
はじめに
本作は、高難度の探索型2Dアクションゲーム『Hollow Knight』の続編にあたる作品。シリーズとしては2作目。
前作は、洗練されたアクション性や、歯応え抜群の難易度設計、凄まじいまでのゲームボリューム、豊富なやりこみ要素、ムシたちの王国の滅亡を描いたダークファンタジーの世界観、デフォルメの効いた美麗な2Dアニメーションのアートスタイルなどが好評を博し、大ヒットを記録しました。
そんな前作から待つこと8年。ファン待望の新作がついにやって来たというわけです。
私個人としても前作の初プレイから6年待ちました。長かった……
さて、そんな久々の新作であるわけですが、驚いたことに、ただでさえ尖ってた前作から、さらに尖りを増して帰ってきております。
もし、前作を未プレイであれば、前作を先に遊ぶことをおすすめします。
今作において、アクション面で前作から進化した部分はあっても、システム面で遊びやすくなったとか快適になったということはほぼありません。
快適性そのままでよりハードな内容になっているので、あまりこっちを先に薦める理由がないのですよね。
元々DLCとして制作されていたという経緯もあり、本作を楽しめるプレイヤーの資質として前作を真エンドでクリアできるくらいのアクション適正はある種前提として求められます。
というわけで"今作と比べたら"まだ比較的マイルドな前作からがよいのではないかと。
参考程度に、前作のレビューはこちら↓
『Hollow Knight』簡易レビュー:暗闇、王国、徘徊、会敵、挑戦、敗北、死。死……そして勝利 - 2Dアクション好きのゲーム日記
前作のレビューは色々省略した簡易レビューとしてまとめており、短所には積極的に触れなかったりもしたのですが、今作の続編としての作りには個人的にちょっと思うところがあり、今回はもう少し踏み込んで書いていきます。
なお、参考まで自身のプレイングについて述べておくと、前作は本編クリアして「神の家」の第五神殿までクリアしており、本作は一旦1周プレイして真エンドまで見た状態でのレビューとなります。
また、今回遊んだのはNintendo Switch 2 Editionです。
そう、しばらく更新が滞っていてブログ上では言ってなかったんですが、ちょうど本作が発売した9月初頭頃になんとかSwitch2を入手することができました。
まぁこの話はまた後日、雑記にでもまとめておきます。
ゲーム概要
メーカー: Team Cherry
プラットフォーム:Nintendo Switch / Nintendo Switch 2 / PS4 / PS5 / Xbox One / Xbox Series X|S / PC
発売日:2025年9月4日
価格:2,300円(税込)[Switch 2版]
ストーリー

物語の舞台は、前作と同様ムシをキャラクター化した世界観。
主人公は前作のキーパーソンでありボスキャラクターの一人であった"ホーネット"。
謎のムシたちの集団によって力を封じられ、拘束されたホーネットは、見知らぬ土地へ連れ去られてしまいます。

なんとか力を振り絞って拘束を抜け出したホーネット。
彼女が訪れることになったその土地は、多くの巡礼者が訪れる試練の地、"ファールーム"という国でした。
ホーネットは自分を呼び寄せた者の真意を問いただすため、ファールームの頂にあるという都"シタデル"を目指し、長い登攀の旅路に踏み出します。
前作を踏襲した高難度の探索型2Dアクション

基本システムは概ね前作を踏襲。
迷路のように入り組んだマップを探索し、強敵を打倒して新たな能力を会得して、その能力を使って探索範囲を広げていく。
それを繰り返して、ファールームの頂を目指し進んでいくという流れです。
ボスは手強く、道中も厳しめ。
高難度の探索型2Dアクションとなっています。
さらに洗練された至高のハイスピードアクション
まず先に、本作が続編として前作からどのような進化を遂げたのか、簡潔に述べましょう。
それは、短所はほとんどそのままに、長所だけゴリゴリに伸ばしてきた。という感じです。
まず伸びた長所の方の話をしましょうか。
本作の長所、それはずばり「アクション」であり、難易度設計です。

