後半戦。『X5』~『X8』まで。
※本レビューは、2つで1つの記事となっています。
前編はこちらから。
『ロックマンX』8作品シリーズレビュー:栄光と迷走の歴史。エックスと共に、君は強くなる(前編) - 2Dアクション好きのゲーム日記
ロックマンX5
2000年発売。エックスとゼロの宿命に終止符が打たれるシリーズ完結作……となるはずだったタイトル。
シグマウイルスの蔓延により世界中のレプリロイドが混乱に陥り、さらにはスペースコロニー"ユーラシア"が地球に向けて落下を始め、地球存亡の危機が訪れる……という、終末観あふれるストーリーが展開されます。
終盤ステージでは初代シリーズとの繋がりも示唆され、さらにユーラシアの落下を阻止できなかった場合エンディングが分岐し、大陸が形を変えるほどの甚大な被害が発生するなど、最後にふさわしい壮絶なスケールの戦いが繰り広げられます。
もっとも、その後もシリーズは思いがけず続いていくことになりましたが……
しかし、実際にゲームが始まるとどうにも目についてしまうのが演出の低予算感。
豊潤な予算が感じられた前作から一転して、アニメムービーは無くなり、ストーリーは静止画に僅かな演出が足されているのみで、ボイスもついていません。
そもそもキャラボイスは何故かCV変更されたエックスとゼロ、新たな敵の「ダイナモ」のみ。
ボスのドット絵も全体的にコマ数が少なく、チープな印象がつきまといます。
動き自体もスピード感に欠け全体的にふわっとしていて、正直「カッコいい!」と思わせる動きがあまりなく、『X4』からの落差もあってどうにも切れ味に欠けます。
やっぱ見た目も大事だよ……!
特に終盤のボスラッシュでは体力ゲージがやたらと伸びて戦闘自体が長引くこともあり、余計に間延びした印象を受けます。
アニメもボイスも無し……となると、ストーリー描写において重要になってくるのがテキストになるわけですが、トドメとばかりにこのテキストセンスが本作で一番狂ってます。
ひらがなと漢字の使い分けがかなり独特だったり、変なところで倒置法を使いたがったり……
言葉のチョイスも常にどこか調子はずれ。これは実際のテキストを見てもらうのが早いでしょう。
ここでしかお目にかかれない独特の表現や、思わずズッコケそうになる脱力テキストが目白押し。
こう……「アレをじっこうする!」とかじゃなくて、「例の計画を実行に移す!」みたいにもっと場に合った言い回しをできたんじゃないですかね!?
終始奇妙な文体と緊張感に欠ける台詞回しで物語が展開され、プロットで描かれていたであろう壮絶な物語がことごとく台無しにされています。
あまりのヘンテコぶりは1周回って逆に面白くもあり、コアなファンを生み出している要素でもあります。
ストーリーや演出がどうあれ、肝心なのはアクション性ですが……そこに関しても色々と様子がおかしくなっています。
まずはステージ構成。
妙にせせこましく待ちの時間が多いホタルニクスステージ前半や、ギミックをちまちま撃ってロックを解除しないと進めないクラーケンステージ後半など、8ボスステージは全体的にギミックの味がしつこく、ややテンポ感に欠ける場面が目立ちます。
単体のゲームとしては変ではないものの、『X4』の後ということもあるので、テンポよく駆け抜けていく遊びを期待すると合わないかもしれません。
これまでは採用されてこなかったしゃがみという「待ち」のアクションが導入されたことも、そうした印象を強めている感じは否めません。
特に顕著なのがマッコイーンステージ。
ロックマンシリーズには珍しく強制スクロールのステージですが、やたらと進行が遅い上に、アイテムを集めるためには通算3回も足を運ばねばなりません。
X5名物#ロックマンX #NintendoSwitch pic.twitter.com/NhTe9g345M
— 紅茶 (@tea_creates) 2021年12月16日
また、よくネタにされがちなのが、ステージ開始時の「READY?」の表示が消える前に真っ逆さまに穴へと落ちていくクラーケンステージの導入部。
アニコレ2で初めてX5を遊んだプレイヤーが、困惑のコメントと共に動画をSNSに載せる様子は、もはや風物詩となっています。
システム面でも意欲的な新要素が盛り込まれていますが、内容が精査されていないのか、どうにもまとまりがありません。
代表的なものは、新キャラの"エイリア"によるナビゲート。
ステージ進行中にエイリアとの通信会話が挟まるのですが、これが特定エリアで強制的に足を止めて、言われなくても見ればわかるようなことを独特なテキストセンスで説明されるという、かなりのトンチンカンナビゲートとなっています。
