2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『悪魔城ドラキュラ - Grimoire of Souls』レビュー:悪魔城の長き歴史がここに。モバイル向けのクロスオーバータイトル

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概要

メーカー:KONAMI

プラットフォーム:Apple Arcade

初リリース日:2021/09/17

公式サイト:TOP |悪魔城ドラキュラ Grimoire of Souls 公式サイト | KONAMI

本作は、悪魔城ドラキュラ』シリーズの歴代キャラクターが一堂に会する、クロスオーバータイトル。
2023年1月現在、移植作を除けばシリーズの最新作です。

iOS端末やMacなどのApple端末であれば、月額600円のサブスクリプションサービスApple Arcadeに加入することでプレイ可能で、ゲーム内課金は無し。

元々は基本無料タイトルとして発表され、海外の一部地域で先行リリースされるも、日本でのリリースに至る前にサービス終了。
その後、Apple Arcadeタイトルとして正式リリースされるという複雑な経緯を持っています。

まぁ、自分はそれほど仔細に情報を追っていたわけではなく、あまり詳しくは無いので詳細な事情については割愛します。

また、先行リリース時も含めアップデートによって内容も色々変わっていった模様ですが、自分がプレイしたのは2022年12月、Ver.1.4.1の内容のみ。
それ以前のバージョンについては、やはり割愛します。
これから遊ぶ人にとっては関係ないですしね。

 

悪魔城ドラキュラ』シリーズとは

さて、本作の内容について触れる前に、悪魔城シリーズについて軽くまとめておきましょう。
スマブラ参戦やTA動画などで断片的にしか知らない、という人も多いでしょうし。

悪魔城シリーズは、1986年にディスクシステムでリリースされた悪魔城ドラキュラから始まり、約30作以上ものタイトルが名を連ねる人気シリーズ。

ストーリーは一部の外伝やリメイク、リブート作品を除き、一本の時系列に沿って展開。
作品ごとに主人公や年代が移り変わり、宿敵である魔王ドラキュラと、それに立ち向かうベルモンド家を中心としたヴァンパイアハンター達の、1000年以上にわたる長き戦いの歴史が描かれています。

ゲーム内容は一部を除いて概ね2Dアクションで、シリーズ初期のものはステージクリア型、後期に入ってからはRPG要素のある探索型が主流になっていきます。

後期の探索型タイトルの中でもIGAこと五十嵐孝司氏が手掛けたタイトルは根強い人気を誇り、本シリーズの英語タイトルであるCastlevaniaの名はメトロイドと並び探索2Dアクションのジャンル名として定着しているメトロイドヴァニアの由来となっています。

ちなみに私の場合、主要なシリーズ作は概ね(計16作)プレイしていますが、名作とされる悪魔城HDこと『悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair』は未プレイです。
同作も本作と同様、シリーズ作品が交わり合うタイトルとなっているとのことですが、内容を比較してのレビューはありませんのでご注意を。

 

時代を超えて英雄達が集う、クロスオーバーストーリー

魔王ドラキュラを巡る1000年の戦いに終止符が打たれ、さらに月日が流れた頃。
ドラキュラ伝説は過去のものとなり、世界には平穏が訪れていたが―――ある日、ドラキュラや悪魔城に関する資料の収集・保管を担う機関"エルゴス"に異変が生じる。
戦いの歴史を記した魔導書が暴走し、溢れ出した魔力は魔物となって現世に混沌をもたらさんとしていたのだ。

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有角幻也こと、"アルカード"―――ドラキュラの息子であり、人類の守護者であるその男は、危機を前にして再び刃をその手に取る。

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戦いの舞台は、過去の各時代の戦いを記した、魔導書の中の悪魔城。
共に立ち向かう仲間は、エルゴスの若き研究者"ルーシー"と、彼女によって目録より召喚された古の英雄達。

かくして今、悪魔の城の伝説に新たな1ページが刻まれ始める……

 

本作のストーリーの魅力はやはり、時代を超えて歴代の主人公たちが集うクロスオーバー展開でしょう。
登場作品は一部のタイトルに限られてはいますが、会話イベントは豊富に用意され、シリーズの垣根を超えたキャラの交流を丹念に描いてくれています。

