2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『Iconoclasts』レビュー:ドット絵が美しい傑作アクション! レンチを片手に圧政に立ち向かえ!

 

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PVを一目見た瞬間「あ、このゲーム絶対買う」と確信してしまうこと、ありませんか?

自分にとってのそんな一目惚れゲームの一つが、これから紹介する『Iconoclasts』です。だって、見るからに面白そうなんですもの。

そして購入前に抱いた期待に、このゲームは見事に応えてくれました。

 

 

ゲーム概要

メーカー:DANGEN Entertainment

プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / PS Vita / Steam

ジャンル:2D探索アクション

プレイ人数:1人

初リリース日:2018/1/23

価格:2000円(Steam)/ 2160円(他)

DANGEN | アイコノクラスツ

本作はJoakim Sandbergというたった1人のインディー開発者が、実に7年もの歳月をかけて制作したといいます。

1人で7年。気が遠くなりそうな話です。

ジャンルは2D探索アクションですが、ストーリーを追っていく要素も強く、テキスト量も多めです。

正直、PVを見るだけで雰囲気は大体伝わりそうなので、私のレビューはいらない気もするのですが、細かく見ていくとしましょう。

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作り込まれたヘビーなストーリー

舞台となる世界では、聖者『マザー』の指導の下、政府組織『ワン・コンサーン』による圧政が敷かれており、少しでも教義に背く行いをすれば、不信心者として厳しい『聖罰』が与えられてしまいます。

エネルギー不足故に、機械の扱いに関しては特に管理が厳しく、壊れた機械を許可なく整備することすら許されていません。

圧政に苦しむ貧しい人々を救うべく立ち上がった違法メカニックの『ロビン』ですが、ワン・コンサーンのエージェントに追われるうち、不気味な陰謀に巻き込まれていく……というストーリー。

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この、『マザー』を中心とした宗教が根付く世界観の構築と、そこに生きる人々の描写が非常に緻密。

本作にはかなり多くの登場人物がいるのですが、全員がこの宗教に対しそれぞれ考えを持ち、その思想に基づいた言動をするので、世界観のリアリティを強く感じられます。

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マザーの影響が及ばない地域では異なる信仰が根付いていることも

主要人物は相棒の『ミナ』やロビンの兄『エルロ』を中心にアクの強い人物ばかりで、「なんだこいつ!」と思う場面もあるのですが、生々しさゆえにどこか憎み切れず、物語に魅力を与えています。

特に、悪意は無いけどやることが全て裏目に出てしまう『ロイヤル』や、怒れるエージェント『ブラック』の物語は、心に深く刻まれたプレイヤーも多いはず。

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全員思想が強くてしかも噛み合わないので、基本的に場はギスギスしてるし、状況はどんどん悪化していく。終盤は映像的にも結構ショッキングな展開が続きます。

しかし先の読めない展開は目が離せませんし、そんなつらい状況の中にあっても希望を捨てず健気に頑張るロビンの姿には勇気づけられます。

前述のアクの強い登場人物たちのおかげもあって、良くも悪くもプレイヤーの心に何かしらの強い感情を残してくれる物語になっています。

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このくらいの口論は序の口

ただ、人間関係が複雑な上に翻訳も一部表現が固いところがあるので、初見だとよくわからなかったり、置いてけぼりに感じる場面があるかもしれません。

2周すればだいたいは理解できるのですが、深くは語られない設定もありますしね。小難しい話は苦手だという人には合わないかも。

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軽快なアクションと、待ち受ける様々なギミック

操作性はキビキビ動いて非常に快適。

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主な攻撃はスタンガンのショット、レンチをぶん回す近接攻撃、マリオのヒップドロップみたいな踏みつけの3種。

ショットと踏みつけは軽めのホーミングがついてて当てやすいし、なんといっても攻撃時の爽快感が最高。

連射ショットをビシバシ当てたり、チャージショットをズガン!と撃ったり、攻撃を撃ったり当てたりする度にいちいち小気味いいエフェクトと効果音が出るので動かしててとにかく気持ちがいいんですね。

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レンチでカウンターした時のコン!って響く金属音も癖になる

個性的だけど動かしやすく、爽快なアクション。ここだけで満点をあげたくなりますが、探索マップに点在するギミックもよくできています。

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基本的にはロビンの代名詞であるでっかいレンチを活かしたギミックが多いのですが、探索を進めて新たなアクションを得るとそれに応じてギミックも増えていきます。

特に印象的なのが中盤手に入る電撃付与のアクションで、これが入ってから遊びの幅が一気に広がって、より面白さが増しました。

まあ、その分謎解きも複雑になって大変でしたが……

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PVにもあった高速レール移動も爽快

ザコ敵との戦闘でも、アクションを使い分けて戦う必要があります。全体的に頭を使うことが多いバランス。

とはいえ、ステージの謎解きも戦闘も難しすぎるということはなく、楽しく遊べるようかなり調整されています。丁寧で程よい難易度。

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マップを埋める楽しさももちろんあります

 

大迫力、大ボリュームのボス戦!

PVでもアピールされていましたが、ボスとの戦闘も本作の魅力の一つ。

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ボスは総勢20体以上で、『ゼルダの伝説』のようにギミックを活かした謎解き要素のあるボスから、アクションの腕前勝負のボスまでバリエーションも豊富。

巨大なメカボスとの戦闘は大迫力ですし、ドラマティックに演出された人型ボスとの戦闘でも心を動かされます。

仲間と協力して戦う展開もあり、盛り上がるシチュエーションを多数用意してくれています。

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また、クリア後にはボスラッシュモードが解禁。

一部登場しないボスもいますが、最高難易度のリーサルラッシュは歯応え抜群で、やりこみ派も楽しめると思います。

 

美しいドット絵と、心に響くBGM

最後になりましたが、やはり本作を語る上で外せないのがこのハイクオリティなドット絵。

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緻密な背景も素晴らしいのですが、キャラクターのアニメーションもかなりこだわり抜かれており、特に主人公ロビンの、台詞を喋らず表情もかなりデフォルメされているのに感情が伝わってくるアニメーションは必見。

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相棒ミナのアニメーションもロビンに負けず劣らず豊富

また、BGMも名曲揃い。

タイトル画面BGMはイントロからグイグイ引き込まれるし、ボス戦BGMもかなり盛り上がります。

特に外せないのが終盤流れる『Moonlight』。シチュエーションの壮絶さと相まってプレイヤーの感情をめちゃくちゃにしてくれます。

 

総評

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ストーリーは生々しくヘビーでやや複雑なところもありますが、それゆえの強い魅力もあり、何よりアクション・グラフィック・BGMはどこをとってもほぼ完璧な仕上がり。

重厚なストーリーや、爽快で個性的なアクション、美しいドット絵を求めている人にならば、自信を持ってオススメできる一作です!