
概要
メーカー:HIKE, Eallin Japan
プラットフォーム:Nintendo Switch / Steam
発売日:2025年5月29日
価格:2,980円(税込)
亜空間こねる 公式アカウント:https://x.com/dimegir
『想い=重力は次元を超える』をテーマに、クリエイターHyperspaceを中心としてデザイン/映像/音楽/VRなど多様なメディアを超えるコンテンツ形式の物語と体験を創造するブランドです。
GBXDの公式サイトより引用
本作は、クリエイティブ・ブランドGRAVITY BEYOND XD(GBXD)が有するキャラクターの一人、亜空間こねるをゲーム化したタイトル。
ポップでキラキラしたアートスタイルやこねるのキャラクターを押し出したゲーム性に興味を引かれ、ちょうどマリオカートを遊び終えて次のゲームに移ろうかというタイミングだったので発売間もなくから遊んでみました。
タイトル画面からキラキラでワクワクさせてくれるの良い#亜空間こねる pic.twitter.com/6t6PcYlzF3
— 紅茶1号 (@tea_creates) May 29, 2025
キラキラに満ちたタイトル画面はゲームを始める前からワクワクさせてくれるものではありましたが……
プレイしたのはSwitch版。約5時間ほどでエンディングまで見てのレビューになります。
二心一体、こねラテス
プレイヤーの分身となるのは、意思を持つ戦闘用アンドロイドの"ソクラテス"。
稼働に特殊なエネルギーを要するソクラテスは、物語の開始時点は自ら動くことができない状態でした。

そんなソクラテスのボディに、地球観光のために異次元からやって来た次元少女"亜空間こねる"がIn!
次元旅行会社の手違いにより、2人がピッタリ重なる形で「受肉」してしまいます。

1つの体に2つの心、二心一体のこねラテスとなったこねるとソクラテス。
2人は街で悪さを働く侵略宇宙人軍団"ヘイトフルーツカンパニー"をぶちのめし、地球をゆっくり観光するため、夜のデートへ繰り出します。
気まぐれなこねるとの2Dアクションデート
ジャンル:2Dアクションデート#亜空間こねる pic.twitter.com/38g2Mn3cJB
— 紅茶1号 (@tea_creates) May 29, 2025
本作の公称ジャンルは2Dアクション"デート"。
内容としてはステージ攻略型の2Dアクションですが、さながらVtuberのように画面左下に佇むこねるが、ゲームプレイに合わせて色々喋ったり、リアクションを出してくれるのが特徴となっています。

通常攻撃はソクラテスのパンチとキック。
敵を倒してお金を貯め、そこらに落ちてる武器ボックスから武器を買ってとっかえひっかえしながら強化していきます。
武器は日本刀やらフライパンやら色々。種類によって使い勝手も違います。
使いやすい方を選ぶか、攻撃力の高い方を選ぶか、悩ましかったり。
また、こねるんビームというこねるの技もあるのですが、ビームのタイプがこねるの気まぐれによってランダムに変更されるというユニークなシステムになっています。
グレンラガンじゃねーか!#亜空間こねる pic.twitter.com/eUw785EDFZ
— 紅茶1号 (@tea_creates) 2025年5月31日
ボウリングの球を投げたりドリルを出したりと全然ビームじゃないものが大半ですが、こねるはビームと言い張る模様。こねるのマイペースさがゲームシステムにも表れています。
こねるがビームって言ったらビームなんだよ!
ステージ中に落ちている漫画雑誌少年シャンプーを読むことで新しいビームを思いつくという流れも、2人の楽しいデートを演出する要素。
ジャンプ系を中心にパロディネタが満載で、こねるのリアクションが毎回楽しみになります。

ビームの中には結構ダイナミックなものもあるので、新技が増えたときに効果を確認するのが毎回楽しみになるんですよね。
こねるの気まぐれですぐ変わってしまうので、いつも強いのを出せるとは限らないのですが、その振り回され感も面白かったり。
無敵モードのフィーバー感とかこのゲームはこういうのを大事にしてくれればそれでいいのに、何故か自分を硬派なアクションゲームと勘違いしたようなステージが出てくるのでご勘弁願いたい pic.twitter.com/dnvy6Y64bJ
— 紅茶1号 (@tea_creates) June 7, 2025
こねるの好物であるドーナツを一定数食べると無敵のるんるんモードが発動。
ジャンプ力や移動スピードがパワーアップして固い地形ブロックも壊せるようになり、通常は通れないルートも進めるようになります。
敵を蹴散らす爽快感も抜群で、エフェクトマシマシドタバタ派手派手な大フィーバーを楽しめます。

