2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『BLADE CHIMERA』レビュー:十分面白いけどTeam Ladybugにはもっと期待しているんだ

 

 

はじめに

本作は、『Touhou Luna Nights』(以下、ルナナイツ)ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダーラビリンス-』(以下、ロードス島などの探索型2Dアクションの名手として知られ、直近ではシューティングゲーム『DRAINUS』なども送り出したTeam Ladybugによる新作ゲーム。
Ladybugの探索アクションとしては、IP許諾ものでない初の完全オリジナルタイトルでもあります。

上に挙げたタイトルはどれも面白く、個人的にもかなり信頼の置いているメーカーの完全新作ということで、これは応援せねばと購入、プレイ。そして裏ボスも倒してクリアしました。
今回も十分面白く、及第点は軽く超えてくる内容ではありましたが……個人的には、これまでの作品に比べてちょっと物足りない、惜しい作品という評価になりました。

レビューの中では『ルナナイツ』や『ロードス島』との比較も挟んでいくので、これらのレビュー記事も置いておきます。

 

『Touhou Luna Nights』簡易レビュー:ユニークかつ丁寧に練られた、歯応え十分の良作 - 2Dアクション好きのゲーム日記

『ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダーラビリンス-』レビュー:幅広い層に安心してオススメできる、オーソドックスな探索アクション - 2Dアクション好きのゲーム日記

 

ゲームの概要

メーカー:Team Ladybug / WSS playground / PLAYISM

プラットフォーム:Nintendo Switch / Steam

発売日:2025/1/16

価格:2,480円(税込)

公式サイト:ブレードキメラ | Game | PLAYISM公式サイト

ストーリー

人間が突如として"妖魔"と呼ばれる怪物に成り果ててしまう近未来。
魑魅魍魎が跋扈する世界で、人々は妖魔ハンター"マリュード"を従える"聖祭協会"の庇護の元で暮らしていました。

主人公はマリュードたちの長を務める"シン"
シンはある任務の最中、変幻自在に姿を変え、過去に干渉する力を持つ妖魔"ルクス"と出会います。

シンはマリュードになる以前の記憶を失っていましたが、ルクスと出会い、共に妖魔と戦う中で、自らの過去と妖魔の真実に触れていくことになります。

 

悪魔城ライクな探索型2Dアクション

本作は『ロードス島』から引き続き、探索型の悪魔城ドラキュラ、とりわけ月下の夜想曲を思わせる手触りのアクションゲームとなっています。
シンプルでクセは少なく、ドット絵の雰囲気やアニメーションもそっくり。

特徴としては、近接武器の他に銃が使えること。
オートエイムで操作は簡単、空中の敵にも当てやすいものになっています。

一応弾を一定数撃ったらリロードが必要ですが、撃つのをやめたら自動ですぐリロードされるのでそこまで気にせず使えます。
考えなしに連射し続けることはできない、というくらい。

武器は同時に2枠まで装備可能なので、近接武器と銃を併用することもできます。

 

ロードス島』からRPG要素も順当に増え、防具アイテムの装備枠ができてパラメータをいじれるようになったり、スキルツリーサブクエスが追加されたりしています。

スキルツリーはレベルアップでポイントをためて解放する形式となっており、レベル上げのモチベーションを高める要素にもなっています。
スキルを解放すると対応したパネルのストーリーが回想形式で見れるようになるのがユニークな作り。
なお、スキルは個別にON/OFF切り替え可能なので、回想を見つつスキルは縛る、というような遊び方もできます。

 

探索アクションとしてはストーリーに沿って進行していくタイプ。
マップ上で指示された場所に向かいつつ、寄り道の探索をしてアイテムを集め、道中で敵を倒してレベルを上げ、手に入れたスキルを活用して道を切り開いていきます。

 

ドット絵の演出も進化していますが、特に目を引いたのはキャラの縁取り表現。
背景に溶け込まない意図を込めてか、キャラのドット絵に縁取りがつくことがありますが、周囲の光源に合わせて縁取りの色も変化するのがなかなか細かくて見所のひとつでした。