雰囲気作りを兼ねてステージギミックをわかりやすく説明しようという実装意図はわかるのですが、内容が伴っていない上に、ステージの中間部とかでもなく道中で突然不意打ち的に動きを止められるので、アクションのテンポを著しく阻害しています。
他にも、ステージを出入りするとコロニー落下までのカウントが減少し、残り時間が少なくなるとボス撃破時に「ダッシュ速度UP」や「攻撃力UP」などの効果を持つ強化パーツがもらえるのですが……この辺りのシステムが異様にわかりにくかったり。
ライフ+とエナジー+のどちらを選ぶかで追加でもらえる強化パーツも変わるのに、どっちを選ぶと何がもらえるかわからないし、選んでもすぐにはもらえないのも余計にわかりにくい……
8ボスを全て倒さなくてもラストステージに行けるわりに、そのラストステージはいつも通り特殊武器を活用して進むのが楽しい構成で、バスター攻略にあまり向いていないのも、せっかくの要素が効果的に機能していない気がします。
また、今作から『X7』まで、ゲームオーバーになっても直前のチェックポイントからコンティニュー可能な実質残機無限とも言える仕様になっていますが……個人的に、これは一口に改善と言っていいものかという疑念があります。
ここは好みの問題でもあると思うので、軽く読み流して下さい。
ロックマンは元々限られた残機を意識しつつ、できるだけ道中のミスを減らしてボスに挑めるようステージを攻略する面白さと緊張感がありました。
そこへ来ると今作は、多少投げやりなプレイでも次のチェックポイントまで進めればいいという、リスクの無い攻略が出来てしまうケースが目立つようになっています。
やや難易度が高い分、リトライ性を高めることで遊びやすくしているという見方もできるものの、個人的には従来のリトライシステムのままで適切な難易度になるよう調整するのがロックマンとしては良かったのではないか……と、『X6』以降のレベルデザインを見ると、余計にそう思うところがあります。
ただ、色々な新要素の中でも、アーマーシステムの改修は見所のあるポイントです。
今作では『X4』のアーマーをややダウングレードしたフォースアーマーが最初から使えるほか、パーツを揃えることで2種類の新アーマーを追加で使えます。
ファルコンアーマーは特殊武器のチャージができない代わりに、空中を自由に飛行可能という機動力特化のアーマー。
もう一方のガイアアーマーは、特殊武器そのものが使えず機動力も落ちる代償として、強力な威力のチャージバスターと、トゲをも無効化する耐久性を備えています。
技のフォース、空のファルコン、力のガイアといったところでしょうか。
パーツを入手してもその場で装備できず、4つ揃うまで使えないというデメリットもあるものの、こうも尖った性能のアーマーを選択できるのは、今作の確かな魅力と言えるでしょう。
前半4ステージでファルコンを集めておくと、後半4ステージでガイアを回収できるというわかりやすさも良い所。
また、前作からの改善点として、ゼロでもちゃんと全てのボスに弱点を突けるようになりました。
最初のキャラ選択でゼロを選べばバスターも撃てます。もっともだいぶ貧弱なので、実用性は『X6』までお預けですが……
しかしその一方で、ゼロではライフアップを全回収できないという新たな欠点も生まれています。
というか、エックスとゼロ両方使えるようにしておきながら、なんでアイテムは入手した片方だけしか強化されないの!
その他では、難易度選択やトレーニングステージの導入で、今までよりさらに幅広いプレイヤーに対応しようという取り組みもされており、これらは後に本家のロックマンシリーズにも取り入れられていくことになります。
とりあえずまとめると、「予算が無いなりに色々盛り込んでるけど、何もかも噛み合ってない惜しい一作」というのが最終的な所感となるでしょうか。
とにかく変なゲームであることは間違いないので何かとツッコミが多くなりがちですが、『X4』的な遊びの構成ではないことを踏まえつつ、演出のチープさやエイリア通信について割り切れば普通に遊べる一面もあります。
独特のテキストのシュールさに笑うのも一興ですが、真面目にゲームに取り組む場合、システムを調べた上で強化パーツを集めたり、アーマーや特殊武器を使い分けエックスを強化する遊びにスポットを当てて楽しむのがよいのではないかと思います。
ゼロも火力が高く、三日月斬でゴリゴリ削るのが楽しいぞ!
