2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『ロックマンX6』レビュー:悪夢! その先にあるのは喜びか苦痛か

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 ブログを始めた時から、いずれ必ずレビューしようと思っていた一作です。

 

本記事はロックマンアドベントカレンダー2019』という企画の12月17日担当分として投稿させていただきます。

めでたい企画にはあまりふさわしくない内容かもしれませんが、これ以上に書きたいものが他になかったので自分はこれでいきます。

8000文字オーバーの渾身のレビューをくらえ!

 

※追記(2020年10月28日):一部の文章や章の構成を修正。

 

 

ゲーム概要

メーカー:カプコン

プラットフォーム:PS / PSゲームアーカイブス

ジャンル:アクション

プレイ人数:1人

初リリース日:2001/11/29

価格:628円(税込)[ゲームアーカイブス版]

ゲームアーカイブス版公式サイト:ロックマンX6:CAPCOM

本作は、『ロックマン』の派生シリーズであるロックマンX』シリーズのナンバリング第6弾。

Xシリーズは、8ボスのステージセレクトやボスを倒して得る特殊武器といった本家ロックマンの要素はそのままに、ダッシュや壁蹴りによるスピーディなアクション、アイテムの収集による強化、シリアスなストーリーなどの要素を追加し、今も根強いファンに支えられる人気シリーズ。

とはいえ、シリーズ後期の作品は評価が賛否分かれることが多く、本作もそのうちの一つ。

前作『ロックマンX5』から1年という短期間でリリースされた本作は、X5で導入されたシステムを継承しつつ、高い難易度に、探索・収集要素の濃さ、新たな敵「ナイトメア」が醸し出す独特の雰囲気などが特徴となっている作品です。

現在は『ロックマンX アニバーサリーコレクション2』の収録作の一つとして遊べるほか、PSゲームアーカイブスで単品配信されています。X4とX5は配信終了してしまったのに、なぜX6だけが……

ちなみに、記事内のスクショはアニコレ2で撮ったものですが、オリジナルのPS版も過去にプレイ済み。

というか、Xシリーズで最初に遊んだのが何故かこのX6だったりします。

 

戦争で荒廃した世界に蔓延る「悪夢」

イレギュラー シグマ の策略により、スペースコロニー ユーラシア が地球に向けて落下。

イレギュラーハンター エックスゼロ の活躍により、コロニーの破壊には成功し、地球消滅の危機はまぬがれたものの……爆発の被害は大きく、地上はあらぬ姿に一変する。

エックスとゼロは死闘の末、命からがらシグマを倒すが、戦いから帰還したのは青い光……エックスだけであった。

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※画像はX5のもの

それから3週間後……生き残ったレプリロイドによる地上の復興が始まろうとする中、各地で ナイトメア と呼ばれる不可思議な現象が発生する。

ナイトメア現象の謎を解き、各地で暗躍する ナイトメア調査員 からレプリロイド達を救うべく、エックスは再び戦いに身を投じる。

 

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プロローグで語られる世界線は、前作X5の基本ストーリーを踏まえつつ、3つのエンディングを混ぜ合わせたような内容になっています。

 

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本作の特徴の一つが、X5で消息不明となったゼロに代わり、ゼロの代名詞である「ゼットセイバー」をエックスでも使用可能なこと。

ゼロのように高速で斬ることはできないため威力は控え目で、使いこなすにはコツが要りますが、これはかなり熱い仕様。

自分は『ロックマンゼロ』シリーズからロックマンシリーズに入った人間ですが、Xシリーズの中から最初にX6をプレイするに至ったのも「バスターとセイバーを両方使える」という仕様に惹かれたからだったり。いいですよね、セイバー。

 

そしてもう一つ、本作を語る上で絶対に外せないのが「ナイトメア」の存在。

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不気味な風体のウロボロスや、紫色に燃えるマグマ、降り続く酸性雨に、空間を捻じ曲げる謎のトーテムポールなど……いたるところでわけのわからない奇妙な現象を引き起こしています。

近未来的な都市や基地が主な戦いの舞台だったシリーズの他作品に比べ、荒廃した世界で不可思議なナイトメアに立ち向かう本作は、どこか異様な雰囲気を醸し出しています。

 