基本的な操作形態は前作を踏襲していますが、実際のプレイ感覚は激変しています。
前作をシンプルでパワフルなアクションとするならば、本作は機動力が高くテクニカルなアクションといったところでしょうか。
前作も終盤になるとなかなかのスピード感でしたが、本作はさらにスピードアップ。
その分操作性も向上しており、アクションの繋ぎが綺麗で、より細やかでスムーズに動くようになっています。
ダッシュボタン押しっぱなしで継続して走り続けるようになったあたりなどは、アクションの趣の変化として特に代表的なところ。
前作で特徴的だった空中下攻撃によるホッピングも続投しているほか、ゲームが進むにつれて空中アクションが豊富になっていくのも特徴的です。
— 紅茶1号 (@tea_creates) December 11, 2025
スタイリッシュに宙を舞い、一気に距離を詰めて蜂のように刺す!
優れた操作性と高い機動力によって実現されるホーネットのアクションは美しく軽快で、とにかく動かしていて気持ちの良いものに仕上がっています。
このプレイアブルキャラクターとしてのアクション性の洗練ぶりで、本作のホーネットに並び立てるものはそう多くはないでしょう。
思わずそう言い切りたくなるほど、細やかな操作の作り込みを感じます。
スキルの入手順に関して、ホバーの後に2段ジャンプが手に入るため、空中でジャンプボタンを押したときの挙動が「ジャンプ ⇒ ホバー」から「ジャンプ ⇒ 2段ジャンプ ⇒ ホバー」とゲームの途中から変わってしまうのは明確に良くない点ではありますが……

一方、こちらの機動力が上がった分、ボスもより素早い敵などが登場しており、前作以上に手強くなっています。
こちらが新しい能力を得て強くなるのに合わせて敵もどんどん強くなっていき、特に終盤のボスなどは前作におけるクリア後のやり込み要素相当の凄まじき強敵が立ち塞がったりするほど。
二体同時に現れて巧みなコンビネーションを見せるボスや、複数のザコ敵が入り乱れる乱戦部屋なども増え、視野を広く持った立ち回りも求められます。
序盤から十分な難しさを見せつつ、慣れてきたと思いきや絶え間なく更なる強敵が立ち塞がるという、ゲーム進行に合わせた難易度曲線の描き方はやはり見事なもの。前作プレイ済みのユーザーにも更なる試練を叩きつけてくれます。
— 紅茶1号 (@tea_creates) December 11, 2025
また、探索マップ中でもアスレチック要素が増え、道中の難易度もアップしています。
前作にも「白い宮殿」というアスレチック専用エリアはありましたが、今作では序盤からホッピング操作が求められ、その後も様々な空中アクションを活用したアスレチックがゲーム全体に散りばめられています。
前作でアスレチック苦手だった人は要注意かも。流石に「苦痛の道」レベルのキツイやつはないけれども。

また今回、"クレスト"という装備アイテムを変更することによって、基本アクションにも変化が生まれるという新システムも追加されています。
攻撃力やリーチ、空中攻撃時の挙動や回復の仕様のほか、装備できるアイテムのスロットも変わることで、プレイスタイルの幅を広げる要素となっています。
ただ、個人的にはさほど使い分けとかはせず、ほぼ初期装備だけ使っていたので正直あまり意義を感じない死にシステムにはなっていましたが……
ミスしたときのリスクの大きいゲームでは、基本操作が変わるレベルの挑戦的な試行錯誤にはなかなか手を出しにくく、システム的に相性が悪いのではないかと他のゲームやってても思うことあるのですが、どうですかね? そのへん。
結局使い慣れたスタイルが一番安定感出せるので、ミスを嫌っていくとそもそも他のものに手を出す動機付けが薄いというか…… まぁ、ここは個人的な所感です。調べてみると全然違うクレスト使ってる人もたくさんいるようですし。自分も周回することがあれば色々試してみてもいいかとは思っています。

なお、前作と比べてデスペナルティは緩和されています。
前作ではミスした地点にその時の所持金と共に自分の影が敵となって残り、倒さないとお金が帰って来ず、途中で自分が死んだら落としたお金も完全ロストという鬼みたいなシステムでした。
今作でもお金はその場に残るものの、戦う必要は無く、ミスした所まで戻って繭を壊せばそれでOKになっています。
ついでにシルクも回復するようになっていて、むしろお得に。
※シルク……特殊行動に必要なMP的なゲージ
細かい所に気になるポイントもありはするものの、アクションゲームとしては間違いなく一級品の仕上がり。
元々クオリティの高かった前作から更に洗練され、操作はより軽快に、アクションはより多彩でテクニカルになり、そしてより過酷な試練が壁となって立ちはだかります。
全てがよりハイレベルに磨き上げられており、前作をやり込んだプレイヤーにとっても遊び応えは抜群。実に挑みがいのある内容になっています。
素材の味を活かした尖りの一品

