2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-』レビュー:魅力をギュッと詰めて遊びやすく丸めた、カジュアルで本格的な探索アクション

 

 

はじめに

『幻日のヨハネ』(げんじつのよはね)は、ラブライブ!シリーズ第2作「ラブライブ!サンシャイン!!」の公式スピンオフ作品です。
そのヨハネの世界を舞台にした探索型2Dアクションゲームが本作『幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-』です。

公式サイトより本作の概要を引用すると、上記の通り。
キャラゲーってやつですね。

ただしかし、私はラブライブのラの字も知りませぬ。

一応、本作の予習としてアニメの『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』は見たのですが、本当にそれだけ。
ライブライブというIPのメインコンテンツがアニメなのかゲームなのか、それすらわからない……

そんなわけなので、本記事もあくまで2Dアクションゲームとしてのレビューになります。あしからず。

 

ゲーム概要

商品情報

メーカー:インティ・クリエイツ

プラットフォーム:Nintendo Switch / PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Steam

初リリース日:2023/11/16

価格:6,380円(税込)[パッケージ版] / 5,280円(税込)[DL版]

公式サイト:幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE │ 公式サイト

先程の引用にもある通り、本作は探索型の2Dアクション。
迷路のようなマップを探索し、主人公を強化して徐々に探索範囲を広げていく、いわゆるメトロイドヴァニアと称されるジャンルのゲームです。
その中でも本作は、RPG的な要素も取り入れた『ヴァニア』寄りの作風。

開発のインティ・クリエイツはかれこれ20年以上ドット絵の2Dアクションを作っている老舗メーカー。当ブログでもお馴染み。
主に『ロックマンゼロ』や『ガンヴォルト』などのステージクリア型のアクションで知られていますが、探索アクションやアクションRPGを手がけたこともあり、近年では特に『ブラスターマスター ゼロ』シリーズで好評を集めたりもしています。

そんなインティ・クリエイツによる探索アクションRPGの新作なわけですが、これがなかなかどうして遊びやすい配慮が効いており、探索アクションの魅力が上手く抽出された作品になっていました。

まぁただ……値段はちょっと、お高めですが。

 

本格アクションとカジュアル志向、その両立

本作において唸ったのは、本格的なアクションゲームとしての下地と、それをカジュアルにもハードにも遊べるように仕立てたバランス調整。

ヨハネは仲間や武器を召喚して攻撃し、攻撃の瞬間は空中であろうと一瞬動きが止まる形態になっています。
と言うと結構ゆるめのアクションを想定するでしょうし、実際他のインティ・クリエイツのハイスピードアクションと比べたらゲームスピードはやや遅めではあるのですが、これがボス戦になると結構激しい攻撃をしてきたりします。
ボス1体1体が多彩な攻撃パターンを持ち、最初のボスからしてしっかり範囲攻撃をしてきたりするのでなかなか侮れません。

しかし、そこに対して様々な攻略法が用意されているのが本作の魅力。
攻撃を観察して回避パターンを組む、アクションゲームらしい泥臭い攻略をするもよし。
探索が進むごとに増えていく、仲間の多彩なアクションを活用してスタイリッシュに攻略するもよし。
回復アイテムを大量に持ち込んで、ゴリ押しするもよし。

 

特に回復アイテムの存在は、救済要素として強力です。
道中で集めたお金を使って拠点で買い物ができるのですが、回復アイテムは安価で購入でき大量に持ち込み可能。

使用に制限も特にないので、回復アイテムを使いまくればクリアは非常に楽にできます。
逆に歯応えを求める人であれば、回復アイテムの使用に制限を設けることで緊張感のある戦闘を楽しめるようになります。
実際私は「ボス戦でのHP回復なし」の縛りで遊んでちょうどいいバランスでした。

 

遊びやすさ重視、でもシンプル過ぎない探索&RPG要素

探索アクションとしての本作は、まずマップは広めでそこそこのボリューム。
最初は行けない場所や取れないアイテムがあり、徐々にアクションが増えることで探索範囲が広がっていく構成もありつつ、攻略順序にもある程度選択の自由があるなど、探索アクションらしい魅力をしっかり押さえています。

