傑作アクションの続編はやっぱり傑作だった。
※追記(2020年9月19日):レジェンドハンターモードについて
- ゲーム概要
- 新たな仲間を連れ、悪魔の城に挑む
- アクションゲームを繰り返し遊ぶ面白さ
- テキストは少ないが、表情豊かに語られる物語
- 細やかな気配りはそのままに、難易度は上昇
- なんでもでありの協力プレイ
- 総評
ゲーム概要
メーカー:インティ・クリエイツ
プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Xbox One / Steam
プレイ人数:1~2人
初リリース日:2020/07/10
価格:1,480円(税込)
気配りの効いたシステムと緻密なレベルデザインで好評を博したレトロアクション『Bloodstained: Curse of the Moon』の続編。
前作よりも少しお値段が上がっていますが、その分ボリュームも遊びの幅もパワーアップしています。
探索アクションの『Bloodstained: Ritual of the Night』とはパラレルで、前作のシナリオもシンプルなので、本作からいきなり始めても特に問題ありません。
自分としては、先に前作をやってアクションに慣れておくというのをオススメしたいところですが。
前作のレビュー ↓
『Bloodstained: Curse of the Moon』レビュー:悪魔の城の伝説が、遊びやすく現代に蘇る。緻密に計算されたレベルデザインが光る逸品 - 2Dアクション好きのゲーム日記
新たな仲間を連れ、悪魔の城に挑む
前作『CotM』で仲間と力を合わせ、大いなる悪魔を討ち倒した斬月。
しかし、彼の戦いが終わることはなかった。
新たな悪魔の出現を耳にした斬月は、修道者「ドミニク」の案内のもと、突如出現した謎の「魔塔」へと向かう。
今再び、斬月の刀が月夜に閃く…
前作はマルチエンドでしたが、どのエンドの続きというわけでもなく、「4人協力して悪魔を倒した!」という認識でいいとのこと。
斬月
刀で戦う最強の退魔士。
基本性能は前作と変わらず。
オールラウンダーで体力も多く、どんな状況においても扱いやすいキャラクターです。
元々火力の高さが自慢なのですが、今作では物語の途中で3段斬りとサブ武器のパワーアップを習得し、攻撃力・攻撃範囲がさらに強化。
これぞ主人公という活躍を見せてくれます。
また、本作も前作同様、全キャラ共通で敵の攻撃の多くをこちらの攻撃で打ち消すことができ、ただ逃げ回るのではなく積極的に攻めていく感覚を味わえるのですが、
斬月の攻撃面強化はこの仕様とも上手く噛み合っていて、より"攻める"アクションを強く楽しめます。
なお、前作では強化のためにある残酷な選択をする必要がありましたが、今回は普通に進めるだけでOK。やさしい世界!
ドミニク
悪魔と戦う教会のエクソシスト。
『RotN』にも登場した女性ですが、あちらとは設定・衣装デザインが少し異なっています。
メイン武器の槍は上下に強く、ジャンプ下突きはどこかで見たようなホッピングも可能。
サブ武器の魔法も種類が豊富ですが、特に頼れるのは回復と蘇生。
慣れないうちはドミニクを回復役として温存しておくと、気持ち的にも楽になりますね。
ロバート
悪魔への激しい憎しみに囚われた元軍人。
メイン武器はマスケット銃。一瞬で画面端まで届く圧倒的リーチが売りですが、硬直が長く連射は不向き。
サブ武器も遠距離攻撃が多いので接近戦には非常に弱く、体力も低いというピーキーな性能をしています。
光る場面とそうでない場面がハッキリ分かれるキャラと言えます。
ハチ
見た目はごつい魔導アーマーですが、実は中身はコーギー犬。
かわいらしい顔アイコンとは裏腹に、とにかく強くて頼りになる存在です。
強力なパンチ力に加え、踏みつけ攻撃で足元の敵にも対応し、なんと触れるだけでトゲすら粉砕!
