悪魔城伝説をクリアした勢いでこちらもレビューだ!
- ゲーム概要
- その男 ー斬月ー
- 協調か、対立かーー 選択で変化するレベルデザイン
- ベテランか、カジュアルかーー 気軽に遊べる難易度選択のしかけ
- シビれる演出で盛り上がるボス戦
- こだわりを感じるレトログラフィック&サウンド
- 総評
ゲーム概要
メーカー:インティ・クリエイツ
プラットフォーム:Nintendo Switch / 3DS / PS4 / PS Vita / Xbox One / Steam / DMM
プレイ人数:1人
初リリース日:2018/5/24
価格:980円(税込) / Xbox Oneは1,080円(税込)
本作は、200X年代に『悪魔城ドラキュラ』シリーズのプロデューサーを務めたことで知られる「IGA」こと五十嵐孝司氏が手掛ける『Bloodstained』の外伝作。
本編である『Bloodstained: Ritual of the Night』(以下、RotN)が探索型の悪魔城シリーズをモチーフとしているのに対し、
こちらはファミコン風のグラフィック、ステージクリア式、4種の操作キャラなど、『悪魔城伝説』を踏襲しつつ、より遊びやすく、より奥深く、現代向けにアップデートされた作品になっています。
キャラクター設定などは本編『RotN』と一部共通しているものの、物語はパラレル的な位置づけで『RotN』とは独立しています。
そもそも本作のストーリーは「呪いを解くために悪魔を退治しに行く!」くらいのシンプルなものなので、『RotN』を知らなくても気にせずプレイしてOKです。
その男 ー斬月ー
かつて、悪魔によって 月の呪いを受けた男がいた。
その男 ー斬月ー
自身に呪いをかけた悪魔を討ち、全ての悪魔を斬り滅ぼすため、闇から闇へと旅をしていた…
今宵、男が斬るのは 月か、悪魔か。
斬月
主人公。メイン武器は刀。
リーチは短いものの出が速く、居合のようにズバ! と斬るのが楽しい。
やはりと言うべきか上下方向には弱く、足りない部分はウェポンポイントを消費するサブ武器の利用でカバーすることになります。
また、他のキャラにも共通することですが、空中で方向転換ができずジャンプの挙動が固定化されています。初期の悪魔城を踏襲した動きですね。
最近だとあまり見ない操作性なので戸惑う人もいるかもしれませんが、当時の感覚をそっくり再現しつつもも全体的にレスポンスよく、キビキビ快適に動けるように調整されています。
ジャンプや攻撃速度だけでなく、階段の上り下りもモッサリ感が大きく軽減され、サブ武器もボタン一つで発動可能。
当時操作性で挫けてしまった人でも、格段に扱いやすく感じることと思われます。
協調か、対立かーー 選択で変化するレベルデザイン
斬月のほかに、3人の操作キャラが仲間として加わります。
ミリアム
本編作品『RotN』の主人公である少女。メイン武器はムチ。
斬月とは異なる4種のサブ武器を扱い、長いリーチにものを言わせて戦うのが楽しい。
ジャンプ力が高く、スライディングで狭い通路を通ることも可能。
アルフレッド
錬金術師のおじいちゃん。
体力が低く、杖攻撃も貧弱そのものですが、サブ攻撃の錬金術が非常に強力。
他のキャラだと苦戦する難関も術を駆使すればへっちゃらです。
ただしポイントの消耗が大きく、また分身術だけはあまり強くない点に注意が必要。
ジーベル
ミリアムと似通った境遇にあり、人間と錬金術師を憎む青年。
攻撃は斜め上への3wayショット。リーチはそこそこですが、他のキャラが苦手としやすい上方向にめっぽう強いので重宝します。
また、コウモリに変身して自由に飛ぶことができ、ショートカットや落下からの復帰が可能。
原典である『悪魔城伝説』と異なり、仲間は1人を選ぶのではなく全員同行することができます。
その場その場で使用するキャラを切り替えて進んでいきますが、切り替えは瞬時に行われて快適。
体力は各キャラ個別のため、被弾しそうになったらタフな斬月に切り替えてダメージを肩代わり! なんて戦法もとれます。
ステージ設計もよくできていて、「ここはこのキャラ / 武器を使おう!」というのがひと目でわかりやすく、使い分けが楽しい構成。
また、各ステージ中にはいくつか分岐点があり、対応する能力の仲間がいればショートカットが可能。
そして親切なことに、どのルートを通ってもパワーアップアイテムの取り逃しが発生しないアイテム配置になっています。開発陣に気配りの天才がいるな……
ちなみに、あえて仲間にしないという選択肢もあり。
その場合ショートカットができなくなるので、進むルートが変化します。
また、選択によっては斬月が新たな能力を得ることもあり、同じルートでも攻略法が変わってきます。
これらによって、「仲間にしない」という選択肢が、単なる縛りプレイでなく新たなプレイスタイルの獲得につながり、その都度新鮮な気持ちでプレイできる点が実に見事。
仲間の有無でエンディングも変わってくるので、繰り返し遊びたくなる魅力があります。
ベテランか、カジュアルかーー 気軽に遊べる難易度選択のしかけ
「初期の悪魔城リスペクトなら難しいんでしょ?」
と思う方がいらっしゃるかもしれません。
実際、基本的には難しいゲームと思ってもらうのがよいでしょう。
序盤は比較的優しいものの、仲間が4人そろったあたりから徐々に難易度が上がり、終盤はなかなかの手強さ。
クリア後にはボスが強化されたナイトメアモードも解禁されます。
しかし、ただ難しいだけではなく、もっと気軽に遊べるようになるしかけも用意されています。
それが、「ベテランモード」と「カジュアルモード」の2つのプレイスタイル。
ベテランモードは昔ながらの 残機制&ノックバックあり。
カジュアルモードは 残機無限&ノックバックなし。
敵の配置や攻撃パターンなどは変わりませんが、これらの仕様変更だけでも格段に遊びやすさが変わります。
特にノックバックで穴に落ちる心配がないのがもう全然違う…!