そして、ナイトメアは雰囲気作りだけでなく、難易度の面でもプレイヤーに「悪夢」を見せてくれます。

 

とち狂ったゲームバランス

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ロックマンのザコ敵といえば「メットール」ですが、ロックマンX6における代表的なザコ敵は満場一致でこやつでしょう。その名も「ナイトメアウィルス」

とにかくいたる所にうんざりするほど現れてプレイヤーを苦しめる存在。どのステージでも一度はこやつの処理に頭を悩ませる場面があるので、嫌でも顔を覚えます。

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地味にパッケージにもたくさん描かれております。

こちらの攻撃が地形に遮られるのに対して壁の中だろうか地面の中だろうがお構いなしにすり抜けて攻撃してきたり、倒してもすぐにソウルを回収しないと一度だけ蘇ったりと、とにかく面倒。

その上、場所によっては複数同時に待ち構えてうかつに近づいたプレイヤーを袋叩きにしてくれます。

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難易度「むずかしい」ではさらに大幅増量され、ワープ移動までし始めてもうてんやわんや。

 

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他にも、ガードが固く図体もデカいのでとにかくジャマくさい「モンバンド」や、

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出番は少ないが、倒しても即座に復活する上に攻撃のホーミング性能が凶悪すぎる「ナイトメアインセクト」など、ひたすら面倒な難敵が多数存在。

 

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ステージギミックも、酸性雨でジワジワ体力を削られ続けたり、同じ中ボス(しかもやたらタフ)と5回も連続で戦わされたりと陰湿なものばかり。

そこにザコ敵のいやらしい配置が組み合わさることで、まさしく悪夢のごとき高難度に仕上がっております。意地の悪い初見殺しもあれば、単純に物量で押してくる場面も多数あり、もうキツいのなんの。

難易度「むずかしい」ではそれらがさらにエスカレートし、とにかくイヤな位置にばかり敵がたくさん増えます。「むずかしい」なんだから難易度を上げるために手段は選ばない! という意気込みを感じますね。こう……レベルデザインの美学とか、ないのか?

 

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ステージの難しさとは裏腹にボスは雑魚ばかり……かと思いきや、一部のボスが極端に強かったり、終盤のあるボスとの戦い方がひたすら面倒だったりと、こちらはこちらでバランスが良いとは言えない様子。

 

また、本作ではステージをクリアすると、ナイトメアの影響によって他のステージに変化が起きます。

X1にも似た仕様があり、それによって難易度が緩和されたりアイテムが入手できるようになったりしていましたが、本作で発生するナイトメア現象は揃いも揃ってロクなものがありません。

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氷の洞窟に火炎弾が降ってきたり、謎の鉄塊がスライド移動したりと、絵面が意味不明なのはなんでもありのナイトメアらしいものの、プレイに与える悪影響が半端ではありません。難易度設定による緩和もなし。

中でも特に困りものなのが、画面が暗くなるナイトメア・ダーク。こんなのが初見のステージで発生したらもうゲームになりません。

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バグのような見た目ですが仕様。驚くほど何も見えません。マジで。

これらのナイトメアはステージごとにいくつか種類があり、別のステージに出入りすることで上書きが可能。

上手くやれば苦手なナイトメアを回避できますが、ナイトメア現象そのものを完全に消すことはできません。

一部にはステージの探索やアイテム入手に利用できるものもありますが、メリットとストレスが釣り合っていない印象。

これらのナイトメアさえなければ、個人的には難易度「ふつう」までなら一応ギリギリ紙一重で「理不尽とまではいかない」と思えなくもないのですが……

 

全体的に「そりゃまぁそういう設計にしたら難しくはなるでしょうけど……」という安易な難易度向上策に甘んじており、とにかく雑味が多いという印象。

少しずつステージ構成やナイトメアの仕組みを覚えて頑張れば一応攻略はできますし、難易度「かんたん」ならかなり手心を感じる敵配置にはなる……とはいえ、製作期間の短さも相まって「本当にちゃんと調整したのか?」という疑念がどうしても頭をよぎります。

 