でも真面目に取り組むかどうかって選択肢が発生するのはそもそもどうなんだ!?
ロックマンX6
2001年発売。完結作だったはずの『X5』から、何故か続いてしまった次回作。
元シリーズ統括プロデューサーの稲船氏は、当時の状況について「自分としてもコントロールできない方向に、シリーズが行き始めていた」と語っています。*1
発売年からも察しがつくように、開発スケジュールはかなりキツかったようですが、実際のゲーム内容からもそれがなんとなく窺い知れる一作です。
物語は前作の3週間後からスタート。
コロニー落下による地球滅亡は免れたものの、荒れ果て大きな傷跡を残すことになった大地に、新たな脅威"ナイトメア"が出現。
エックスはゼロから受け継いだゼットセイバーを手に、各地で不可思議な現象を起こすナイトメアの調査に赴きます。
そう、今作ではエックスもセイバーを使うことができます。
ゼロのように3段斬りまではできないものの使い勝手は良く、今作ならではの魅力となっています。
ちなみにゼロのバスターも強化され、相手によってはセイバーよりDPSを稼げるようになりました。しっかり使い分けましょう。
前作よりは予算が増えたのか、メインキャラ以外にもボイスが付き、多少は豪華に感じられるようになりました。
この、結局独力ではどうにもならなかったやるせなさや、それでも憧れだった領域に踏み込めた喜びやらがごちゃまぜになったような声の演技が本当に素晴らしかったですよ...#ロックマンX #NintendoSwitch pic.twitter.com/u5VhiPP3L8
— 紅茶 (@tea_creates) 2020年4月16日
特に、故 藤原啓治氏による本作の黒幕"ゲイト"の熱演は見所です。
一方、ボスのドット絵アニメーションなんかは相変わらずパッとしない印象を受けますが……
異様なクセを放つテキストの文体もほぼそのまま。
ボイスが付いてるメインシナリオはまだある程度整えられていますが、ステージ中の会話テキストは前作に負けず劣らず。稚拙な表現や斜め上のセンスの会話劇が飛び交います。
この会話酷すぎる#ロックマンX #NintendoSwitch pic.twitter.com/H0Sfd9u3Yd
— 紅茶 (@tea_creates) 2020年1月10日
こんなに酷いやりとり存在する?
アクションゲームとしての内容はというと、前作からシステム面では整理・改善が見られるものの、肝心のレベルデザインの調整に手が回っていない印象です。
まず、前作でゲームテンポの妨げになっていたエイリア通信は、任意で開く形に改善。
予兆なく強制的に動きを止められることがなくなり、内容も比較的有意義なことを言うようになりました。
また、ステージの各地には要救助者のレプリロイドが配置され、強化パーツ類はこの要救助者を助けることで得る形になりました。
強化パーツの種類自体も増え、カスタマイズの魅力がより拡張されています。
アーマーは前作同様、初期アーマーに加えて新アーマーが2つ追加される形式。
初期アーマーはファルコンアーマーですが、空中移動が普通のエアダッシュになった代わりに特殊武器チャージが使えるようになるなど、スタンダードな性能に調整されています。正直、あんまり強くない……
新アーマーのひとつ、ブレードアーマーはチャージセイバーが可能になり、4方向へのマッハダッシュによる高機動力を備えたアーマー。カッコいいけど、そこまで強くはない……
もうひとつのシャドーアーマーは、スピードを犠牲にせずにトゲを無効化するガイアアーマーの発展型。入手は困難ですが、忍者のようなフォルムと能力を持ち、個性的でありつつも扱いやすい強さを持っています。
新アーマーがどちらもセイバーにフォーカスを当てた性能なのは、本作らしいところでしょう。
今作は全体的に探索・収集・強化の要素がより掘り下げられており、ステージ中にも分岐があって裏ボスと戦えたりもします。
というと楽しげですが、問題なのはその探索と攻略を行うステージの構成が、揃いも揃って魔窟としか言いようがないこと。
特にゲームを通して困らせられる厄介な存在がこいつ。"ナイトメアウイルス"です。
壁の中から攻撃してきたり、一度倒してもすぐにソウルを回収しないと復活したりとただでさえ処理が面倒な上、あらゆるステージで頻繁に出てくるのでうんざりさせられる……というのもありますが、一番困るのは、要救助者がこいつに憑りつかれると持っている強化パーツごとロストしてしまうこと。
流石に必須級の強化パーツがあるところには出没しませんが、コンプリートを狙う上では非常に大きなストレス要因です。
そもそもからして、要救助者の配置がやたら雑なのも気になるところ。
平然と宙に浮いてたり、トゲの上やら穴の上やら危険な場所にばかり配置されていたりします。君ら助かる気ある?
