本作にはショップはありますがお金の概念は無く、全ての売買は素材を集めることによる物々交換で行われます。

素材アイテムの種類は1画面に全部収まるくらいなのでそこまで闇雲に多いわけではないものの、とはいえわかりやすさからは程遠く。
大体ショップに行くと「何か素材が足りないみたいだけど、それがどこで手に入るかよくわからない」ということが起きます。

その気になれば事典メニューでどの敵が何のアイテムを落とすか確認することはできますが……このメニュー、ゲーム内で図書館まで行くか一度タイトル画面まで戻らないと見られないので、そんなに気軽にチェックはできません。とにかく不便!

先述のマップの問題もあり、どこで何を売ってるのかわからなくなることもしばしば。
今もよくわかってません。素材を渡してステ振りリセットしてくれる人がどこかにいた気がするんだけど、どこだっけ。幻?

 

というか戦闘システム周りも正直、何がなにやら……
スキル周りでは色々用語が出てくることがありますが、それについての具板的な説明はほぼ無し。

神罰状態」とは?「ホットストリーク状態」とは?
何もわからない……

まぁこの辺はわからなくても、難易度ノーマルでクリアするくらいだったら特に問題ありませんが。フィーリングでOK。

 

他にも、ヴラディンのような召喚系の戦闘スタイルだと画面がしっちゃかめっちゃかになってわかりにくいとか、トゲのトラップがめちゃくちゃダメージが大きいわりに小さすぎて見えづらいとか。
わかりにくい・不便・不親切といった話題には事欠きません。

 

なんだかんだで、慣れると楽しい

とはいえ、慣れてくるとなんだかんだ楽しくなってくるのもこの手のゲームの常でして。

最初はわかりにくいマップも個々のエリア構成はわりとシンプルなので、キャラを変えて2周目に入る頃には全体の構成が頭に入っており、どんな順路でボスを倒して回るのが効率的か工夫してみたり。

各キャラで性能は違うものの、基本的な操作は共通しているので、苦戦した敵も段々サクサク倒せるようになります。
ボス戦の内容はタイムやコンボ数でランクが付けられるのですが、ランクが高いと経験値を多く得られるので、その後の進行もよりスムーズになります。

プレイヤーに厳しい本作ですが、その分上達すればするほど面白くなっていく深みも用意されているように思われます。

私も1周目クリア時点では「しんどかったし2周目以降はクリアに必要なボスだけ倒せばいいか……」と思っていたのですが、気づけば全キャラで裏ボス撃破まできっちりやっていました。

 

総評

色々と不親切でプレイヤーに厳しく、ユーザビリティの面では決して高く評価はできませんが、その分プレイングの幅広さや上達の喜びも感じられる本作。

探索型ではあるもののどちらかといえば探索要素はやや淡白で、あくまで戦闘を重視した内容です。

わりと人を選ぶゲームだとは思いますが、『悪魔城』の系統や高難度のアクションRPGが好きな人ならば馴染みやすいのではないでしょうか。お値段もお安いですし。

あと、このレビューではお伝えすることは叶いませんが、本作はBGMのクオリティも高いので、そちらも楽しんでいただきたいところです。

 

追記:

BGMは下記リンク先で試聴、購入可能です。
個人的に好きなのは『Don't Back Down 』や『Thriven With Life』でしょうか。

Valdis Story: Abyssal City | Zack Parrish

Valdis Story: Abyssal City - Dark Side of the Abyss | Zack Parrish