また、難易度調整がとち狂っているというだけでなく、システム面にもよくわからないトンチンカンな仕様がいくつかあります。 

本作ではX5に引き続き、ゲームオーバーになってもステージの最初ではなく直前のチェックポイントから復帰可能。残機制が意味を成しておらず、むしろゲームオーバーになることで未クリアのステージから離脱できるメリットが発生するというよくわからない事態になっています。

高難易度の本作では非常にありがたいものの、仕様としては意味不明。

 

他にも、イベント発生で動けない間に敵が接近して復帰と同時に攻撃してきたり、イベント発生時に地形トラップと重なるように誘導され、復帰と同時にダメージを受けたり。

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エックスのイベント固定位置とブロックと重なっているため、この会話の直後ダメージを受けます。ライト博士、なぜこんなところにカプセルを……

中でも困りものなのが、条件を満たすと使用可能になる「復活のハンター」が習得するとある技。

なんと、空中で上を押しながら攻撃ボタンを押すと斜め下への落下攻撃が発生します

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これに「空中で上を押して掴まるロープとその周囲に配置された敵」という状況が重なった結果、必然的な操作ミスで奈落の底へと落ちて行ったプレイヤーは数知れず。

まぁそもそもこれがなくてもロープは掴みにくいんですが……

 

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また、仕様ではありませんが、ダッシュで地面にめり込んで死んだり、挟まる筈のない隙間に入り込んで圧死したりと、珍妙なバグも多数。いっそ笑えてきます。

 

うんざりするほど現れてプレイヤーを苦しめる「ナイトメアウィルス」。

凶悪なステージギミックと凄まじくいやらしい敵配置。

他のステージに深刻な悪影響を与える「ナイトメア現象」に、

とどめはトンチンカンな仕様の数々。

 

本作は単に難しいアクションゲームと呼ぶには粗い部分がとにかく多く、かなり人を選ぶ作りになっています。

 

分岐と探索、収集と強化

そんなこんなでめちゃくちゃな高難易度の本作ですが、それに対抗する手段も用意されています。

それは、探索によって得られる強化アイテムの数々。

Xシリーズには元々、ステージを探索してライフアップやサブタンク、アーマーパーツ等を集めることでエックスやゼロを強化できる要素があり、X5ではさらに強化パーツを装備してカスタマイズする要素が追加されたり、アーマーの種類が増えたりしました。

本作X6は、この探索・収集・強化の要素がXシリーズの中でも特に大きくなっています。

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各ステージには、救助を求めるレプリロイドが配置されています。救出に成功すれば体力回復や残機アップの効果を得られるほか、一部の要救助者からはライフアップや強化パーツを入手できます。

 

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強化パーツは攻撃力や機動力など基本性能を高めるものや、ステージ中に一度だけ使用できて大きな効果を得られるリミットパーツなど、効果は様々。

最初はパーツを装備することができませんが、ナイトメアウィルスを倒して得られる「ナイトメアソウル」を回収していけば、ハンターランクの向上に伴い装備できるパーツの数も増えていき、最終的には合計5つまで装着してかなりの強化ができるようになります。カスタマイズの自由度もそこそこ。

 

とはいえ、強化アイテムが揃うまでの道のりは、やはり楽ではありません。

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各ステージには通常ルートから分岐する形でアナザーエリアが存在。隅々まで探索するには特殊武器やアーマー、各種ナイトメア現象を上手く利用する必要があり、中にはシビアな操作を要求される場面もある……というのはもちろんのこと、本作ならではの厄介な仕様がプレイヤーの邪魔をします。

 

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ナイトメアウィルスが救出前の要救助者に触れてしまうと、ウィルス感染によって要救助者がイレギュラー化。一度でもこうなってしまうと最早救う術はなく、パーツを持っている場合はパーツもろとも完全にロストしてしまいます。

自分が死んでやり直してもイレギュラー化したレプリロイドは復活しないので、再チャレンジするにはセーブポイントつまりステージの最初からやり直す必要があります。普通にクリアするだけでも難しいステージを、もう一度最初から……

 