こういう雑な配置を見ていると、こちらも「まぁ命を投げ捨てて助ければいいか……どうせタダでリトライできるし」みたいな雑なプレイに思考が傾くようになっていきます。命の価値が安い……!
ステージギミックは、同じ中ボスと5回も連続で戦わされたり、ステージ中でずっとプレス機に圧迫され続けたりと、疲労感の高いものが目立ちます。
ボスに関しても、8ボスの大半がやたら弱い一方で、終盤の一部の敵はプレイヤーに不利を押し付けるような戦い方をしてきたりして、あまり戦っていて気持ちよくもありません。
また、ステージを出入りすることで他のステージに影響が出る『X1』のような要素もありますが、大抵の場合はデメリットしかなく、プレイヤーを苦しめようとする意図を強く感じてしまいます。
特にひどいのがこちらのナイトメ・アダーク。何にも見えません。
さらにトドメとなるのが、いくつかある詰みポイント。
ダッシュやジャンプの強化、エアダッシュなどが無い状態でこの詰みポイントに入ると進行不能になり、ゲームオーバーになってステージを出直すしかなくなります。
こういう……配慮の無さっていうのかなぁ!?
シリーズ中でも難易度が高い本作ですが、その分特殊武器を活用して道を切り開く楽しさもあります。特に、ヤンマーオプションは頼れる存在。
集めるのが大変ではあるものの強化要素も豊富なため、やや理不尽とも言えるステージを手段を選ばずゴリゴリに蹂躙することで、ある種の爽快感を得ることもできます。
シャドーアーマーの何も考えなくていい無双感や、ガードシェルのよくわからない副作用を利用したゼロの滅多切りは、確かに本作ならではの魅力。
ただまぁこう……もうちょっとスマートなつくりにできなかったかな? という気持ちもふつふつとわいてくるのですよね。
チャージ特殊武器の軌道にムラがあるものが多く、効くことは効くけど当たったり当たらなかったりする辺りに本作の性格が表れている気がします。ぴったりハマる感覚に欠けるというか。
良い所も悪い所もとにかく無造作に突っ込まれていて何かと雑味が強いものの、独特の味わいもあって見過ごせない、実に奇怪な一作です。
『X5』に並んでツッコミどころも満載で、中毒的な魅力に憑りつかれた人も少なくありません。なんか妙に話題性あるんですよね……
つくりの粗さを散々こき下ろしていたのに、気が付いたらまた遊びたくなるような……ならないような……そんなタイトル。
新規のナイトメア調査員は常時募集中です。
ちなみに、『X6』に関しては何故か個別レビューも書いています。
よければこちらもご査収ください。
『ロックマンX6』レビュー:悪夢! その先にあるのは喜びか苦痛か - 2Dアクション好きのゲーム日記
ロックマンX7
2003年発売。PS2へと移行し、ついに3Dに足を踏み入れます。
地球の復興が進む中、イレギュラーの発生も止まることなく続き、これまでのやり方に疑問を感じたエックスが前線を離脱。
弱体化したイレギュラーハンターに代わり、荒くれ者の自警団"レッドアラート"が台頭し始めます。
しかし今、イレギュラーハンターを夢見てレッドアラートの元を離れようとする者がいました。
彼こそは"アクセル"。エックス、ゼロに続く第3の主人公です。
というわけで、今作からは3人体制。
出撃時に3人のうち2人を選んで、ステージ中に切り替えて進むことができるダブルヒーローシステムも導入されるようになります。
とはいえ、最初はエックスが使えず、アクセルとゼロの2人だけなんですけどね。
アクセルはエックスと同じく、ショットを主軸に戦うタイプ。
チャージショットが使えない分、通常時の火力は控えめですが、特殊武器の獲得時に追加でレーザーガンやバズーカなどの武器が手に入る場合があり、それらを通常武器として弾数を気にせず使用可能という特徴があります。
他にも、空中でのホバーや、ダッシュから派生して無敵回避を行うローリングが可能だったり、機動性でも差別化されています。
そして最大の特徴は、相手の姿形までそっくりにコピーし、変身することができるAトランスの力。
