その名に偽りなしのハードコアロボットアクション。
- ゲーム概要
- ハードな傭兵たちの物語を体感せよ
- 溢れんばかりのロボットアニメ愛
- 操作はやや複雑だが、慣れると気分はエースパイロット
- 徐々に難しくなる適切なレベルデザイン
- 総評
- ※Nintendo Switch版について
ゲーム概要
メーカー: RocketPunch Games / Lightning Games
プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Steam
プレイ人数:1~4人
初リリース日:2019/06/27
価格:3,025円(税込)[Switch DL版] / 1,980円(税込)[PS4版]
スパロボやってない人間でも一目見ただけでスパロボリスペクトと分かる、こだわりのアニメーションで話題をさらったタイトル。
見た目はスパロボ風ですが、ジャンルはステージクリア式の2Dアクション。
その名に偽りなしのハードコアなロボットアクションを楽しむことができます。
今回プレイしたのは、2020年10月15日にリリースされたSwitch版。
マルチ対戦モードもありますが、今回プレイしたのはシングルモードのみです。あしからず。
ハードな傭兵たちの物語を体感せよ
舞台となるのは、火星の植民地。
民間軍事企業「ハードコア・ディフェンス社」のエースパイロットである タレサー は、テロリストに拉致された情報士官「A」の救出任務を任される。
試験運用中の最新鋭機 サンダーボルト に乗り現場に赴くタレサーであったが、その任務は大きな戦いの前ぶれにすぎなかった。
戦火が広がり、民間人をも巻き込んだ戦争へと発展する中、傭兵たちは金のために戦うか、信念のために戦うかの選択を迫られていく……
といった感じで、影山ヒロノブ氏による熱血全開の主題歌とは裏腹に、リアル寄りのハードなストーリーが展開されます。
全体的に「ベタ」なつくりでやや個性が弱い印象もありますが、言い換えるとツボをしっかり押さえた癖の少ない作風。
そんな本作のストーリーをより魅力的に見せているのが、臨場感あふれる演出の数々。
ストーリーはプレイヤーのステージ進行と同期して進み、敵基地からの脱出や市街の防衛戦、味方機の護衛など、様々なイベントが発生します。ステージ中の会話劇はもちろんフルボイス。
イベント戦では味方機が通信を交わしながら一緒に戦ってくれたりするので、自分がその戦場にいる臨場感をたっぷり味わわせてくれます。これぞSFロボットゲームの醍醐味!
陽気なムードメーカーのようでいて奥に熱い志を秘めた相棒の エドガー や、軍の最新鋭機に旧式メカで互角に渡り合うライバルの ヴォルフェス などのメインキャラクターも魅力的ですが、戦場で巡り合う一期一会の兵士たちもそれぞれドラマを感じさせてくれる粒ぞろい。
逆に、同僚パイロットの フィー など、わりといいデザインしてるのに出番が少なくイマイチ描写が薄いキャラも幾名かいるのが惜しいところですが……
尺の都合上、仕方がないのでしょうけども。
ちなみに本作の開発元である RocketPunch Games は中国のインディーゲームレーベルとのことですが、テキスト翻訳の質が良く自然な日本語になっており、海外産のゲームとは全く感じません。
溢れんばかりのロボットアニメ愛
超大型重機! 潜水艇! 合体飛行ロボ! 宇宙戦艦!
本作には敵から味方まで実に多様な種類のメカが登場します。
今のところ一番好きな演出はここ#NintendoSwitch pic.twitter.com/OoDkyF4lzu
— 紅茶 (@tea_creates) 2020年10月18日
「わかってるな~!」ってなる定番の演出も多数。
パロディ的な要素も散りばめられており、製作陣は本当にロボットアニメ・ゲームが好きなんだな……というのがわかります。
ただし、愛が強すぎる故か、無理やり仕込まれたパロディ要素がチグハグに感じる部分もあります。
シリアスな展開の中で露骨なパロディ台詞が挟まって気分が醒めてしまったり、
主人公機に仕込まれている「特別な力」の要素も、リアル寄りの世界観の中では少し浮いてるように感じます。
あと個人的に、ロボットの名称が「メカ」なのは味気がなくて寂しいと思ったり。
折角なら「モビルスーツ」とか「ナイトメアフレーム」とか「レイドユーバー」みたいな固有の名称が欲しかったところです。
操作はやや複雑だが、慣れると気分はエースパイロット
アクションにおいてはビームライフルやブースト、ホバーなど、ロボットらしいアクションを存分に楽しめます。
カットイン付きのカッコいい必殺技も完備!