どのステージでも起こり得る現象ですが、特に効果的に働いているのは、リサイクル工場。

プレス機で通路を塞がれこちらから手出しの出来ない隙に、目の前で要救助者(パーツ持ち)がナイトメアウィルスに襲われる様子をまざまざと見せつけられる……そんな状況を狙った配置がいくつかあります。

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プレス機が上がる頃には時すでに遅し。画面に「それ」が映った時点で負け確定なのです。

事前に配置を覚えて素早く対処すれば救出も可能ですが、わかっていても難しく、リセットを重ねることになります。本当にいやらしい……

 

また、単純に配置が雑だと思わせる部分も多数あります。

なにせ、トゲや穴の上にアイテムや要救助者が無造作に置いてあったりするのです。

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平然と宙に浮く要救助者。お前、その位置で無事ならもう自力で帰れるだろ!

普通ならトゲを無効化したり落下を回避できる装備を整えてから取りに行ったりするものですが、本作は実質残機が無限なので、命を犠牲にして取りに行く方が楽。

雑に配置されたものを雑に回収する行程は、ひたすらに虚しさを感じさせます。

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あまりにもあんまりな置き方。

 

収集の道のりは苦難の連続ですが、その分、ある程度装備が集まってくると爽快感を感じられる場面も出てきます。

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本作も一応ロックマンらしく、難しい場面でも特殊武器やアーマー等を活用すれば楽に突破できたりするので、攻略順を工夫すればある程度スムーズに進めることも可能。

特に、8ボスステージで収集した装備の数々をフル活用して終盤ステージを蹂躙していくのは、中々に快感を得ることができます。

 

強化してゴリ押しで突破するのは、アクションゲームとして美しい楽しみ方ではないかもしれない……

などと普段なら考えるところですが、本作の場合、ここまでに散々苦しい思いをさせられているのでそんな気持ちはどこかへ吹き飛びます。

とち狂ったゲームバランスは、こちらもハチャメチャに強い装備で遠慮なくぶっ壊してやりましょう。

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シャドーアーマーで何も考えずに円月輪ぶん回すの楽しい。

 

ただし、装備の選択には注意が必要な場面も。

一部のステージでは、特定のアーマーやパーツを装備していなければ進むことができず、詰んでしまうポイントがあります。

しかもあろうことか、高難度の終盤ステージのかなり後半にもそのような詰みポイントが仕掛けられています。

詰んでしまったらもちろん、一度ゲームオーバーになってステージを抜け、装備を変えてステージを最初からやり直し。

装備を持っていなければそれを探すところから始めなければならず、それがどこにあるのかゲーム中にヒントはありません。いくらなんでもそりゃないぜ……

 

味わい深いトンチキテキスト

ここまでアクション面に注目してきましたが、ストーリー面に目を向けてみると、テキストもなんだかヘンテコなことに気が付きます。

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「フフフッ死ねや!」に代表される稚拙な台詞回しや、

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「亡れい」「ほん体」など、ひらがなと漢字の使い分けがよくわからない表記、

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「とりもどしてみせる! 平和を」という倒置法を使っている割に感嘆符は省かれていて「平和を」を強調したいのかしたくないのかよくわからない文法表現など、

他にもここには書き切れないほど数多くの珍妙なテキストが存在し、そのトンチキっぷりが本作に何とも言えぬ独特の魅力を付与しています。

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「ほおっておきましょう」

これらのテキストの癖は前作X5から見られ、そちらと比べるとメインのシナリオパートはボイスがつき、台本が用意された影響か多少はマトモな文体になっています。

とはいえ、ボイスのない部分は相変わらずのトンチキテキストを披露してくれますし、ボイスありの部分に関しても、有名声優による迫真の演技と間の抜けた文章とのギャップが笑いを誘います。

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特に、藤原啓治氏による「ゲイト」の熱演は必見。

 

シナリオがつまらないとか、キャラクターの言動が極端に支離滅裂だとかいうわけではないのです。

むしろ、本作のキーキャラクターである ゲイト と彼に仕えるナイトメア調査員たちの設定は世界観の掘り下げとして興味深いですし、敵キャラクターである アイゾック が見せるエックスとゼロに対する諸々の描写はファンならニヤリとできる、納得度の高いものになっています。