コピーできるのは一部の敵に限られますが、これを活用しなければ進めないルートなども用意されています。
また、既存キャラ2人にも、いくらか手が入っています。
ゼロはアクセルと同様、一部のボスから槍などの武器を得ることができ、セイバー以外にも近接戦闘のバリエーションが増えました。
その代わりまたバスターは剥奪。完全な近接特化キャラになっています。
エックスに関しては、今作からついにエアダッシュが標準装備になりました。
今作のアーマーはグライドアーマーの1種類。旧来通り、全部集めなくても個々のパーツが使える形に戻りました。
その名の通り滑空ができるほか、チャージショットがデカい、威力高い、追尾弾付きとシンプルにめちゃくちゃ強いのが特徴です。トータルの印象はなんか地味ではありますが……
さて、そんな3人でステージに挑んでいくわけですが、正直本作はアクションゲームとしてはかなり厳しい出来です。
ステージ中には2Dのエリアと3Dのエリアがあり、場面によって切り替わるのですが……カメラワークがとにかくひどい!
2Dの時も3Dの時もやたらカメラがキャラに近くて前方が見えにくかったり、平然と画面手前に物を置いて視界を遮ったりしてきます。
アリクイックステージに至っては、上下が反転する際に何故か操作も上下反転するため、見た目と操作が一致せず非常に動かしづらくなります。誰か疑問を感じなかったのか……!?
エックスとアクセルはロックオンで敵に狙いをつけるのですが、このロックオンの感度もイマイチ。
操作性も全体的にもっさりしていて、更にダッシュ壁蹴りが途中で急激に失速するという謎の挙動も見せてくれます。
飛行機の動きに置いてかれたり置いてかれなかったりしろ#ロックマンX #NintendoSwitch pic.twitter.com/0iWlvQdX2H
— 紅茶 (@tea_creates) 2021年12月16日
物の上に乗ってる時の挙動もかなり独特。
全体的に慣性のつけ方が不安定なのですよね……
のろのろライドチェイサー#ロックマンX #NintendoSwitch pic.twitter.com/y1f4bLPdGW
— 紅茶 (@tea_creates) 2021年12月16日
イノブスキーステージの「ライドチェイサーでサーキットを駆け抜ける」というシチュエーションから繰り出される異様にもたもたした絵面は、逆に見ものですらあります。
『X5』といい、チェイサーが絡むと変な感じになりやすいですね……
要救助者のレスキュー要素も続投。
『X6』ではナイトメアウイルスにさえ気を付ければよかったのですが、今回はあらゆる敵の攻撃で死んでしまいます。状況悪化してない?
にもかかわらず、敵集団やトラップの真っ只中といった悪質な配置が横行しており、画面外で知らん間にロストしていたことがリザルト画面で発覚する……なんてこともしばしば。
近づかないと出現せず、敵がいる目の前に突然湧いて出るような奴も少なくない数いて、見かける度にちょっとイラっとします。
コンプリートにかかるストレスは『X6』にも勝るとも劣りませんが、苦労して集めても強化の実感はそれほど得られず、いいとこ無しの印象です。
他にも、コピーショットの威力が低くてトドメを刺しにくく使いづらいとか、使い物にならない特殊武器が多く弱点としてもあまり機能していないとか、ライフアップなどのアイテムを取ったときにSEのひとつも鳴らないので妙に手応えに欠けるとか、気になるところは盛り沢山。
つくりの粗さはUIにも及んでいます。
頻繁に見ることになるリザルト画面では、無駄に逐一選択確認のダイアログが出てくる上に、その全てで初期カーソルが「いいえ」に当たっておりいちいち操作がめんどくさいったらありません。
初期カーソルが「いいえ」なのは厳密には『X5』からなのですが、本作はとにかくUIアニメーションがもっさりしている上に頻度が段違いなので、地味ながらも強烈なストレス要因となっています。
これはロックマンXなのか?