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シモンが祖先であるラルフのことをアルカードに尋ねたり、ジョナサンが本家であるベルモンドの一族にモリス家の苦悩をぶつける一方、シャーロットがシャノアに大人の女性の秘訣を聞く一幕や、幼いマリアが単身で悪魔城に乗り込んだエピソードに周囲が驚愕したりなど……
シリアスなものからコミカルなものまで、ファンなら「これが見たかった」と言いたくなる夢の共演が目白押し。
特に、月下、ラビリンス、刻印あたりが好きな人なら、たまらないものがあるでしょう。

 

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当たり前と言えばそうですが、どの場面でもキャラをしっかり捉えているのが嬉しいところ。
定番の決め台詞から原作のちょっとしたエピソードまで丁寧に拾い、「このキャラならここはこう言うだろうな」という納得、「そういえば原作でそんなこともあったな」というノスタルジー、「あの設定をここで繋げてくるのか!」という驚きまでもを与えてくれます。

何よりも、他の時代の者と交流することで各々のキャラもより掘り下げられているのが良いところ。
元々悪魔城シリーズには「作品ごとに主人公が変わるが、無関係の他人ではなく、血統や共通の敵に立ち向かう同じ目的によって繋っており、一つの長い歴史を形作っている」という部分に大きな魅力がありましたが、本作では本来決して交わらぬ者たちが時代を超えて交錯することで、その繋がりの魅力が存分に発揮されています。

悠久の存在であり歴史の生き証人であるアルカードや、魔導書、そして本作の新キャラであるルーシーの存在を中心とした物語としてもしっかり味わい深いものになっており、単に夢の共演を楽しむだけのお祭り的な作品ではなく、蒼月の後の時間軸から歴史を俯瞰しまとめ上げる、ある種の集大成のような位置付けの作品としても楽しめます。

 

同じだけどちょっと違う、ステージクリア型のアクションRPG

さて、先程書いた通り悪魔城と言えばステージクリア型の純粋アクションか探索型のアクションRPGかの概ね二択ですが、本作は両者の中間、ステージクリア型のアクションRPGとなっています。

まず、メイン操作キャラとなる5人を紹介します。

 

アルカード

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月下の夜想曲を筆頭に、様々なタイトルに登場するシリーズの顔。
他のキャラとは異なり、召喚された存在ではなく本人。
メイン武器は剣で、扱いやすいオーソドックスなキャラ性能。

 

シモン

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悪魔城ドラキュラ』『ドラキュラⅡ』の主人公。
もう一人のシリーズの代表的存在であり、作中でも最も高名なベルモンドとして後世に伝えられています。
メイン武器はもちろん鞭であり、動きは重いが攻撃範囲の広さが自慢。

 

マリア

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『血の輪廻』より参戦、ベルモンドの遠縁の少女の、幼い頃の姿。
バク転やヘッドスライディングによるアクロバティックなアクションは本作でも健在。
歩きながら足を止めずに攻撃することができ、オート連射による殲滅力の高さが売り。

 

シャーロット

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ギャラリーオブラビリンスのダブル主人公のうちの一人。自他ともに認める天才魔法使い。
ショットによる遠距離攻撃、魔法の箒による探索性能の高さが魅力。
射程が長い分攻撃力は低めのため、敵に囲まれた時に注意が必要。

 

シャノア

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奪われた刻印の主人公。グリフの力で戦う、魔を切り払う剣。
本作においては槍や大鎌など長物の武器で戦う。
空中でのコンボが強く、探索でも役立つ機動力も兼ね備える。

 

この他、ゲージを貯めることで一時的に使用可能になるアルターアーツとしても幾人かのキャラがいます。

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アルターアーツは広範囲に大きなダメージを与える必殺技を備えていたり、メインキャラの代わりにダメージを肩代わりさせることもでき、ここぞという場面で頼りになる存在。

 

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編成メニューでメインキャラ、装備、アルターアーツを選択したら、ステージに突入します。
ステージ中での変更は無し。

 