 

過去を視る剣がワンボタンでなんでも解決

本作の最大の特徴は、相棒であるルクスによる多様なアクション。

ルクスは"妖蛍刀"という大剣に変化し、それを飛ばして中距離への攻撃が可能です。
スキルを解放すれば飛ばした先で回転させて継続ダメージを与え、更に戻ってくるときにも追加ダメージを与えられるようになります。

妖蛍刀には敵の弾を打ち消す効果があるので、遠距離攻撃の発生に合わせて攻撃することで攻撃と防御を同時に行うことも可能。

また、地面に対して突き立てれば、バリアを展開してより確実に身を守ることもできます。
妖蛍刀は壁にも刺して足場にしたりもできるので、これを使って壁を登ったりと、移動にも活用できます。

 

そして、ルクスは過去に干渉する力でステージギミックにも作用します。
足場を作ったり、押して動かしたブロックを元の場所に戻したり、トラップを作動させて敵を攻撃したり、ワイヤーに変化して地形を渡って行ったり、とにかく至る所でルクスを使ったギミックが用意されています。

いずれのギミックもワンボタンで作動させられるので、操作も簡単。
ストーリー上でもルクスの力を活用する場面が度々あります。

 

このように、ルクスはこれ一本でなんでもござれの万能アクションとなっています。
このルクスをとにかく使い倒す活用っぷりと、銃・近接武器・ルクスの3種の攻撃を状況によって使い分けるバトルの組み立ては本作でも一番の魅力と言っていいでしょう。

 

リカバリしやすい戦闘システム。でもゴリ押しできすぎかも

Ladybugのゲームはしっかり歯応えのあるレベルデザインの基盤がありつつ、ちょっとミスっても巻き返しやすい、シビアすぎないバランスが持ち味。
そして今回もそれは健在で、例によって回復が基本システムに組み込まれています。

ルクスで敵に攻撃すると、与えたダメージに応じてHPを回復できます。
また、バリアで敵弾を防ぐことでも回復可能。

ルクスの使用にはMPが必要ですが、MPは逆に銃や剣などの通常攻撃を当てることで回復する仕組み。
通常攻撃とルクスによる攻撃を交互に織り交ぜて使うことで、HPとMP回復を循環させ、永久機関が完成しちまうって寸法です。

 

ただ、このシステムは過去作の回復システムに比べて「ちゃんと避ける」ことが軽視されていて、工夫のないゴリ押しや安定策が通じやすく、リスクとリターンの駆け引きが弱い印象を受けました。

 

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例えば『ルナナイツ』では、敵弾をギリギリで避ける"グレイズ"で回復するシステムでした。
これはまず前提としてちゃんと攻撃を避けなければならず、回復したい場面でこそギリギリを攻めないといけない、というわかりやすいリスクとリターンがありました。

 

ロードス島』では2つの属性を切り替えて戦い、

  • 現在の属性のレベルが最大ならHPが徐々に回復する
  • 被弾すると現在装備している属性のレベルが下がる
  • 敵を倒したり攻撃すると装備していない方の属性のレベルを上げられる

というシステムでした。

被弾して属性レベルが下がっても、もう片方の属性がレベルMAXならそちらに切り替えることで受けたダメージを回復できますが、その後また攻撃を喰って両方の属性が下がった状態になるとジリ貧で追い詰められやすくなる、という仕組み。
「一発だけならリカバリしやすく、でも属性の切り替えタイミングを見誤ってミスが重なるとちゃんとお咎めがある」という、しっかりとしたリスク管理のあるシステムになっていました。

 

一方で今作は、ただルクスの攻撃を当てるだけで回復できてしまいます。
被弾で失うものも少ないので、前2作と比べるとゴリ押しが通じやすい仕組み。

通常攻撃の方も銃が遠距離から楽に当てやすい上に火力も申し分ないというのもあって、全体的にリスクを取る選択肢が弱く、安定行動が普通に強いようなバランスになっています。

