2Dアクション好きのゲーム日記

ゲームについて書く。2Dアクション多め。

『Panzer Paladin』レビュー:良くも悪くも古典的。拾っては壊す武器のリソース管理が特徴

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ごった煮レトロアクション!

 

 

ゲーム概要

メーカー:Tribute Games

プラットフォーム:Nintendo Switch / Steam

プレイ人数:1人

初リリース日:2020/07/22

価格:2,050円(税込)[Switch] / 2,188円(税込)[Steam]

公式サイト:http://panzerpaladin.com/

鋼鉄の騎士のようなパワードスーツを纏い、様々な武器を振るって悪魔と戦うレトロ2Dアクションゲーム。

PVを見た瞬間、絶対好みのタイトルだと確信して購入を決めたタイトル。

実際遊んでみると粗も結構あって期待してたほどではなかったものの、良い位に歯応えのある難易度で、それなりには満足できました。

また、往年のアクションゲームをリスペクトしたとみられる要素もふんだんに盛り込まれており、わかる人はこのレビューを読むだけでも結構見つけられるのではないかと。

 

筆者が見て大興奮したPV ↓ 


パワードスーツ「パラディン」をまとい、世界各国の悪魔を滅ぼせ!

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宇宙より謎の武器が降り注ぎ、その武器をポータルとして悪魔たちが出現。

世界各国の都市は悪魔の侵略を受けていた。

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この危機に立ち上がったのが救助用アンドロイド「フレイム」

パワードスーツパラディンを身にまとい、地球を守るための戦いが始まる!

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ロボットのようでいて実はパワードスーツで、装着者は人間ではなくアンドロイドというややこしさ……!

ちなみにこのパラディン、ただの乗り物ではなく意思を持っており、「グリット」という名前もついています。

といっても台詞は少なく存在感は控えめですが…

ストーリーはシンプルなものの、凝ったドット絵アニメのOPムービーは一見の価値ありです。

 

チュートリアルを兼ねたOPステージをクリアすると、世界各国からステージを選んで出撃します。

この出撃演出のカッコよさよ…

 

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ステージの背景やボス悪魔のデザインも各国の雰囲気が出ており、国際色豊か。

 

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全ての国をクリアしたら、敵の本拠地に突撃。

前半11ステージ+本拠地6ステージの全17ステージです。

 

多彩な武器を拾っては壊し進んでいく

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メインの攻撃は、手にした武器による上下左右へのシンプルな突き。

これに盾での防御や、バックステップによる回避が加わります。

敵の攻撃に高さを合わせてカウンターをとる、バクステで間合いをとるなど、攻守の駆け引きを楽しめます。

 

また、空中上突きは上昇効果があって2段ジャンプのように使うことができたり、空中下突きは敵の頭上でホッピングが可能だったりと、移動効果もあります。

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パラディンの移動速度はやや鈍重なところがあり、ジャンプの飛距離もいまいちなので、穴や敵を飛び越えるには空中上突き、下突きを意識して使うと役に立ちます。

ただまぁ、横移動しながらの上突きは若干出しにくいので、普通に2段ジャンプさせてくれ! と思わなくもありませんが…

 

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武器は耐久値が設定されている消耗品。

倒した敵が落としたり、ステージ中に配置されているのを拾っては壊し、拾っては壊すサイクルで進行していきます。

ちなみに素手でも戦えるので、武器がなくなったからといって詰むことはありません。

 

武器は攻撃力や耐久力、リーチがちょっと違うくらいで、アクションに差異はありません。

そんな中武器に個性として与えられているのが、武器を自ら破壊することで発動する特殊効果スペル

効果は能力の強化やHP回復など補助的な効果が多め。

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また、第3の使い道として投擲も可能。こちらも命中すると一撃で壊れてしまいます。

リーチが長く扱いやすい武器をメインに回しつつ、耐久値の低い武器はスペル、短剣は投げ、回復スペルは温存して…といった具合に、どのタイミングでどう武器を消費するかのリソース管理が面白いところ。

終盤になってくると武器が余るほど手に入るのでリソース管理の面白さは崩壊しますが、これはこれでインフレ感があって楽しかったり。

 

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パラディンから降りてパイロット単独で戦うことも可能。

武器はムチ固定

威力は低いがリーチが長く、フックにひっかけてのロープアクションも可能。

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HPが低くスリリングですが、ロープアクションが必要な場面や、狭い通路ではパイロット単独で進むことになります。

また、パラディンのHPが尽きた場合もこのモードに移行します。

 

プレイヤー間で共有される武器エディット

ちなみに本作、武器エディット機能もあり。

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各プレイヤーがエディットした武器はオンライン上で共有され、ステージ中間地点で獲得可能。

どこかの誰かが作ったネタ武器が登場することもよくあります。

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ロシアの大地にロボットが「お~い お茶」を手に立つカオス感

どの武器が出るかはランダムなので、必ずしも自分の武器が使えるとは限りませんが、作るのが好きな人はドットを打つ手が止まらなくなるかも。

 