遊んでいてそんな気持ちになってしまう本作。
その主な要因は、アクションからUIまで全体的に支配しているもっさり感と、従来の2Dでは起こり得なかった劣悪なカメラワークでしょう。
『X5』や『X6』は『X4』という基盤があったから、その上に珍妙な新要素や雑なレベルデザインを載せてもまだ「らしさ」を保つことができていましたが、新ハードで土台から作り直し、3D化や新主人公の追加という更なるチャレンジ精神を無謀にも発揮した結果、根本からしてだいぶ厳しい品質になってしまったという印象です。
『X5』と『X6』もその珍妙さから表現する言葉を見つけるのに苦労しましたが、『X7』に対してはなんというか、かけるべき言葉が見つかりません……
ただフォローしたいのが、ストーリーに関しては割と良いと思うのです。
ややチンピラとの小競り合いのような印象も受けるものの、アクセルの古巣からの旅立ちを描いた物語としては丁寧に描かれており、十分な魅力があります。
特に、レッドからアクセルへの最期の言葉がすごく良い……
テキストも真っ当になりましたし、アクセル自身も、何かと悩みの尽きないエックスやゼロとは異なるまっすぐな少年らしさがあって良いキャラですからね。
シリーズがもっと続いて、より掘り下げられていけば尚良かったのですが……
ロックマンX8
2005年発売。ナンバリングとしては現状最後のタイトルです。
『X7』で復興したと思いきや、やはり地球の荒廃は止まらず。ついに人類は月への移住を計画し、軌道エレベーター"ヤコブ"を建設します。
もうだいぶ末期な感じですが、新天地開拓のための新世代型レプリロイドもやっぱりイレギュラー化。
更にはかつての敵VAVA-Vも再び復活し、エックス達の新たな戦いが始まります。
ゲーム内容は横スクロールの2Dアクションに回帰。ロックオンシステムも廃止され、ついでにしゃがみも無くなっています。
『X7』は単に練度が足りていなかったのであって3Dへの挑戦自体が悪かったわけではないとは思いますが……それはまぁさておき。
3Dグラフィックで2Dアクションを表現するのにはまだ慣れていないのか、キャラのモーションやカメラの近さなどに少々ぎこちなさを感じますが、操作性はキビキビと動くハイスピードなアクションを楽しめるようになっています。
キャラ性能に関しては、特にアクセルが大きく改修されました。
まず、アクセルのショットは発射中立ち止まり、ボタン押しっぱなしで8方向に連射できるという『ロックマン&フォルテ』のフォルテのようなスタイルに。
特殊武器もエックスより威力が控えめな代わりに弾数無限で連射できるショットが与えられるようになり、さらにキャラの個性が強くなりました。
また、今回エックスのアーマーは2種類用意されていますが、『X5』のように完成させないと使えないわけではなく、各パーツごとに2種類から選んで付け替えられるようになりました。
強化の自由度は上がっていますが、その分各アーマーの個性付けはやや抑えめです。
3人のキャラから2人を選ぶダブルヒーローシステムは今回も同じですが、前作と異なり片方が倒れても残ったキャラで続行できたり、ダメージを受けてもすぐに交代すれば回復できるように。
敵に捕縛されたときに相棒を呼び出して脱出するレスキューチェンジや、必殺のダブルアタックなど、色々な追加要素によって連携して戦う感覚が強化されています。
クラッキング攻撃で相手のガードを崩しての攻防や、体力が減ってくるとボスが大技を使ってきたり、こちらもダブルアタックで対抗したり……といった具合で、戦闘演出が良いのも本作の魅力です。
その他のゲームシステムも色々と刷新されていますが、特に大きく変わったのがアイテム収集と強化の要素。
まず、『X6』『X7』でプレイヤーを苦しめた要救助者のレスキューシステムは廃止。
今作ではステージ中でメタルを集めることで強化を行っていきます。
メタルは初代シリーズにおけるネジのようなもので、残機や回復アイテムのような消耗品から、各キャラ固有の武器やアビリティまで、様々な開発を行うことができます。
今作はライフアップやサブタンクなども、ステージで拾うのではなくメタルによる強化の対象。
メタルさえあればどのキャラからどのように強化するか任意で選べるようになり、アイテムを取得したキャラしか強化できなかった前作までから大きく改善されました。