ルクスの回転攻撃スキルは特に強力で、敵の攻撃を発生点で潰しつつ大ダメージを与えてこちらのHPも大幅に回復する、なんて芸当ができるレベル。
強すぎたら縛ればいい、というのが通常ですが、ルクスは本作の要のアクションなので使わないのも持ち味を殺してしまうようでもったいなく……

 

ゴリ押しも通用する作りにして初心者でも遊べるようにする、という方向性にすること自体は良いと思います。
ただ、ゴリ押し許容装置としては回復アイテムの存在もあるので、その上で基本システムもこんな感じだと優しさを通り越して単に大味ではないか? と思うところがあります。

適当にやりすぎると流石に死ぬし、ボス戦では攻略法を意識して戦う必要はあるので、ぬるいだけのゲームってわけではありませんでしたが……それでも大味で、「リスクを取ってリターンを得る」という仕組みが崩れている印象は否めませんでした。

 

ちなみに個人的なプレイスタイルとしては、ルクスが十分強いので回復アイテムは基本的に不使用でやっていました。
例外的に裏の最終ボスだけは被ダメがデカすぎて回復アイテムをガンガン使っていましたが……
あれはあれでルクスの使い所が無く、なんか別のゲームをやっている感があったので納得感のある歯応えではなかったように思います。


仕組みの部分の他にも、ボス戦では敵を常に画面に入れようとカメラが勝手に動くので、自キャラが画面枠に押し出される形で敵の攻撃に当たったりだとか、わからん殺しやハメ殺しコンボもたまにあったりと、前2作では覚えのなかった粗さを感じる部分も多少ありました。

ハニワ化の状態異常もなんかストレスたまるだけでかったるかったですね……2DアクションRPGの状態異常って大体そんな感じですけど。

 

驚きの「いつでもどこでもワープ」ちょっと大胆すぎるかも

本作のマップの広さは、Ladybugの探索アクション史上最大。
といっても、どちらかというと過去作がややコンパクトなので、本作のボリュームが特別多いって感じでもありませんが。クリアまでの尺感は10時間前後というところでしょうか。

ストーリー主導で進行する形式で、都度目的地がマップ上に表示されるので迷子にはなりにくく、探索が苦手な人や初心者でも安心の作りです。

 

本作の探索で特徴的なのはファストトラベル機能。

なんとこの機能、マップ上の行ったことのある場所なら、いつでも、どこからでも、ほぼどこへでもワープできるという反則レベルの超便利機能となっています。
しかも序盤から解放可能なスキルなので、ほぼゲーム冒頭からずっと使えます。

 

これのおかげで、とにかく移動が楽。
探索アクション、特に悪魔城系列では「行き止まりまで進んだ後、分岐点まで歩いて戻る」ということがよくありますが、本作では分岐点まで一瞬でワープして次の道へ進めるので、かなり徒労感が軽減されます。

ワープを使うことでしか行けない場所やそれで取れるアイテムなんかもあり、便利なだけでなく独自のギミックとしても機能しており、なかなかに画期的。

 

ただ正直なところ、便利すぎて「やりすぎ」な印象も強いです。

というのも、「ヤバくなったらセーブポイントまでワープで撤退して、回復してからすぐ元の場所までワープで戻る」とかできちゃうので、探索中の緊張感などほとんど無いようなものです。
経験値システムがあるなら同じ道を繰り返し通って敵と戦闘しても無駄にはならないのだし、もっと自力で歩かせてもよいのでは? と思います。

 

サブクエでは今まで行ったことのある場所の再探索が多いので、数をこなす上でどこでもワープは非常に助かるものではありました。
ただ個人的には、そもそも探索型の2Dアクションにサブクエとかいらんと思うのですよね。

サブクエって水増し的な要素を物語のフレーバーで包んで世界観の掘り下げを行うのが基本の運用だと思うのですが、それはRPGのような世界観を味わう読み物としての側面が強いジャンルだからそういうものを内包できる余裕があるのであって、探索アクション、いわゆるメトロイドヴァニアは基本構造がもっとシステマチックなので、上手くやらないと蛇足に見えてしまいます。