操作について。

スマートフォンであれば、仮想パッドによるタッチ操作でプレイ可能です。

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画面左側で移動。素早くフリックすればバックステップやダッシュ
画面右側をタップすることで攻撃。4方向にフリックすることで、サブウェポンや武器スキルを発動可能。ちなみに、目の前に敵がいたらオートで通常攻撃を行う設定もできます。
その他の操作は仮想ボタン。ジャンプやスライディング、アルターアーツの発動など。標準で2段ジャンプ可能なのがありがたい。

タッチ操作の使い心地ですが、しばしばスキルが誤発動したりアルターアーツの反応が妙に悪かったり焦るとジャンプが攻撃に化けたりはするものの、個人的には思っていたよりは快適に遊べるかな、という具合でした。
後半になってくると本格的なアクションが求められる場面も出てきますが、自分はほぼ全編タッチ操作でプレイしていました。
やはり、スマホだけでさっと遊べる手軽さがよいですね。
とはいえ、人に薦められるかと言うと判断が難しいところもありますが……

もちろん物理パッドも使用可能。
CS機さながらのプレイが可能ですが、移動はスティックのみで十字キーが使えないので要注意。

 

キャラの操作感はバックステップやスライディングなど悪魔城らしいアクションをベースに、3Dグラフィックに合わせた質量感のあるものになっています。
スキルモーションの硬直が長めだったりややもっさりと感じられる部分もあるものの、手応えが気持ちよさに寄与している部分もあり、これはこれで楽しくもあります。

また、スライディングでガードを崩したり、通常攻撃がコンボになっていたりと、従来のアクションにちょっぴり新しい魅力が付与されています。

 

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ステージはシリーズの各作品をモチーフとしており、場所によっては原作の特徴的な地形を忠実に再現していることもあります。
もちろん敵もシリーズおなじみの連中が登場していますが、攻撃パターンにアレンジが入っているものも多くいます。

全体的に、シリーズの資産をベースに置きつつ、一味変えた手応えのアクションゲームとして新しく作られているように感じられます。

 

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なお、ステージやボス戦のBGMは基本的に過去作の流用となっています。
原曲のほか、『HD』や『ジャッジメント』、『THE ARCADE』版のアレンジが多め。
ごく一部に本作での新規アレンジもありますが、本当に少数なのでそれがプレイの目的になるほどではないと思います。

ちなみに、数少ない新曲であるメインテーマの『Grimoire of Souls』やメニュー画面の『Soul Resurrection』も過去作に劣らぬ名曲。
この2曲、かなりの頻度で聴くことになるので耳にも残るのですよね。

 

ソシャゲ風の育成要素

元々基本無料タイトルとして作られてた名残か、本作の育成サイクルには所謂ソシャゲ的な要素が多くあります。
ガチャやログインボーナス、デイリー/ウィークリーのミッションやらなんやら……

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慣れていないと初めは色々複雑そうに感じてしまいますが、とりあえず目的としては装備のレベルを上げさえすればいい、という構成なのがわかりやすいところ。
一応キャラごとのレベルもありますし、装備には敵から得られる"ソウル"を使ったエンチャントによる強化もありますが……攻略に効果が大きいのは、装備レベルによる強化。

ガチャで星5装備を引いて、装備レベルを上げてステータスと強い武器スキルで殴る! そういうゲームです。

ちなみに、キャラはストーリー進行で追加されるので、キャラガチャは無く、ガチャは装備のみ。
また冒頭にも書いている通り、本作に追加課金は無く、ガチャのためにリアルマネーを投資することはありません。
ガチャを引くのに使うアイテムを"ジェム"と言いますが、ゲーム開始時にたんまりもらえる上に、普通にゲームをプレイするだけでわりと景気良く貯まってガチャを引くことができます。

 

具体的な育成サイクルを、下記に大まかに並べてみます。

 

0. ジェムの収集

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各ステージには「敵を全て倒してクリア」「隠しの宝箱を見つける」「3分以内にクリア」「特定のキャラでクリア」などのチャレンジが設定されており、これを達成して初回報酬を得るのが序盤の主な収入源。
チャレンジの達成はサブストーリーを見る上でも必要になってきますし、マメに集めていれば2~3ステージ進めるだけで10連ガチャを引きに行けたりするので、積極的に回収していきます。