経験値をためてレベルを上げたり、お金でより強力な武器を買ったり、道中にあるアンテナで落雷パワーを得て任意のパラメータを上げたりといったこねラテスの強化要素もあります。
終盤は難易度の高い場面もあったりしますが、ステージをやり直してレベルを上げたり、アンテナをくまなく回収することでパワーアップを重ねればゴリ押しできるようになるので、難易度の軽減策となっています。
全体的にゆるい作りで、アクション部分でもこねるのキャラクター性を感じられる"デート感"と"楽しさ"重視のゲームシステムになっています。
会話のノリも含めてゆるい雰囲気のゲームなのですが、こねるの他にもザコ敵の"シサク"たちも良い味出てて愛着を持てるキャラしてます。
気の抜けるゆる〜い会話からのイカす演出で戦闘開始、ボス戦の演出として最高よ#亜空間こねる pic.twitter.com/cb5xL5XdOP
— 紅茶1号 (@tea_creates) May 29, 2025
敵だけど普通に「ソクラテス先輩」とか呼んで気さくに話しかけてくるし、その辺で普通にサボってるやつがいたりするのもなんだか憎めないのですよね。
デートにしては過酷な道のり
そんな感じの愉快でポップな雰囲気をカジュアルに楽しめる本作ですが、ハッキリ言ってアクションゲームとしての作りは「悪い」です。
公称ジャンルが「2Dアクションデート」である以上、デートの部分が楽しめたら2Dアクションとしては多少作りが甘い部分があっても勘定に入れない方がいいだろう、と思ってハードルを低めに設定していたのですが、普通に斜め下をぶち抜かれました。
以下、説明の都合上、終盤のステージの動画等を含みます。
大してネタバレでもないので注意するほどでもありませんが、念のため。
まず、これはSwitch版の話でSteam版ではどうか存じ上げませんが、ヤバいくらい処理落ちしていてフレームレートがガッタガタです。
比較的安定しているのは最初のステージくらいで、それですらアクションゲームとしては高いとは言えません。
2ステージ目以降は30fpsも出てないように思われます。2Dアクションで許されるフレームレートじゃないですよ。
フレームレートが落ちるとアクションの操作性・視認性だけでなく世界への没入感も減り、アニメーション的な魅力も鈍らせてしまうので、これだけでもこのゲームにとって結構な損失です。
この動画の2回目のエアダッシュがわかりやすいけど、重いステージだとこういうコマ落ちがわりと普通に発生するゲーム pic.twitter.com/a5CWpWxNyY
— 紅茶1号 (@tea_creates) June 8, 2025
この動画の2回目のエアダッシュがわかりやすいですが、重いステージだとこういうコマ落ちがわりと普通に発生します。
キャラの少ないボス前のエリア等ではぬるぬる動くあたりfpsの上限自体は高そうなので、Switch2であればなめらかに動作するかもしれません。
綺麗な映像美の作品であれば多少の処理落ちもやむなし……ということもありますが、本作も確かに綺麗ではあるものの、じゃあこのレベルの処理落ちを許容できるかというとそこまででもないので、単に最適化不足ではないか? と思ってしまいます。
正直、これだったらSwitch版は出さない方が良かったんじゃないかってくらい。
なんなら、エラー落ちや進行不能バグも何度かありました。
最適化不足はプラットフォーム別の問題として一旦脇に置くとしても、それ以外にも問題点は山積みです。
まず本作、全部で4ステージしかありません。
エンディングを見るまでには徐々に難易度を上げながら計3周するので実質12ステージと言い張れなくはありませんが、こねるとのデート・冒険が重要な要素としてある中で見た目の変化が乏しい周回制はややミスマッチです。

最初に1周したときは「え、もう1周終わり?」となる一方で、短いスパンで次の周回が来てしまうので、2周目が終わって3周目が始まりそうな雰囲気になったときにはもう既に若干飽きていて「え、まだやるの?」となってしまったり、周回サイクルも絶妙に間が悪いのですよね。
ゲームの価格とも少々ギャップはあり、肩透かしな印象は否めません。
ステージ設計自体もイマイチ。
ステージ2とステージ4は広めの探索マップになっているのですが、無駄に広くて入り組んでいるというだけでそれほどユニークな仕掛けがあるわけでもなく、面白みに欠けます。特にステージ2が顕著。

マップ画面でどこに未取得アイテムやイベントがあるか確認できるのですが、広いマップのうちごく狭い範囲しか画面に入らないので全体構造が把握しにくく、不便。
しかしその一方、最初からステージ全域を見れてはしまうがために、手探りで探索してマップを埋めるといった楽しさもなく、作業感が否めません。
といって、2周目以降は難易度高いので強化はどうしても必要で、探索を怠るわけにもいかず面倒な作業を強いられるのですよね……
マップ画面に限らず、アクションシーンでも全体的に視認性が低め。
乗れる足場がわかりにくいという状況が頻発し、ステージ3ではただ見づらいだけの透明な地形ブロックがかなりの割合で配置されており、ただただストレス。
プレイヤーの死角に敵を置くなシリーズ pic.twitter.com/3ye4LYfKwz
— 紅茶1号 (@tea_creates) 2025年6月7日
挙句に、ステージ4では画面手前にある柱の裏などのプレイヤーの死角に敵やアイテムを配置して隠したりといった普通に悪質なこともやってきます。
ステージ4は他にも、ワープ地点に敵がいてワープ後に確定で被弾したり、とにかくトゲが多ければいいという安直なトゲ地帯などの杜撰な設計が散見され、特に2周目のマップのレベルデザインが壊滅的。
Dragon Marked For Death(初期) pic.twitter.com/bPfxh4hjTs
— 紅茶1号 (@tea_creates) June 7, 2025
トゲだらけにすれば以下略 pic.twitter.com/MQNB4ZFBZE
— 紅茶1号 (@tea_creates) June 7, 2025
すり抜け床の上り判定が無駄にシビアで上りにくいのも地味にストレス値を積み上げてくるのですが、トゲボールトラップとの相乗効果でさらに倍増ししてきます。

