たまには2Dアクション以外のレビューも書いてみよう、ということでお気に入りのシューティングを一つ紹介。同スタジオが開発中の『天穂のサクナヒメ』も楽しみ。
- ゲーム概要
- 「ルーキス」の姉妹が織り成す、異星文明との戦いの物語
- カッコいいアクションとドラマチックな演出が、戦いを熱く盛り上がる
- 初心者に優しいカジュアルな設計
- 良くも悪くも大味なレベルデザイン
- 総評
ゲーム概要
メーカー:PLAYISM
プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Steam
プレイ人数:1人
初リリース日:2014/5/30
価格:2000円(税込)
本作を開発したのは同人ゲームサークル『えーでるわいす』
シューティングゲームというと難しい印象があり、本作でも物凄い量の弾幕が飛び交ったりしているので、ぱっと見の印象だとちょっと怯んでしまうかもしれません。
しかし見かけによらず、かなり初心者に優しい設計。
色々なロボットアニメの影響を受けていそうなストーリーも熱く、演出も豪華なのでカジュアルに楽しむことができます。
ちなみに自分がプレイしたのはSwitch版。
「ルーキス」の姉妹が織り成す、異星文明との戦いの物語
人類が宇宙に進出し始めた時代。
火星を植民地として発展を続けていた人類は、突如出現した異星文明「ファイルーン」による襲撃を受ける。
ファイルーンの絶大な力の前に火星は瞬く間に奪われ、奪還の為に送り出した地球連合軍も壊滅。
ついに侵略の魔の手は地球に及び始め、人類は絶望の淵に立たされていた。
そんな折、ファイルーンのものと思しき謎の機体が地球軍の前に現れる。
機体の主は、ファイルーンによって現実改竄装置「ルーキス」に改造を受けた人間の少女「フィオ」。
フィオはファイルーンを撃退するため、そして火星に取り残された双子の姉「エスト」を救うため、地球軍に協力を申し出る。
こうして、地球と異星の技術が融合した宿命の機体「クロスブリード」が誕生する。
主人公「ロイ・ベケット」は、フィオと共にクロスブリードを駆り、地球の存亡、そしてルーキスの姉妹の命運を賭けた戦いに臨む。
カッコいいアクションとドラマチックな演出が、戦いを熱く盛り上がる
ゲームジャンルはシューティング(以下STG)。
一口にSTGと言っても、縦だったり横だったり画面奥だったり色々あるわけですが、本作はどれに分類されるかというと……「全部」!
場面に合わせて縦STGになったり横STGになったり、カメラアングルがシームレスに変化してダイナミックに戦いを演出します。
進行方向が変わっても操作法は変わらないので、そこはご安心を。
カメラがぐりぐり動いて目まぐるしくシチュエーションが変わっていく様は、3DグラフィックのSTGならではの魅力。
高速で戦場を駆け抜ける疾走感あふれる演出も見事で、画面から得られる迫力はなかなかのものです。
また、BGMもステージ展開にマッチした良曲揃い。本作は演出面にとにかく力が入っており、リッチなゲーム体験を得られます。
ストーリーにも結構重点が置かれています。
ストーリーはSTGパートと同時進行のフルボイスで展開され、戦いをドラマチックに盛り上げます。
キャラの会話のノリはカジュアルでやや軽めの場面もありますが、設定はシリアスで重く、その中で貫かれる王道展開・演出がひたすらに熱い。
過酷な運命のいたずらで道を分かたれた双子の姉妹を描いた物語は見応え抜群で、クリア時には短めの劇場アニメを見たような満足感を得られます。
ただし、聞き慣れない固有名詞が頻出するせいで、初見時はやや困惑してしまうのが玉に瑕。
本筋の物語はそう複雑でもないのですが、知らない単語が説明なしで出てくると、それだけで少し置いてかれた気分になりますからね。
幸いにも設定資料は充実しているので、一度クリアした後はこちらをじっくり読みこんでから本編を再プレイすると良いかもしれません。
そんな本作ですが、最大の売りはやはりなんといっても、主役機であるクロスブリードのアクションのカッコよさでしょう。
クロスブリードの攻撃方法は、前方へのショットのみならず、ブレードによる近接攻撃、高速ダッシュ斬り、マルチロックオンショットなど、ロボットアニメなどで見るカッコいいアクションが詰め込まれています。
これはもう動画で見てもらった方が早いでしょう。
#アスタブリード #PLAYISM #NintendoSwitch pic.twitter.com/KrUa6oANuu
— 紅茶 (@tea_creates) 2020年5月24日