ただし、操作形態はちょっぴり複雑。
右スティックを用いず、左スティックが移動操作と照準操作を兼ねる形式なのですが、結構激しく動いて精密に狙い撃ちもするゲームなので、それらを上手くコントロールできるようになるまでは慣れが必要です
さらに、ゲームスピードが速い中で武器のクールタイムも頭に入れる必要もあり、最初のうちは頭がこんがらがってしまうことでしょう。
しかしその分、コツを掴んだときの気分はまさにエースパイロット!
高速で戦場を駆け、敵の背後を取って撃破! ということができるようになると、非常に爽快感のある戦闘を楽しめます。
段々わかってきた。これは......楽しい!#NintendoSwitch pic.twitter.com/YTAoq97ULY
— 紅茶 (@tea_creates) 2020年10月18日
また、敵メカを撃破して落とした武器を拾って使い分けたり、ミッション中に集めたお金や探索で見つけたパーツを使ってカスタマイズする要素もあります。
そこまで自由度が高いというわけではありませんが、エイムのアシストをする装備などもあり、アクションをサポートしてくれます。
徐々に難しくなる適切なレベルデザイン
チュートリアルステージから始まって、徐々に敵のバリエーションが増え、難易度が上がっていくわけですが、このレベルデザインの調整も丁寧。
地上から水中、空中、無重力空間と、章が進むにつれ戦いの舞台も遷移していくのですが、これが単なるステージの個性分けでなく、徐々に高度な空中制御を要求する地形デザインにつながっており、プレイヤーは自然と操作技術の向上を実感することができます。
ステージによってはパイロットが機体を降りて生身で進むお約束の展開もありますが、ロボットアクションを楽しむ妨げにならないスパイス程度の分量に落ち着いていますので、そこはご安心。
先に述べた通り基本的にゲームスピードは速めで、敵の苛烈な砲撃に晒されることも珍しくはありません。
しかし、チェックポイントがこまめにあってリトライも無限にできるほか、回復アイテムを使ってのゴリ押しも効くので、そこまで難易度が高いとは感じませんでした。
一方、高ランクを目指す場合はダメージを抑えつつ手早くクリアする必要があるので、物足りない人はそちらをやりこむのも手でしょう。
総評
渾身のアニメーションやツボを押さえた演出・ストーリーから、とにかくロボットアニメへの愛情が伝わってくる一作。
ややオリジナリティに欠け、パロディ要素が浮いているという印象も受けるものの、ステージ中での臨場感あふれる演出が何よりも見事で、プレイヤーはぐいぐい物語に引き込まれます。
操作には慣れが必要なものの、マスターできれば気分はまさにエースパイロット!
ロボット好きならまず買って間違いなしでしょう。
※Nintendo Switch版について
ただし、Switch版の購入を検討している方は注意が必要です。
処理落ちが頻発するほか、エラー落ちすることもあり、全く遊べないというほどではないもののあまり快適とは言えないプレイ環境になっています。
処理落ちと言っても動きがスローになるとかではなく、可変フレームレートが悪い方向に作用しているのか画面表示がコンマ数秒止まって飛び飛びになり、しかもその間ゲームは普通に動いているので知らぬ間に攻撃を受けていたりするという、アクションゲームとしては致命的なもの。
また、些細な点ではありますが、ロード中のBGMがぶつ切りになるのも、没入感を大きく阻害する要因になっています。
操作が複雑なのにキーコンフィグもなし。
メーカーからアップデートパッチの予告はされていますが、実際に配信されて様子を見るまでは、本作をSwitchで購入するのは正直言ってオススメできません。
他機種ではそういう話は聞かないので、そちらで買う方が安定でしょう。
追記:2020年11月2日にアップデートパッチが配信され、少し状況は改善されましたが、依然処理落ちは残っており、万全な遊び心地とは言えない状態です。
追記(2020/12/20):アップデートによって以前よりは動作が安定し、 処理落ちが起こりにくくなりました。また、エラー落ちも改善を施したとされています。