未踏のエリアを探索してマップを埋めるのが醍醐味なのに、既に行ったことのある場所に行かされても、なかなか気持ちは上向きません。

マップの再探索をさせるにしても、プレイヤーが自主的にやりたくなる動機付けが重要なのであって、本作のように事務的にリストアップされたクエストをこなしていても、どうにも「やらされている感」が否めません。

また、同時に一個しかクエストを受注できないのも作業感を増加させている要因の一つです。
おかげで「〇〇を△△体倒せ」のようなクエストを並行して進めたりはできません。
今時の仕様としてはちょっと苦しいですね。

一応フォローも挟んでおくと、クエストの内容的にはただ作業的なものばかりというわけではなく、半数ほどはストーリーがあって世界観の掘り下げの役割を果たしていたり、新規のボス敵が出てきたりと凝った作りのものもあります。
ただ逆に言うと残りの半数ほどは作業的なので、全体の印象としてはやはり「探索アクションとサブクエは相性悪いでしょ」の考えを覆すには至らなかった、というのが結論です。

 

ついでなのでもう一つ、マップ機能について不満点を挙げておきます。

真のエンディングを見るのにはサブクエの全達成を含めて特定アイテムをコンプしないといけません。
このアイテムの取得状況に関してはマップ画面でエリアごとに残りの数がわかるようになっている……のですが、自分はちょっと察しが悪くて全然気づかず、勝手に「今時ノーヒントとかアホか!」とか言いながら攻略情報を調べてやっちゃっていました。

これに関しては「悪魔城系統だからマップ表示は不親切で貧弱だろう」と決めつけていた自分にも非はあるのですが、あえて難癖をつけておこうと思います。正直わかりにくかったです……

 

テーマを感じるストーリー。ただしっとりしすぎかも

Ladybugの完全オリジナルで綴られる本作のストーリーはなかなか一貫したテーマを感じられるものでした。

妖魔の中には、ルクスを始めとして理性を残し意思疎通が可能な個体も存在します。
しかしながら、主人公のシンが属する協会は妖魔は区別なく問答無用で殺処分すべしと考えており、これに反目して妖魔を保護しようとする組織もまた半ばテロ的な過激な活動を行なっていたりします。

シンはそうした2つの組織の主義主張を受け止めながらも、他者の言葉に流されることなく自らの信念に従って行動を選択していきます。
その姿は見ていて「守るべき秩序とは何か?」「人はなぜルールに従って生きるのか?」といったことを考えさせられます。

 

中盤はハラハラドキドキする先の読めない展開もありますし、シンとルクスの関係性が気になったり、謎で引っ張る展開も一応あったりで読み進めるのはわりと面白いストーリーでした。

 

ただ、全体的にトーンがしっとりしすぎていて、アクションゲームのシナリオとしてはやや盛り上がりに欠けました。

しっとりした雰囲気のストーリーは『ロードス島』などこれまでの作品でもあり、Ladybugの持ち味ではありますが、今までは演出で要所での盛り上がりをカバーできていたのに対し、今回はそこが弱く、イマイチ物足りない感触でした。

 

総評

単体のゲームとしては、悪くはありません。全く。
探索アクションが苦手な人や初心者向けのゲームとしてなら、良作と言っていいでしょう。
本作ならではの魅力だって十分にあります。

ただ個人的には、『ルナナイツ』や『ロードス島』の方がしっかりとした駆け引きがあり、優しいところと厳しいところのバランスが良かったように思います。
とにかく惜しい。どの要素もあと一歩もの足りない。

もしかしたら過大な期待をかけているのかもしれませんが、それでもTeam Ladybugならまだやれる、こんなもんじゃないはずだという気持ちが強くあります。
次回作があれば、おおらかさと駆け引きの要素の両立を、より高い次元で実現してほしい。そのように思います。