
The Game Awardsで今年のGOTYを受賞し、話題になった『アストロボット』
前作にあたる PS5同梱ソフト『ASTRO's PLAYROOM』が非常に手触りの良いゲームだったことと、 『アストロボット』自体の良い口コミも目にしていたことから年内にはやっておきたいと思っていました。
で、年末が迫る中駆け込みで遊んでみたわけですが……いやはや、本当にとんでもないゲームでしたね、これは。

前作の 『ASTRO's PLAYROOM』はPS5コントローラーDualSenseの機能をフル活用し、操作フィードバックの快楽をそこら中に敷き詰めまくってプレイヤーを溺れさせるアクションゲームでした。
振動機能、内蔵スピーカー、ジャイロセンサーにタッチパッドなど、「DualSenseならこんなことができる」という技術デモ的な側面もありました。
本作もその路線を継承しつつ、新規ギミックを大量に盛り込みゲームボリュームも大幅にアップした新作となっています。

ということなんですが、本作を実際に遊んで驚いたのは異常なまでのストレスの無さ。
アクション操作の快感にプレイヤーを集中させるためか、本作はストレス要素をことごとく排除しています。
そしてそれは、カメラの見やすさや操作レスポンスが良いのはもちろんのこと、「アクションゲームとして本来必要なストレスさえ失われているのでは?」なんて思ってしまうレベルにまで至っています。
ステージクリア型のアクションゲームなら多少はプレイヤーに負荷を与えて一定の操作精度を示すこと求めてくるものだと思うのですが、本作はそれが全然ありません。
「敵を倒すためには敵に近づかなくてはいけない(=被弾のリスクが上がる)」といった最低限の駆け引きはもちろん存在するものの、アクションの腕前を試されているような場面はかなり少なく、それはつまり「困難を乗り越える達成感」のようなものも殆どないということです。
これが許されるのがアストロボットというゲーム pic.twitter.com/yHESxuwrjI
— 紅茶1号 (@tea_creates) 2024年12月28日
この動画がわかりやすい例ですが、「マリオだったらもう少しミスを咎めてくるだろう」みたいなかなりいい加減な操作をしても、ゲーム側がカバーしてくれちゃうのでストレスを感じる隙がないのですよね。
リトライポイントが非常に短い感覚で設置され、ミスした際のペナルティも全く無いのでやり直しも容易。「ミスが全然怖くないゲーム」なんです。
ここまで親切だとアクションゲームとして逆に成立しなくなりそうに思いますが、本作はそこを「操作の快感を過剰なまでに浴びせ続けることで、それだけでプレイヤーに十分以上の満足感を与える」というとてつもないパワープレイで押し切っています。
私の個人的な語彙感覚で言い換えると、「面白さ」は弱いが、過剰なまでに振り切れた「楽しさ」で全てを塗りつぶすゲーム、という感じです。

いや簡単に言いましたけど、とんでもない話ですよこれは。
遊んでいてずっと「こんなことしていいんだ」と、ストレスがなさすぎて逆に不安ですらありました。
というかこの剛腕すぎる設計が実際にゲームとして成り立っている事実、その調整力がもはやちょっと怖い。
「動かすだけで気持ちいい」というアクションゲームで定番のフレーズがありますが、本作ほどそれが似合うゲームも無いでしょう。
容易に真似できることとは思えません。

まぁとはいえ、中盤のボスはそこそこ強かったのと、コンプ目指してやり込んでいくとしっかりアクションの腕前を試してくるステージも出てきます。
正直安心しましたよ。ようやく普通のアクションゲームらしい負荷をかけてくれたか、と。
本当は年内はクリアまでまっすぐ進めるだけのつもりだったんですが、その範囲だとあまりにストレスフリーだったので、このゲームの底が見えなくて結局全ボットを回収するところまでやり込んでしまいました。
そして、そんな難しい局面においても操作性やカメラ、ゲームテンポなどの「不要なストレス」は一切感じさせないのは本当に見事でした。
『アストロボット』は最後までやり遂げました。

操作の快感に振り切れたゲーム。万人向けすぎて、それが逆に尖ってすら見える。
GOTY受賞時のスピーチで暗に任天堂への感謝を述べたことから*1も察せられるように、本作は同じタイプのゲームとして先達であるマリオの存在をある程度念頭にあったのではないかと思われます。
実際、近年のマリオと本作の方向性は重なって見える部分もあります。
個人的にはマリオに本作のようになってほしいかといえばそれはNoです。
マリオにはもっとプレイヤーに負荷を与え、それを乗り越えさせる要素があっていいと思っています。
『スーパーマリオブラザーズワンダー』でも序盤から寄り道に高難度ステージがあったりしたのがよいアクセントになっていましたし。
ただ、例えば最近でいえば『プリンセスピーチ Showtime!』や『豆狸のバケル』を手掛けたグッドフィールあたりが目指すべき方向性の極地として、本作は位置しているのではないかと思います。
グッドフィールのゲームは確かに楽しくはあるものの、駆け引きの刺激の弱さをカバーしきれていない感じがあり……
本作はそうした、「楽しい」に振り切ったアクションゲームとして現時点における一種の理想形を示したのではないでしょうか。
年末に駆け込みですが、当ブログとしても2024年の推したいゲームの一本になりました。
アストロボット、オススメです!