編隊を組んでわらわらと湧いてくる敵をババ―ッと一気にロックオンして殲滅したり、
ブレードをブンブン振り回してるだけでも楽しいのなんの。
特にシビれるのが必殺技である「疾走」と「乱舞」。
ロックオンした標的を超高速移動で一瞬のうちに斬り捨てるのが非常に快感で、もうたまりません。
ハイスピードに目まぐるしく変わるバトルのシチュエーションと、
それに合わせてリアルタイムに展開される熱いストーリー、
そしてとにかくカッコいいクロスブリードのロボットアクション。
これらが組み合わさることで、本作は非常に熱く爽快なSTGに仕上がっています。
自分がやってきた中では、『罪と罰 宇宙の後継者』や『新・光神話パルテナの鏡』なんかが近い印象。
これらのタイトルが好きな人は本作も刺さる可能性大ではないかと。
初心者に優しいカジュアルな設計
STGだと「苛烈な弾幕に一発当たると即アウト! 難しい!」というタイトルも少なくない中、本作はかなり初心者に優しい設計。
体力が豊富な上、被弾してもしばらくすると回復するので、ちょっとやそっとじゃヤラレません。なのでわりとゴリ押しも有効。
また、ミスをしてもチェックポイントから無限にリトライ可能。復帰も早くて快適。
アクションは多彩ですが、チュートリアルが完備されていますし、いきなり全部を覚えなくてもステージを進めていく中で段々と習得できる設計になっています。
中でも大事な仕様が「敵弾の多くはブレードでかき消すことができる」ということ。
これが気持ちいいし、体力制と合わせてSTGとして間口を広げる要素として上手く機能しているんですよね。
弾幕はぶった斬るもの! ちまちま隙間を縫って避ける必要は……そんなには、ない!
というのも、赤い敵弾だけは必殺技でしか打ち消すことができず、ブレードも無力なので注意が必要です。
最初の方は適当にブレードを振っておけばなんとかなるくらい簡単ですが、段々とこの赤い敵弾が画面を占める割合が増えていき、最終的には非常に激しい弾幕に対し回避パターンを構築することが必要になってきます。
とはいえ難しすぎるということもなく、あくまでそこそこ苦戦するくらいのちょうどいい塩梅ですね。
親切なシステムによって遊びやすくし間口を広げつつ、絶妙なラインで上昇する難易度調整で相応の歯応えも求めていくという、この設計が見事。
難易度選択はイージー、ノーマル、ハードと3種類。
ハードを選べばかなり苛烈な弾幕が飛んできますし、実績解除を狙うとさらにノーミス・低ダメージでの攻略も求められるため、やり込みたい人にも対応しています。
良くも悪くも大味なレベルデザイン
そんなこんなで初心者にも優しいカジュアルな設計の本作。
しかし悪く言えば「大味」だと感じる部分もあります。
というのも、派手なエフェクトと物量の凄まじさで画面がしっちゃかめっちゃかになってしまい、何がなんだかよくわからないことが多々あります。5面ボスの最終形態なんかが特に顕著。
よくわからなくてもブレードを振り回していればある程度弾幕は防げるし、体力もあるのでゴリ押しでクリアもできるものの、なんだかなと腑に落ちない気持ちにならなくもありません。
また、操作しやすい「アレンジモード」に比べ、「オリジナルモード」は操作のクセが強く、かなり遊びづらいように感じました。
実績解除には両モードでの攻略が必要になってきますが、アレンジモードが非常に動かしやすいだけに、正直オリジナルモードは遊んでいて苦痛でしたね……
エンディングも各モードで異なっているのですが、オリジナルモードの方のノリはちょっと…
とはいえ、逆に言うと文句はこれくらいのものしかありません。
全体的には、完成度の高い作品だと思います。
総評
王道で熱いSFストーリー!
シビれるロボットアクション! マルチロックオン! 高速斬撃!
本作は、「こういうのがカッコいいんだよ!!」という開発者の叫びが聞こえてくるかのような、ストレートで熱いSTGに仕上がっています。
アクションが気持ちいいだけでなくシナリオの後味も爽やかで、遊んでいてこんなに爽快なゲームもそうはないでしょう。
初心者にも優しい設計で誰でもストーリーを楽しめるとっつき易さもあり、非常にオススメしやすい作品です。
全6ステージ、ノーミスで進めば1時間程度で終わるボリュームですが、演出のリッチさのおかげでクリア後の満足感は大きく、何度も遊び直したくなる魅力があります。
PV等を見て何か惹かれるものを感じたなら、本作は必ずその期待に応えてくれるはず。
ぜひ自分の手で体験してみてください。