2つのモードは後からでも切り替え可能で、どちらを選んでもペナルティは一切なし。カジュアルモードでも全てのエンディングを見ることができるので気が利いてます。
もちろん、「難しい方が挑戦しがいがある!」という人はベテランモードを選びましょう。
仲間の力を借りてショートカットが可能な通常プレイはまだ手心を感じるものの、仲間に頼らず進む場合はなかなかの高難度。
最高難度のルートに至っては、『悪魔城伝説』にも負けず劣らずの手応えを感じました。あくまで個人的な所見ですが。
しかし理不尽さはなく、一見非常に困難な道のりも、敵の動きをよく観察し、持ちうるアクションをフル活用すれば必ず攻略できるようになっています。
「先のことを考えてここはこの武器を持って行こう」「ここは逆に立ち止まらず進めば敵を上手く誘導できるかも」などといった試行錯誤は、まさにアクションゲームの醍醐味。
また本作、敵の攻撃の多くをこちらの攻撃で打ち消すことができ、これによって、敵の攻撃からただ逃げ回るのではなく、積極的に攻めていく感覚のアクションが楽しめます。
やっぱりアクションゲームはザクザク攻撃をかましてこそ、というところはありますが、そのあたりも本作は非常に上手に調整してくれています。
協調か、対立かーー
ベテランか、カジュアルかーー
どういうプレイスタイルをとるもプレイヤーの自由で、それでいてどう遊んでも楽しく難しい。
このあたりの難易度調整は、インティ・クリエイツ作品の中でも上位に入るクオリティだと個人的には思います。
全体的に、レベルデザインがものすごく丁寧なんですよね。
シビれる演出で盛り上がるボス戦
アクションゲームならボス戦にも期待したいところですが、本作はそのへんもバッチリ。
登場するボスは軒並みカッコよく、センスあふれるド派手なアクションを見せてくれます。
レトロな作風でも、地味なボス戦は一つもありません。
戦闘時に挟まる演出もキレキレで、ラスボス戦は特に熱く盛り上げてくれます。
『RotN』のボスキャラも多数登場するので、そちらを遊んだ人は両者を比べてみるのも面白いかもしれません。
こだわりを感じるレトログラフィック&サウンド
国内でレトロアクションを作らせたら右に出るものがいない(と、筆者が勝手に思っている)インティ・クリエイツらしく、グラフィック・サウンドはこだわり抜かれています。
特に注目したいのがサウンド。
『悪魔城伝説』は拡張チップを用い、ファミコンでありながら高音質で迫力あるサウンドを実現していました。
本作でもおそらく同じ音源が使われており、雰囲気をたっぷり感じさせてくれます。
#NintendoSwitch pic.twitter.com/hrkKSV0faS
— 紅茶 (@tea_creates) 2020年6月21日
個人的には、7面のBGMが特に好きですね。
総評
見た目はレトロですが、操作レスポンスの向上に加えてステージ構成も非常に丁寧に調整されており、
『悪魔城伝説』の良いところ、特徴的な部分を残しつつ、より遊びやすく、より幅広いプレイスタイルに対応した作品になっています。
これぞ温故知新といったところでしょうか。
特にベテランモード/ カジュアルモードの仕様は、非常に気配りの効いた良システム。
単体のゲームとして見ても非常に完成度が高いので、悪魔城シリーズや本編の『RotN』を知らない人にも是非遊んでもらいたい作品です。
オススメ!