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他にはデイリーやウィークリーの「○○回クエストをクリアする」などのミッション報酬で手に入るほか、後半になってくるとキャラの派遣報酬で何もしなくても楽々稼げるようになり、湯水のようにガチャを引けるようになっていって楽しい。

 

1. 装備の入手

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ジェムを使ってガチャを引き、星5装備を集めます。
めぼしい装備が出なくても、余った紙片を使ってショップで限定装備と交換することもできます。
確実に手に入る分、上手くやりくりできればガチャ産の装備より後述の限界突破がしやすく、実際私も愛用の装備はショップで入手したものでした。

また、ステージや派遣報酬で紙片をコツコツと100枚集めて解放する手段もありますが、こちらはとても時間がかかります。

 

2. 装備のレベルアップ

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強化素材を用いてレベルを上げる。
強化素材は普通に進めているだけでも報酬などである程度貯まりますが、修練での稼ぎが最も効率的。
その時点でクリアできる最高レベルの修練をこなしたら、あとはスキップ機能を回して稼いでいきましょう。

序盤はとりあえずこれだけやっておけば問題ありません。

 

3. 装備の限界突破

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装備レベルには上限があります。
中盤以降は星5装備の初期の最大レベル35でも足りなくなってくるので、レベル上限を上げるために限界突破(限凸)を行います。
4回目までの限凸に必要なのは、その装備の紙片100枚。
ガチャやショップで同じ装備を入手すると紙片100枚に変換されるので、つまりは1. の作業に戻って同じ装備を何度も手に入れる必要があります。
限凸が必要な頃にはある程度ゲームにも慣れていると思われますので、各種システムを活用して元手を集め、ガチャを回しまくりショップに稼ぎを注ぎ込みましょう。

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5回目以降の限凸には"ウェポンソウル"というアイテムを使うようになり、紙片は必要なくなります。ウェポンソウルについては後述。

 

+α. エンチャント

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倒した敵からはそれぞれの敵固有のソウルが手に入ることがあり、このソウルを使って属性やスキルなどの強化を行うエンチャントが可能。
レベル上げに比べれば効果は控えめですが、レベルが上限に達したらこちらを行うのもあり。

 

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キャラレベルや装備を含めたステータスの総合力がわかりやすく数値で表現されるほか、ステージごとの推奨総合力、ステータスも見ることができるので、その時点でどの程度育てておくべきなのか一目で分かるのも良いところ。

ちなみに、装備の分類は大雑把に言えば、武器はキャラごとに固有で防具は全キャラ共通。
そのため、武器の強さが実質そのキャラの強さと言えます。

メインストーリーを追うだけなら1人育成するだけでも事足りますが、サブストーリーまで見たりチャレンジのコンプを目指す場合は、全キャラある程度は育成しておく必要があります。
この辺りの調整、色々なキャラを使うきっかけになりますし、そこまで全員ガチガチに鍛える必要もないので、個人的にはわりといい塩梅に感じました。

 

ちなみに私の場合、主力として運用していたキャラはシャノア。
武器はショップで手に入るシャノアの"ウアスロッド"を愛用していました。

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特に深くは考えず、序盤で適当に選んだものだったのですが、ホーミング弾をばら撒くスキルがザコ殲滅はもちろんボス戦でも全弾ヒットさせればかなり火力が出るので非常に使い勝手が良く、強化を重ねて最後まで頼りになっていました。

スキルの強力な武器は威力が強化された時の爽快感も割増しでパワーアップしていくので、育てる楽しさをしっかり感じられてやはり良いですね。

 

後半から育成もアクションもハードに

ガチャは頻繁に回せるし、序盤は強化素材で装備レベルを適当に上げておけばOK。
中盤に差し掛かってからは、装備の拡充を目指してシステムへの理解を進め、いかに楽して稼ぐかを追求していくことになりますが、基本的にゲームの進行テンポはまずまず悪くはありません。