これにより、特定のキャラだけを強化して使うのではなく、複数のキャラを満遍なく使う選択肢が選びやすくもなっています。
各地に隠されたレアメタルを集めなければアンロックされない強化もあるのですが、一部のレアメタルは『X3』以上に入手手順がわかりにくく、知らないとそもそも見つけられないようなのがいくつかあるのがやや残念なところではありますが……
『X3』の時点で要素が渋滞気味だったことを思うと、さもありなん、といったところ、
また、『X5』~『X7』で通例となっていた実質的な残機無限システムも廃止。
通常通り、残機を切らしたらステージをやり直しになります。
それ自体は問題ないと思うのですが、後述する即死が多く妙にシビアなレベルデザインとはあまり噛み合っておらず、これだったら今作も残機無限のままでよかったのでは……? という気もしないではありません。
最大残機数が少なめでステージ中で増やせない代わりに、ステージセレクトに戻ると自動で残機が最低数補充されたり、メタルを使った開発もしやすいなど、良い所もあるんですけどね。
ゲームバランスについてはまず、全体的にギミックで遊ばせるようなつくりが目立ちます。
限定的に区切られた空間内でキャラを動かすシチュエーションが多く、操作のスピード感自体はあるものの、ステージを一気に駆け抜けるような爽快感を求める場合はニーズに合わない可能性が高めです。
そしてその上で、即死の存在感が強く、妙にシビアな操作を要求する場面がちょくちょくあるので、わりと人を選ぶ設計であるようにも思われます。
特に、コケコッカーステージ中盤や最終ステージ後半はヤケクソみたいにトゲが敷き詰められていて、画面構成の狭さも相まってシリーズでも随一の圧迫感があります。
また、ライドチェイサー専用のステージが2つもあり、イエティンガーステージは後半の即死の多さ、ドクラーゲンステージはルールや画面の奥行きのわかりにくさなどから、どちらも不親切な印象が残るのもバランス的にやや気になるところです。
もっとも、それでも『X6』や『X7』に比べたら真っ当な方向に持ち直しているのは間違いありません。
全体的に独自の進化・発展を遂げた部分が多く、過去作から色々改善されている一方で、やや過剰なシビアさや不親切さなど、節々で気になるところもあります。
まだ挙げていないものだと、ボスの無敵発生タイミングがわかりにくいとか、エックスの特殊武器が探索以外で影が薄いとか、ストーリーの一部描写に違和感があるところなんかもちょっと残念です。
とはいえ、しっかり個性付けされた3人のキャラの使い分けや、自由度の高い強化要素は、シリーズの積み重ねてきた進化を更に一段上に高めており、本作の確かな魅力となっています。
少なくとも、何かとツッコミどころの多いシリーズ後期作の中では比較的真っ当な一作。
「これはおもしろい!」とパッケージ裏に書きたくなる気持ちも、わからないではありません。
ひとこと感想
X5:変なゲーム
X6:雑、無造作、中毒性あり
X7:アクセルいいよね
X8:独自の方向性に伸びてきた
総評
様々な魅力を持つだけに、作品ごとの方向性も大きく異なる本シリーズ。
多様性があると言うべきか、軸がブレててわかりにくいと言うべきか。何かとチャレンジングであることは間違いありません。
作品評価や各々のプレイヤーが抱く理想像も大きく異なっている印象があり、このレビューもあくまで参考程度に留めておいていただきたいところ。
個人的な見解としては、初代シリーズの面影を残しつつも『ロックマンX』としてのコンセプトを最も純粋かつ高い完成度で表した『X1』が特にオススメです。
また、自分のように『ロックマンゼロ』シリーズから入った人なら、『X4』がわりと近い感覚で遊べて好みに合いやすいでしょう。
その他のシリーズ作も、(特にアニコレ2収録の後期作は)万人向けとは言い難い作品もあるものの、一口につまらないというよりは「なんでこうなっちゃったの!?」とツッコミたくなる奇妙な魅力があり、何かと人に薦めたくなるユニークな面々が揃っています。
初代シリーズから続き、ゼロシリーズに繋がったり繋がらなかったりする大河のごとき壮大な歴史を描いたストーリーも見所の一つ。
遊びやすい所をつまむもよし、シリーズを通して濁流のごときその流れに身を揉まれるもよし。
自分に合った作品と楽しみ方を、是非見つけてみましょう。