にもかかわらず、「台詞回しと文体がなんか変」の一点張りでここまで妙ちくりんな雰囲気を全体に醸し出しているのは、ある種の才能を感じさせてくれます。

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「全てはゲイトだ!」ニュアンスは伝わるのですが、なんか、こう……

文体のトンチキ度合いで言えばX5の方が強烈ですが、本作はエックスとゼロの宿命の対決を描いたX5と比べるとシナリオの台無し感が低いのと、オペレーター「エイリア」によるステージ中の通信が強制ではなく任意で読めるようになったこともあり、比較的マイルドにトンチキテキストを味わうことができ、慣れてくるとこれが段々クセになってきます。

 

純粋に良いと思えるいくつかのポイント

ここまで色々とケチをつけてきましたが、本作にも純粋に"良い"と思えるポイントはいくつかあり、その一つはBGM

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どのステージBGMも各ロケーションの雰囲気をバッチリ表現した名曲揃い。

個人的には、作品全体のポストアポカリプス的な雰囲気が表れているオープニングステージの曲がお気に入り。

終盤に流れる過去作のアレンジBGMも、流れるシチュエーションも併せて好きだという人が多いのではないでしょうか。

欠点があるとすれば、何度も死んでやり直していると、耳にタコができるほど聴く羽目になることでしょうか。マグマエリアのBGMとか、名曲だけど聴くだけでうんざりした気分になります。

 

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グラフィックに関しては、ロックマン8やX4のドット絵と比べると流石に見劣りするものの、ゼ…復活のハンターの攻撃モーションが一新されていたりと、ある程度の頑張りは見られます。

コロニー落下の爪痕残る荒野や、ナイトメアの不気味さなど印象に残る画も多く、終盤ステージ背景の意味はよくわからないけど不気味でかっこいい彫像なんかも結構好きです。

 

また、前述の通りテキストや演出はめちゃくちゃですが大筋のシナリオ自体は良く、エイリアとゲイトの関係性や、Xシリーズにしては異例の明るいエンディングも個人的にはかなり気に入っています。

エンディングと言えば、エンディングテーマ曲の『I.D.E.A. ~僕は、毎日夢を見る~』もなかなか味わい深いスルメ曲なのですが、クレジットには『僕らは毎日夢を見る』と曲名に誤植があります。エンディングにまでテキストガバが……

 

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あと、どうでもいいけどシグマの雇った謎のレプリロイド「ダイナモ」も前作に引き続き登場し、ナイトメアソウルをたくさんくれます。

 

総評

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ストーリー・ビジュアル面でも、アクション面でも、まさしく「悪夢」のごとき本作。

ムカつくけど、クリアはできる。

疲れるけど、やりこめば楽しめる部分も出てくる。

全てを乗り越えた先に感じるのが「でもやっぱりムカつく」になるのか、苦難に打ち勝った喜びが勝つのか……人それぞれ体験によって、行き着く結論は異なるでしょう。

理不尽を切り崩し、はね返していくことに喜びを感じる人なら楽しめるかもしれませんし、アクションゲームの難易度の上げ方や、それをどう乗り越えていくかに一種の美学を持つ人なら、苦痛の方が大きいかもしれません。

本作を素直に楽しむには、ある種の寛容さが素質として必要に思われます。

正直、今更X6のレビューを読む人なんて大半既プレイ勢かと思いますが、もし未プレイで気になった人がいれば、是非自身で体験し、その実態を確かめてみてください。

 

私は正直このゲーム、嫌いじゃありません。いや、やっぱ嫌いかも。でも一周回ってむしろ逆に好きな気もする。

少なくともXシリーズで最初に遊んだ作品ということもあって思い入れはあります。

でもあまり褒められた内容ではないとも思います。

ゲームバランスはめちゃくちゃだし、テキストもめちゃくちゃ。

ハッキリ言って作りが雑で、遊んでいてムカつく場面ばかり。

でもそれををぶっ壊していくのが楽しい瞬間もあり、随所に顔を出すヘンテコさがクセになる……

そんな奇妙な魅力を持った作品。それが私にとっての『ロックマンX6』です。

 

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でもなゲイト、お前だけは絶対に許さん。