さて、次は短所についての話をしましょう。
短所、端的に言えばそれは「探索」の要素です。
マップ周りは前作同様の仕様で、目立った変更点はありません。
つまり、
- 初めて入ったエリアではマップ無しで探索しなければならず、地図を売ってくれるキャラを見つけて購入できなければ、そのエリアのマップは全く見ることができない
- ペンも買っておかなければ、歩いたところがマップに新しく記録されることもない
- マップ上のアイコン表示等もピンを色々買い集めたり、自分でマーカーを置く必要がある
- 常に装備枠を一つ使ってコンパスを装備していなければ、マップ上に自分の位置も表示されることすらない
……等々の、あえて不便さを追求したかのような仕様の数々は、本作でも健在です。

そして、ストーリー進行におけるヒントの無さ、誘導の希薄さもまた健在。
本作も前作同様に複数種のエンディングがあり、通常エンドまではわりと素直に進んでいけば辿り着けます。
ただし本作のそれはかなり消化不良な終わり方なので、多くのプレイヤーは隠された真エンドを目指すことになります。
しかし、真エンドに到達するための道のりはおおよそヒントらしきものは無く、どうしたらいいかわからないまま多くの時間を明確な目的の無い探索のために費やすことになります。
なんならクリアしたプレイヤーでさえ条件がわからなくて、「あのとき何がトリガーで話進んだんだ……?」ってなる程度にはわかりにくい……というより、その後の展開ありきの条件設定でストーリー的な整合性に欠け、条件を満たさなければ条件が何なのかわからないようなものになっています。

何をしたらいいかわからないのでとにかく探索をするしかなく、結果的にかなり網羅的な探索をすることになるのですが、進行に必須のルートがやたら念入りに隠されているので、ファールーム中の壁という壁、天井という天井、床という床をくまなく叩いて回ることになります。
怪しい壁を攻撃すると崩れて道ができる、という仕掛けはこの手のゲームでは定番ですが、それにしたって一体どれだけ壁を叩いたか計り知れません。
この辺の全体的な不便さ、不親切さというのは前作でも似たようなものではありました。
私自身のケースであれば、記憶が正しければ前作はそもそもクリア時点で真エンドの存在に気付いてすらおらず、終わったと思って色々調べてて初めて知った、というくらいではありました。
続編なので多少は改善が入っているかもしれない……という淡い期待もあり、今回は自力の探索を頑張ってみたわけではありますが、結果はこの通り。
ただ、ここで考えたいのは、これらの要素は本当に「短所」なのか? 単に「時代遅れ」で済ませるべきものなのか? ということ。
というのも、開発元のTeam Cherryは前作の爆発的ヒットにより資金繰りには困っておらず、また本作の開発も順調だった*1とのことで、もしこれらを前作の時点で「短所」として捉えていたならば直すだけの余裕は十分にあったはずなのです。
であれば、これらはあえて残された、本シリーズに必要な要素であると考えるべきでしょう。