良くも悪くも古典的な構成

難易度はイージー・ノーマル・ハードの3種。

自分が主にプレイしたのはノーマルとハードでしたが、初期残機数以外の違いは見つかりませんでした。

 

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難易度はやや高め。

意地の悪い敵配置や、シビアなジャンプアクションを求められる場面も少なくありません。

豊富な体力やスペルを活かしてゴリ押しもできなくはありませんが、武器の投擲で遠方の敵を先に潰したり、攻撃が激しい難所を盾やバクステを上手く使って切り抜けるないど、工夫を凝らして攻略するのが楽しいところ。

とはいえ、前述の通り武器によるアクションの違いが無いのに加え、ザコ敵の種類もさほど多くなく、配置もわりと似たり寄ったりなので、少々単調さを感じる部分もあります……

 

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一方、パイロット単独で進む場面は意地悪な配置に正面から向き合う必要があるので、結構神経を使います。

ロープアクション中に攻撃を喰らって落下したりするとイラっとくることも。

ちょっとした隠し通路を探索している時などは良いアクセントに感じるのですが、もう少し出番を絞ってもよかった気がします。

特に、スウェーデンステージはパイロット単独のエリアが長くてキツかった…

 

ステージは長く、チェックポイントはステージ中間とボス前の2つのみ。

ミスすると容赦なく戻され、残機が尽きてゲームオーバーになればステージの最初からやりなおし。

死んで覚えて戻されて、再挑戦に活かしていく…という昔ながらの手法。

もちろんそれはそれで段々上達を実感できる魅力があるのですが、個人的にはパラディンの移動速度の遅さや難易度の高さもあって「戻される」感覚が強かったので、もう一つくらいチェックポイントが多くてもよかったかなと。

パラディンが破壊されてパイロット単独の状態ではチェックポイントを起動できないのも気になったところ。

これのせいで道中でパラディンが破壊されると巻き返しが難しいんですよね。

一応、パラディンの回復装置が置かれていることもありますが、一回しか使えませんし…

また、一度エリアを跨ぐと前のエリアに戻れない仕様上、パラディン召喚ポータルを見逃すと悲惨なことになったりも。

 

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ステージ構成に比べてボス戦は技パターンが複数用意されており、ボスごとの個性もあって結構しっかりしたつくり。

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強敵相手でも、スペルを上手く使えば楽に倒せる抜け道もあります。

全体的に古典的な構成が多く、意地の悪さやつくりの粗さを感じることもありますが、トータルでは適度に苦戦する難しさにまとまっているようにも感じられます。

クリア後には武器を引継ぎできる代わりにステージ構成がより難しくなったリミックスモードも解禁されるので、もっと刺激を求める人はそちらに挑んでみるとよいでしょう。

 

説明不足・わかりにくい部分も

アクション部分は概ね悪くはない出来なんですが、システム・UI面で見過ごせない欠点もいくつかあり…

 

まず気になったのは、武器を消費してスペルを発動するシステムの説明がないこと。

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正確には、武器を破壊するチュートリアルはあるのですが、「武器を破壊する」としか説明がないので、それとスペル発動を結びつけるのに時間がかかりました。

もっとわからないのがスペルの効果。

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大体は一回使えばわかるのですが、「アブゾルブ」だけはどういう効果なのか最後までわかりませんでした。

誰か知ってる人いたら教えてください…

 

また、武器を集めていくと「魂への負荷」という数値が増えて危険を警告されるのですが、これも何がどうヤバいのか一切説明なし

なんとなくわかるのは、ステージ中間でエディット武器を手に入れる際に中ボスのホースマンと戦わされるようになるくらい。

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ホースマン、ライバル的ポジションなのはわかるけどそんな何度も戦わされても…

あと、もしかしたら被ダメージ量が増えてるかも?

 

画面が見づらいな、と思ったこともしばしば。

ドットの描き込みは密度が高く見応えがあるものの、ゴチャゴチャしているようにも感じられます。

背景と地形オブジェクトを同じ色づかい描かれて混在しているため、地形がよくわからない、なんてことも。

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ここの右下のバスが足場に見えてしまう…

画面の縦幅ももう少し欲しかった。

 

もうひとつ個人的に気になったのは、ロボ成分が薄めなこと。

背景はなんとなく近未来的ですが、敵は悪魔で武器も剣とか槍とかなので、パラディンのグリット以外にロボを感じさせてくれるものがほとんどありません。

肝心のパラディンも、ブーストやホバーのようなロボ的なアクションを見せてくれるわけでもなく…

ロボを期待して買うと少々物足りなく感じてしまいます。

 

総評

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良くも悪くも古典的な作風ではあるもの、難所を切り崩し進む工程には、古典的なアクションゲームらしい魅力がそれなりに備わっています。

個人的には、難易度もほどよく苦戦してちょうど良いくらい。武器のリソース管理もなかなか楽しめました。

システム面で説明不足な点もあり、同価格帯の名作インディーアクション群と比べるとどうしてもやや見劣りするものの、レトロな2Dアクションに飢えている人にならまずまず悪くはないのではないかと。

ただ、ロボ成分を求めている人には物足りないと思われますので、その点には要注意です。