ホバー移動で空中制御がしやすく、サブ武器で無敵のガードまで可能と、体が大きく被弾しやすいという弱点を差し引いても余りある強さ。
もうハチがいないとやってられない…! というプレイヤーも多いはず。
もちろんキャラだけでなくギミックや敵キャラも刷新。
前作は「昔の悪魔城ってこんなんだったよね」というリスペクト要素が随所にあり、もちろんそこが良いところでもあったのですが、今作はそこから一歩進んで、悪魔城をベースにしつつ新しいアクションを提供してくれています。
一方で、物語を進めていくと前作の仲間である「ミリアム」「アルフレッド」「ジーベル」も合流します。
こちらはこちらで、実家のような安心感がありますね。
新キャラも合わせて最終的には7人の大所帯になるわけですが、キャラ被りがなくきちんと個性分けされているのが見事。
アクションゲームを繰り返し遊ぶ面白さ
前作では、仲間を増やすか斬月を強化するかはプレイヤーの匙加減でしたが、今作は方式が異なります。
エピソードごとに仲間の加入や強化の有無は固定で、クリアすると新たなエピソード解禁…という具合。
真のエンディングまでは最低でも3周必要ですが、ただ同じように周回するわけではないのが本作の肝。
ステージ中には、特定のキャラの能力でないと進めないショートカットや分岐ルートが存在。キャラが増えた都合もあって分岐点は前作より細かく増えており、多様なルートが用意されています。
同じステージでも、エピソードごとに連れる仲間が異なることで進むルートも変化。エピソード2以降はボスの攻撃パターンが強化されたりもするので、毎回違う体験が味わえます。
また、前と同じルートでも慣れによってスイスイ進めるようになったり、「あれ? この場面でこの武器使ったら上手くハマるんじゃ?」「この技とこの技組み合わせたら、ここ通れるかも?」というような気づき・試行錯誤によって新たな攻略法が見つかったり。
以前は苦戦した難関を楽々突破できるようになると「これぞアクションゲームの醍醐味!」という喜びを得られます。
基本的にどのステージにどのキャラで挑んでも攻略できる懐が広い設計で、ついつい色々な攻略法を試したくなりますね。
また、前作では分岐に関係なくわかりやすい位置に置いてあったパワーアップアイテムが、今回は分岐の先に隠されている場合があり、ちょっとした探索要素になっています。
ここは好みが分かれるかもですが…
多彩なキャラとアクション、細かくルートが分岐するステージ設計で毎回新鮮な体験を与えつつ、繰り返し挑戦することによる上達も同時に実感できる。
そんな「アクションゲームを繰り返し遊ぶ面白さ」をギュッと詰め込んだのが『CotM2』というゲーム。
前作で見せた緻密なレベルデザインは、さらに磨きがかかり帰ってきました。
テキストは少ないが、表情豊かに語られる物語
周回のモチベーションを支える要素の一つは、やはりストーリー。
前作同様テキストは少なめですが、ステージ間でちょっとしたデモが流れるようになっています。
この幕間のデモがいい味出してるんですよね…
RotNも硬派そうに見えてコミカルなところもある作品でしたが、こちらもほっこりとしたものやキャラの意外な一面が見えるものが多く、ハードなアクションに対するいい清涼剤になっています。
それでいてキメるべきところではしっかり熱く盛り上げてくれる一面もあり、意外にも本作、ストーリー面での満足度は高めでした。
RotNとはパラレルですが、そちらでキャラを好きになった人にとっても魅力があると思います。
細やかな気配りはそのままに、難易度は上昇
難易度は比較的難しめだった前作からさらに難しくなっています。
序盤は加入した仲間の特性が活きるチュートリアル的な構成で、メンバーが揃ったあたりから徐々に難しくなる構成は前作と同じですが、全体的に攻撃が激しくなり、特にボスが強くなったという印象。
また、前作は「この場面はこのキャラが強い!」というのがわかりやすい構成でしたが、今作はキャラが増えて自由度が上がったせいか、ひと目見ただけでは攻略法に気づきにくい場面が増えたように感じます。
とはいえ、必要なアイテムは必ず近くに置いてありますし、ハチの無敵に頼れば大抵の場面は突破可能です。頼れる名犬、ハチ!