Team Cherryはこれらの要素も含めて、本作においてどんな面白さを追求したのか。
自分なりに考えた結果、こういう言葉で表現してみることにしました。
本作は「真のアクションゲーム」であり、「真の探索ゲーム」であると。
レベルを上げたり難易度を下げれば誰でもクリアできるような、甘ったれた考えをTeam Cherryは許さない。
本当の戦いとは苛烈で、慈悲もなく、己の実力だけで全てが決するものである。
マップに便利な機能をたくさん付けて、ゲームの方から丁寧に誘導しようなどといった、たるんだレベルデザインをTeam Cherryは許さない。
本当の冒険とは孤独で、何の助けもなく、直感のみを頼りに進むものである。
ここのところ当ブログでレビューした探索アクションを振り返っても、『幻日のヨハネ - BLZAE in the DEEPBLUE』や『BLADE CHIMERA』、『ENDER MAGNOLIA』など、最近の作品の探索要素は親切で快適なシステムのものが多いです。
上手くできていて、綺麗で、心地の良い探索。
そうした昨今のトレンドに、本作は真っ向から「ノン」を突きつけます。
マップを睨みつけ、見落としがないか、進展の芽がどこかにないかを本気で考える。
壁と言う壁を叩き、ほんの些細な模様の違いまで探して探して探し抜く。
不便で不親切だからこそ、プレイヤーは本気で探索と向き合うことになる。
トレンドに迎合しようと思えばできたであろうものを、Team Cherryは「これがいいんだ」と貫き通しました。
古典的で、根源的な、本物の"探索"の面白さを目指し、そしてそれは実際、本作の中に確かにあったのではないかと思います。
そうは言っても何事も適量ってものがありますよ
とまぁ、良い風な言い方をしてはみましたが……とはいえですよ。
正直なところ、ゲーム後半は楽しさよりもストレスが勝ちました。
というのも本作、探索型2Dアクションとしてはあまりにも尋常ならざる大ボリュームであるというのが良くもあり、つらくもあり。
参考までに書いておくと、通常エンドまでで20時間、真エンドまでで50時間を費やすことになりました。
真エンド目指してからが……長すぎる!!
この巨大すぎるゲームボリュームが生んだ悲劇の側面として、「探索をどれだけ進めても真エンドに近付いたという手応えが無い」というものがありました。

必死こいて壁を叩いて回り、やっとこさ新しいエリアを見つけて喜んだのも束の間、本筋と関係なさそうなアイテムやスキルを入手したのみで終わり、落胆してまた壁叩きを再開する……という流れを何度繰り返したことか。
結果から言えばそれも別に無駄ではなかったし、これから遊ぶ人がいたら「その探索無駄じゃないよ!」というのは伝えておきたいのですが、それはあくまで結果論。
手探りで遊んでいる時はそんな実感も得られず、とにかく疲労が積み重なっていきました。
「探索で何かを発見し、手に入れたもので新しい道が開け、物語が進む」というのが探索型ゲームにおける基本構造ですが、本作は過大なゲームボリュームによってこの体験が薄く引き伸ばされ、探索による達成感を得るゲームサイクルが上手く機能していません。
これは進め方の自由度を重んじた結果「どこへ行っても直接的に話を進めるような報酬が与えられない」という構造になっていることも原因であり、ボリュームが多すぎるのも自由度が高すぎるのも考え物です。

一応前作に比べたらまだ、主人公が状況をまとめてくれたり、NPCが手がかりを言ったりすることもあるので多少やさしくはなっているのですが……それでもなおわかりにくく、ヒントのように思わせて実はミスリードなんてパターンが出てきた時には頭が爆発しそうになりました。
探索にも上手い下手というものがあり、パターンから類推したり上手く勘が働いてスムーズに進められたりするものではあります。
本作も探索上手のプレイヤーならスムーズに進められるのかもしれません。
しかしアクションの実力とは違って、探索の実力というものは上達が実感しにくく、また上達の過程で達成感を得にくいという難点があるように思われます。
例えば高難度のボスと戦っている時、何度も死にながらも段々敵に与えたダメージ量が増えていくことで挑戦の過程でも上達を実感できるということがあると思いますが、探索においては何かを見つけるという結果を得るまでは地道な時間が続きます。
結果、「高難度の探索」はつらい時間が長く、「割りに合わない」という感触になります。
最後まで攻略情報を調べることはせず、ほぼほぼ自力で真エンドまで辿り着きはしましたが、探索に関しては達成感より「疲れた」という感情の方が大きかったです。
先程本作を「真の探索ゲーム」と評したのは決して嘘ではありませんが、これなら私はニセモノでもいい……探す過程の面白さより、発見という結果の快楽に浸る、甘ったれで生ぬるい探索でいい……というのが正直なところ。
それでも我が道を行く高潔さを見よ
それでもやっぱり、本作がこのようなゲームであることで良かったと思える部分もあります。
それは前述した本気のアクション、本気の探索というやり応えの部分もそうですが、世界観やストーリーの表現といった部分の評価にも繋がっています。
苛烈な難易度や不便なシステムの数々は、弱肉強食のムシの世界を、自らの体と乏しい道具で生き抜いていく過酷さの表現でもあります。