しかし、ストーリーも半分を少し超えたあたりからは話も変わってきます。
章を跨ぐ度に推奨総合力が跳ね上がっていき、育成のためにしばしば進行が止まってしまいます。

単に星5装備を多く持っているだけではダメで、限凸を重ねたものが複数必要になってからが厳しいのですよね。いくらガチャを頻繁に回せるといっても、狙ったものがそうそう簡単に当たるわけではありません。
4凸までの紙片収集は何かと運に左右されますし、ショップ売りのものを買うにしても稼ぎに時間はかかります。

5凸以降はウェポンソウルを使うことになるため、ガチャへの運頼みからは解放されるのですが、ウェポンソウルを得るためにはそこそこな量のソウルを交換に出さなくてはならないため、これまた稼ぎ作業に時間を食われます。

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ソウルは特にボスのものが価値が高いため、瞬殺可能なボスを相手に周回するのが最も手っ取り早いのですが、まぁこれが面倒。
ボスがソウルを落とす確率は五分五分くらいで、悪いときはずっと連続で落とさない時もあったりするのでなかなかつらいものもあります。

育成に目標ラインがあり、それを達成するためにあれこれと工夫を凝らすのは確かに楽しくはありますが、単純に時間が長くかかるようになってくるとどうしても飽きがやって来ます。
個人的にはそれでも育成期間が長すぎるということはないように感じましたが、人によってはこの辺りのテンポ感で脱落してしまうこともありそうでした。

 

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また、後半のボス、特にシリーズおなじみのアイツやラスボスなどはアクションの歯応えもなかなかのもの。
総合力が推奨値を超えていても結構な苦戦を強いられ、アクションの腕前を試されている感触が強くありました。
ですが、その分クリア時の達成感も強く、アクションゲーマーも楽しめる内容であると感じられました。

育成・アクションともに、後半から難易度が急上昇していく本作。
ただ、終盤は武器攻撃力を重点的に高めていれば多少総合力が足りてなくても意外となんとか進められたりもしましたし、稼いで強化していけば確実に攻略が楽になっていく感触も得られたため、難しめに重点を置きつつも丁寧さと大らかさとを感じられる絶妙な調整にも思えました。

 

その他、細かな不満点も2つほど挙げておきます。

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まず一点、ステージが多すぎて、やや冗長。
ステージクリア型とは言っても、シリーズ初期作品のように格式張ったものではなく、道なりにザクザク敵を倒していく大雑把な構成が主であることや、チャレンジ達成のために同じステージを二度三度クリアすることも珍しくないことから、どうにも単調さを感じてしまう一面もあります。
敵の種類は豊富ですし、操作キャラや武器は定期的に増えるので遊びの幅自体は広いはずなのですが、それで補い切れていないところもあるように思われました。

もう一点は、どのキャラが強くなるかはガチャでどの武器を拾うか次第というところ。
ショップでの固定装備も購入も可能とはいえ、やはりそれだけで賄えるものではなく。
好きなキャラであってもガチャ運が無ければ育成が止まってしまうことがあるのは、なんとも惜しいところです。

 

総評

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クロスオーバーのストーリーや、歴代の主人公達を操作してシリーズの様々なステージ・ボスを攻略できるのはファンであれば感激の一言。

アクションRPGとしてはソシャゲ的な育成サイクルを基礎に置きつつも、とりあえず武器を育てればよい構成がわかりやすく、強くなればその実感を得られるオーソドックスな魅力を備えています。
後半は育成テンポなどに気になる部分もありつつ、難しめのアクションを楽しめる一面もあります。

とはいえ、やはりモバイル向けとしての文脈が強く、従来の悪魔城とは別物と言える内容ではあります。

シリーズの遊びを忠実に再現しているか、という点ではIGA氏が独立後に制作指揮を務める『Bloodstained』シリーズの方が近いと言えるでしょう。
本作はゲームの遊びやシステムというよりは、ストーリーやキャラ、世界観の部分で悪魔城シリーズに愛着を持っている人向きと言えるかもしれません。

プラットフォームはApple Arcadeのみという部分にとっつきにくさはありますが、自分としてはこのためにApple Arcadeに加入した価値は十分得られたと感じており、オススメしたい一作です。
……とはいえ、できればこう、買いきりで色々細かく調整を入れてSwitchに移植とかしてもらえると、もっと薦めやすくなるのですが。なんとかならないかな。