特に、攻略順序の自由度は繰り返し遊ぶうちによく実感できたポイントのひとつ。
レビューを書くまでに3周プレイしましたが、得る能力の順序によっては思わぬルートが切り拓けることがあり、毎回異なる体験をすることができました。

そして、そうした魅力があった上で探索アクションあるあるの面倒な要素が上手く省略され、かなり遊びやすい作風にもなっています。

 

まず、本作ではマップ画面でいつでもどこからでも、任意のセーブ地点にワープ可能。
セーブポイント間でワープできるゲームは珍しくありませんが、どこからでもワープできるというのはなかなか他では見ないレベルの親切さ。
マップ画面上では各エリアごとの最終目的地が表示されていますし、マップ画面上ではわからない猪口才な隠し通路なんかも無し。

カジュアル向けの調整……という以上に、純粋にものすごく快適でテンポよく探索できるので、他の探索アクションでもある程度取り入れられて欲しいくらいに親切設計です。
もっとも、快適であるがゆえに広いマップもサクサク進められてしまい、それでいて探索による収集要素はそれほど多くはないので、マニアックな探索好きには少々物足りない部分もあるかと思いますが。

 

あと、本作では素材を集めて装備を作ることができるシステムがありますが、こちらの調整もまた良かったところ。

素材の入手は各所に置かれた宝箱のほかに敵や置物オブジェクトからのランダムドロップを含むので運にも左右されるわけですが、進むのに邪魔な敵を倒していれば、その時必要な強さの装備は自然と作れるようになっています。
ただ、そもそも強い装備がないと成り立たないようなRPG性重視のバランスではなく、「あると助かる」くらいの調整になっており、ステータスの強弱によってそこまで劇的に難易度は変わらないという印象。
少なくとも攻撃面に関しては、武器をほぼ作らず仲間攻撃だけでも成立するようになっています。

どちらかというと、武器種の違いによる立ち回りの変化や、アクセサリーの追加効果として属性ガードや攻撃時の消費DP軽減、スライディング中無敵になるなどといったバリエーション豊富な効果があることで、プレイスタイルの幅を広げる役割を果たしています。

 

難易度の調整弁としての役割は主に回復アイテムの存在に委ねつつ、キャラのレベル制などは設けず装備に強化要素を集中させる。
そういったカジュアル向けなRPG要素の取捨選択が、アクション要素を邪魔せずに遊びの幅を広げることに繋がっており、「アクション性重視のアクションRPGにおけるRPG要素の在り方」として、かなり良いところに落とし込まれていたのではないかと個人的には思います。

 

まぁ、あえて不満点も挙げるとしたら、ダメージがランダムで変動する仕様はいらなかったかと思いますが……
ドラゴンMFDでもそうでしたが、これだけアクションのしっかりしたゲームで敵を倒すのに必要な攻撃回数が安定しないのはあんまりよくないですよ!

 

総評

本作はとにかく、探索アクションRPGとしての要素の取捨選択が上手い、と言いたいですね。

広く入り組んだマップ、自由度の高い攻略順、1体1体が練り込まれたボス戦、多彩な装備や徐々に増えるアクションによる幅広いプレイスタイルなどなど、探索アクションの魅力的な部分をピックアップしてギュッと詰め込みつつ、それらをカジュアルに遊ぶために便利機能を足し、要らないものは削ってシンプルに、とっつきやすく。
本格アクションとしての下地とカジュアル向けの調整がしっかりとマッチし、両立された作品になっています。

マニアックな探索好きや濃い目のRPG要素を求める人にはやや物足りない部分もあるかもしれませんが、アクション性を重視するプレイヤーであれば、まず満足できる内容ではないかと思います。
もちろん、この手のジャンルのゲームに不慣れな人への配慮も用意されているので、そうした人にこそオススメしたいところ。

キャラゲーだからと侮るなかれ。
単品の探索アクションとして、純粋にオススメの一作ですね。