ベテランモード・カジュアルモードの2つのプレイスタイルも続投。
カジュアルでは残機無限・ノックバックなし・ダメージ減少・ウェポンポイント増量など、かなり楽になります。
どちらのモードでも全エンド見れるので、アクションが苦手な人や、今回は楽に遊びたい、というときは気軽に切り替えちゃいましょう。
さらに細かな改善点もあり、
回復アイテム入りのランタンの見分けがつくようになる、
ゲームオーバー時のチェックポイントが可視化される、
スコアがゲージで表示され残機アップまでのスコアが見やすくなる、
ボスの体力ゲージ表示が追加されるなど。
そうそう、スコアに関して付け加えると、本作は難易度上昇で死にやすくなった代わりに、スコアアイテムが景気よく拾えて残機アップもしやすくなったように感じられます。
ミスしてもリトライが容易なのは良い調整ですね。
非常に丁寧な作り込みを感じる本作ですが、気になる点もなくはなく。
終盤も終盤の場面で、それまでとは異なる遊びをいきなり出してくるのは、ちょっと戸惑いが大きかった部分もありました。
慣れればどうということはないのですが…
なんでもでありの協力プレイ
ちなみに、ローカルでの2人プレイも可能。
頭の上に乗って足場にしたり、先に進んでいるプレイヤーの位置までワープするなどの協力プレイができます。
組み合わせ次第で、1人プレイでは本来通れないルートを進むこともでき、わりとなんでもできちゃうらしい。
らしい、というあいまいな表現なのは自分が1人プレイしかしていないから。
スクショは1人でコントローラーを2つ操作して撮りました。寂しい…
総評
例えばロックマンで同じタイトルを異なるステージ順で繰り返し遊ぶような、
「様々な攻略法を試す楽しさ」と「段々上達する嬉しさ」という、「アクションゲームを繰り返し遊ぶことの面白さ」を突き詰め、それをエピソード方式による周回で自然に楽しめるようになっています。
前作の緻密なレベルデザインを、さらに洗練させた本作。
難易度高めのアクション好きには是非遊んでもらいたいところですね。
また、ストーリーも魅力的でカジュアルモードもあるので、RotNから入ってキャラの魅力を感じた人にもオススメです!
~余談~
ファミ通のインタビューによると、本作の開発期間はほんの4ヵ月半程度だとか。
前作からの積み重ねもあるとはいえ、これだけの作り込み、レベルデザインの細かな調整がそのような短期間で行われたのだから驚嘆するよりほかありません。
インタビューは他のゲームメディアでも行われているので、興味のある方は是非。
~追記~
2020年7月30日のアップデートでカジュアル・ベテランに続く第3のモード
「レジェンドハンター」が追加されました。
仕様としては
・ステージ中のザコ敵増加
・被ダメージ増加
・画面スクロールでザコ敵復活
・仲間が一人でも倒れると全滅扱い
・制限時間の追加
・残機アップまでの必要スコア量増加
など。
制限時間はかなりゆるいので問題ないのですが、
追加されたザコ敵の処理がもうキツいのなんの。
無限湧きするザコを気にかけつつじわりじわりと前へ進んでいく感覚は、まさにレジェンドなヴァンパイアハンターの戦いを思い起こさせるものでした。
最終エピソードクリアまで遊んでみましたが、終盤は本当に血を吐きたくなるような難易度で、初期悪魔城シリーズの経験者でも苦戦は免れないものと思われます。
それでもアクションゲームとして破綻しているということは(多分そんなに)ないので、アクションゲームで血を吐きたい人は挑戦してみるのも良いでしょう。