 

 

 

 

参戦作品、キャラの一覧とネタバレ感想

さて、ここからはちょっぴりネタバレを交えて感想を書いていきます。

まずは、本作へのシリーズ参戦作品とキャラについて、一覧で並べていきます。
「自分の好きなあの作品やキャラ、参戦してるかな」と気になる人もいるでしょう。

 

作品

 

キャラクター

  • アルカード
  • シモン・ベルモンド
  • ラルフ・C・ベルモンド
  • リヒター・ベルモンド
  • マリア・ラーネッド(血の輪廻)
  • マリア・ラーネッド(月下の夜想曲
  • 来須蒼真
  • ジョナサン・モリス
  • シャーロット・オーリン
  • シャノア
  • アルバス

 

シリーズを網羅とまでは行かないものの、作品とキャラの選出は納得の面子。
プレミアついてるDSタイトルが多くてこれから履修するのが大変というのはちょっと難点ですが……
この他にも、会話の中で言及があったり、防具のイラストのモチーフとなっている作品などもいくつかあります。

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個人的には、白夜の協奏曲が防具モチーフだけでストーリーの言及が無いのがむしろ加点ポイント。あの夜の冒険は本当にジュストとマクシームの2人だけが秘めた思い出になったんだな……と

 

ただ、本作のストーリーにも不満点がちょっとはあり、それは蒼真とラルフの加入が終盤すぎて会話らしい会話が非常に少なかったこと。
全10章構成の本作ですが、2人が加入するのはどちらも最終章である10章から。

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まぁ、ラルフはまだ良いです。
アルカードとの思い出話に花を咲かせてほしかった気持ちもありますが、まず10章タイトルが悪魔城伝説でタイトルコールの前置きも最高という流れがあり、召喚に至るまでの格の高い描写の数々もあって、これはこれで十分良い扱いであるように思えました。

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ただ、蒼真はタイトル画面にもいて存在感を放っているにもかかわらず、こうも参戦が遅いというのは惜しいと言わざるを得ません。
仲間として加入するまでに魔王蒼真としては活躍があるものの、やはりありふれた等身大の少年として過去の英雄達と接する姿こそ最も見たかったものではあります。

 

エンディングまでクリアして思ったのは、「このシリーズもうこれで完結してしまうんじゃないか……?」ということ。

シリーズを綺麗に統括しつつドラキュラ・デスとの決着を描く流れがあまりに『悪魔城ドラキュラ 最終章』すぎて、非常に満足感を得られた傍ら、もうこれ以上続けようがないんじゃないかと思ってしまったのですよね。
蒼月の時点で2036年設定で、本作がそこからさらに年月が経過しているらしいことを踏まえると、今回はあくまでエルゴスの中にいたからわからないだけで、本来外の世界はもうSFめいた世界になっているのでは? という部分でも気になりますし。
落ち着いて考えると、蒼真やアルカードの知られざる過去の戦いを描いたり、逆に時代を一気に飛ばして文明レベルをリセットしたりといった感じで続けていくこともできるか、とは思うのですが。

ただ、そもそもの気がかりは、本作の存在が"次"に繋がってくれるか……つまり、CS機向けの完全新作という形にシリーズが続いていくことが果たして望めるのか、ということ。

メトロイドヴァニア」という一大ジャンルを生み出した本シリーズに最も求められているのは、やはり2D探索アクションRPGとしての新作であると思います。
しかし、IGA氏がコナミから独立して『Bloodstained』というほぼそのまんまの新シリーズを打ち出した今、果たして本家にそれを超えるものが作れるのか、という疑念はどうしてもあります。
また、本作や『月風魔伝』、『魂斗羅 ローグ コープス』などを見ても、コナミに休眠IP活用の意欲はあれど、従来のシステムそのままの続編を作る戦略は用意されていないように思えます。

心配ばかりしていても仕方が無いので、結局できることといえば細々と応援しつつ本作やコレクション作品の存在が次なる機会に繋がることを祈るばかりなのですが。
リメイクとかでもいいので、何らかの形でシリーズが存続することを期待しましょう。

何はともあれまず本作、未プレイの方はぜひ遊んでみてください。