本作ではファールームの上層と下層で2種類のファストトラベル手段が存在しており、層を跨いで移動する際は2つが隣接している地点での乗り継ぎが必要になります。
利便性だけを考えればファストトラベルなんて1種類でよく、これはプレイヤーにとってはもちろん、作る方だって面倒な仕様になっています。
しかしこの移動手段の違いを描くことで都市部と郊外の格差にディテールが足され、ファールームの世界観はより強固になものになっています。
移動の際もアニメーションを細かく描き、不自然なワープ表現を用いないことによって、空間が地続きになっており、自らの身体で世界を渡り歩いている感覚を強めています。もちろん、これはロードの時間を稼ぐ目的もあると思いますが。

地図とコンパスの仕様の不便さも、見知らぬ土地で少しずつ道具を集めながら道を開拓していく、冒険の「模倣」の遊びとしては上手い表現で、他には無い本シリーズの強みと言ってよいと思います。

生理的に嫌悪感を抱くような汚らしいエリアにいる敵が、アクションゲーム的にも気持ち悪くて嫌らしい行動パターンになってたりするのも、そのエリアの印象をより強めるものになっていて、これも前作から個人的に好きなポイントだったりします。
正統派でかっこいいボスはアクションゲーム的にも遊んでてストレートに楽しい真っ向勝負をやってくれるというところも含めて、キャラクター性とゲーム体験が一致していて良いのですよね。
利便性や快適性を切り捨ててでもこだわっただけのことはあり、世界観構築は見事なものです。

また、メインのストーリーは前作から明確に良くなっていた点として挙げられます。
前作は喋らない主人公だったのもあって、クリアしてもどういうストーリーかよくわからなかったという人もわりといるかと思いますが、今作の主人公ホーネットは喋るキャラで、かなり意志もハッキリしていて出会う人ともちゃんと会話をするので話の筋がかなりわかりやすくなっています。
ホーネットのキャラクター性自体も魅力的なのですよね。
高貴な血を継いだ生まれによる気高さと、育ってきた環境による苛烈さが物語の主人公として芯が通っており、見ていてとても気持ちがいいキャラになっています。

ホーネットが旅の道中で出会うムシたちも好感の持てるキャラクターが多く、特に行く先々で出くわす巡礼者の"シェルマ"が旅を通じて変わっていく様や、地図を売ってくれる戦士の"シャクラ"が与えてくれる安心感などは、多くのプレイヤーの印象に強く残っていると思われます。

魅力的な世界とキャラクターを描く一方で、結末がホーネット周辺のやや閉じた描写になっていたのはもう一押し欲しかったところではあるものの、全体を通して非常に作り込まれた物語体験を与えてくれるゲームであることは間違いのないところです。
総評

妥協なくこだわりが詰め込まれ、磨き抜かれた至高の逸品。
それゆえに癖も強く、探索アクションに対する作り手の思想が強く表れています。
正直、生半可な覚悟で手を出すのはおすすめしません。
なにしろめちゃくちゃ難しいし、しかも大ボリュームで全然終わらないので、とにかく疲れるしすんごく大変です。
探索でちょっとでも行き詰まりを感じたら早めに攻略情報を見てしまうのも、本作においては一つの手だと思っています。
自力で頑張ったところで得るものより失うものの方が大きいこともあります。
ボス戦は難しくもアクションゲームとして納得度の高いものになっており楽しいので、壁叩きで体力使うよりしっかりアクションに注力するのもよいのではないかと。
まぁ、なんだかこういう「疲れ」が前に出すぎている結論に至っていることに関しては、本作の評価とは別に自分のゲーマーとしての「老い」を感じるところでもあるのですが……
前作やってから6年も経てば、こうもなります。
このゲームは尖りすぎているし、私はなんだか歳を取った。
どうかここに書いてあることが全てだと思わず、色々他の人のレビューなども見て参考にしてほしいですね。
こんなことはどのゲームにも言えることで、本来わざわざ書くようなことではないのですが、それだけこのゲームは尖っているので。

本作は、まさしく「人を選ぶ」ゲームです。
思想の合わない者は容赦なく切り捨てられるし、波長が合えば無類の楽しさが待っています。
人がゲームを選ぶように、ゲームもまた人を選ぶ。
その道理を受け入れられる者、切り捨てられる覚悟を決めた者は、是非挑戦してみるといいでしょう。
試練の地、ファールームがあなたを待っています。