ボス戦も良いとは言えませんでした。
実際のところ、大半のボスを初見ゴリ押しで倒してしまったので大した分析はできていないのですが、終盤に向かうにつれて「判定がよくわからないけどとにかく広範囲の攻撃」とか「避け方がよくわからないけどとにかく速い攻撃」みたいなのが増えていき、もうゴリ押しせざるを得なかったというのが正直なところ。
フレームレートが不安定なのも相まってよく見えんのです。
それに、3周目は死んだらステージ1からやり直し(※)って言われたら尚更「攻略法をきっちり見極めて勝とう」とかより「事前にできるだけ強化積んでおいてゴリ押し上等、倒せりゃそれでいい」という思考に傾こうというものです。
(※)チェックポイント間のワープは使えるものの、お金と武器、アンテナによる強化は失われるので結局稼ぎのために全スキップして進むわけにはいかなくなる
他にも、アイテム購入時に複数の取得判定エリアが重なっている場合に、近い方ではなく最初に判定エリアに入った方が選択されるので、全然欲しくない方を購入してしまうことがあるとか、探索ステージ内で無敵モードじゃないと壊せないブロックが多すぎるとか、細かい不満は挙げ始めるとキリがありません。
この位置どりから右の方が取れないことあるのかよ pic.twitter.com/EGaPSpFK8T
— 紅茶1号 (@tea_creates) June 7, 2025
いや……だって、この位置取りで右の方が取れないなんてことある?
肝心のストーリー面でも、1周目と2周目クリア後の幕間で急に知らんキャラが何人も出てきたり、敵の大ボス格が駄々っ子なだけで魅力に欠け、ただイラっとするだけのキャラになってたりと、少々気になる点はありました。
総評

メイン要素はキャラクターやストーリーで、アクションゲーム的な要素はあくまで添え物、あるいはストーリーを表現する舞台装置。
そういうカジュアル志向のゲームは多くありますし、そういうゲームなりの楽しみ方というものがあります。
ただ、本作は安易にそうした枠組みの中で評価を済ましてよいものかは疑問があります。
実態として、単にカジュアル志向なだけのゲームではなく、その上でアクションゲームとして粗い部分が多く見られるためです。
単にアクションが大味とかそういうレベルの話なら全然良かったですし、実際1周目までならそれで流せる内容でした。
ただ、2周目3周目と周回するうちに難易度を上げていくという、しっかりアクションゲームとして遊ばせる体裁を取っていながら、それに見合ったステージ設計や動作の最適化が成されておらず雑味の強い内容になっているのは、カジュアルゲームにもアクションゲームにもなりきれないどっちつかずな印象になってしまっています。
強化を積んで進めればゴリ押しでクリアまで進めるので、終わらせること自体はそこまで難しくはないものの、じゃあアクションゲームとして面白かったか? 爽快感があったか? というと答えはNo。
これだったらとにかく低難易度路線の超カジュアルゲーム路線の方がまだ良かったと思います。
亜空間こねるのキャラクター性や演出、抜群のビジュアルやBGMなどは良かっただけに、惜しいゲームです。
とりあえず、やるにしてもSwitch版は全くオススメできません。
Switch2なら動作が改善されている可能性があるのと、Steam版なら大丈夫かもしれませんが、そちらは実際にプレイした人の意見をご確認ください。
追記(2025/9/8):
先日Switch2を入手できたので本作も動作検証を行ったところ、フレームレートに関しては大幅な改善が見られました。
60fps張り付きというわけではないものの、負荷の高い場面でも高fpsを維持しており、アクションゲームとして不便の無い程度にはなっていました。
ただ、Steam版で行われているアップデートは一部Switch版にはまだ反映されておらず、アップデートが遅れている模様です。
Switch2でのプレイも選択肢として無しではないものの、やはりやるとしても現状はSteam版の方が良さそうです。
Steam版のアップデート内容に関してはバランス調整や機能追加なども行われているようなので、詳細は公式の告知等をご確認ください。
CONERU -DIMENSION GIRL-⚡
— 亜空間こねる⚡CONERU🎮Sale!! (@dimegir) 2025年6月24日
アプデロードマップ(~2025.9)を公開します⚡
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